採用CX(候補者体験)とは?|メリット・失敗を招く原因・改善する方法などを解説
採用CX

近年では採用CXという概念が注目されており、求職者がいかに自社と接点を持つことに価値を見出せるかが重要です。
しかし、採用CXについてよくわからないという悩みを抱えている方もいるでしょう。
本記事では
・採用CXのメリット
・採用CXの失敗を招く原因
・採用CXを改善する方法
についてご紹介します。
採用CXについて理解を深めると、求職者の早期退職や選考辞退の防止にもつながる可能性があるため、ぜひ本記事を参考にしてください。
1.採用CXとは
採用CXとは求職者が自社を選ぶよう、採用活動全体を通して企業価値を感じられる体験を提供することです。
CXは「Candidate Experience」の頭文字から取った言葉で、「候補者体験」を意味しています。
採用活動をしていくと、自社を認知してから入社に至るまでの選考過程で企業は求職者と多くの接点をもちます。求職者が選考過程を経て自社に対して魅力を感じ、採否に関わらず「この企業を受けてよかった」と思ってもらえるような体験を提供することが大切です。
企業が求職者を選考するのと同じように、求職者も企業の対応を見て「この企業で働きたい」と思えるか判断しています。
採用したい人材から選ばれることで、内定辞退減少や定着率向上に期待できます。
2.採用CXが注目されている4つの理由
採用CXが注目されている理由について4つの観点から解説していきます。
少子高齢化による有効求人倍率の上昇
日本は少子高齢化が進んでいることから労働人口は減少し続け、結果として有効求人倍率が上昇しています。
厚生労働省の発表によると有効求人倍率は2024年7月時点で1.24倍となり、人材獲得競争は依然として激しい状況です。売り手市場となっている現在、企業は求職者を選ぶ側ではなく選ばれる側であることを意識しなければなりません。
求職者は面接官の立ち振る舞いや迅速な対応、コンテンツの充実など、採用活動における体験を重視して企業を選択します。
自社が選ばれる企業となるよう、いままで以上により良い候補者体験の提供が重要です。
人材の流動化
かつて日本企業において終身雇用への意識が高い傾向にありましたが、現在は一般的ではなくなりつつあります。また、グローバル化やIT化が進むにつれて、自社発展に適した優秀な人材を評価して雇用する企業が増えているのが現状です。
特に若い世代は、常により良い労働条件やステップアップできる職場を求める傾向にあるため、転職への抵抗感が低いです。
このように、雇用や働き方に対する価値観が変化したことから、人材の流動化が加速していき転職率が増加しています。
採用情報の透明化
近年、インターネットやSNSが全国的に普及したことにより、採用情報や企業情報の透明化が進んでいます。
選考内容や採用時の対応、従業員の声など現場のリアルな情報が口コミサイトやSNSに拡散されていき、求職者の目に止まるようになりました。
情報収集が容易になり、求職者は応募する企業を厳選してより良い職場を探せます。
企業側としては、採用活動時に口コミによって不利な状況に追い込まれないよう、求職者に対して誠実な対応をとり、有意義な体験となるよう工夫することが求められます。
採用のミスマッチ防止
せっかく優秀な人材を採用しても、社員が自社の企業文化や価値観になじめないことで早期退職するケースが後を絶ちません。採用ミスマッチが生じると採用コストや教育コストが全て無駄になり、再び採用活動をおこなうことになり採用担当者の負担は増えるばかりです。
採用CXを高めることで、選考時に企業の特色や魅力を求職者にアピールしたり、個別にコミュニケーションを取る機会が増えます。そうすると、求職者と自社の相性が測りやすくなり採用ミスマッチの防止に役立ちます。
3.採用CXに注力する4つのメリット
本章では、採用CXに注力する4つのメリットについてご紹介します。
リピーターの獲得
採用CXに注力する大きなメリットとして、リピーターを獲得できることが挙げられます。
採用におけるリピーターとは、自社に良い印象を持った求職者が、他求職者へ自社を紹介してくれたり、他社に入社してしまった方が異なるタイミングで再応募してくれたりすることです。
例えば、誠実な対応をとり有意義な体験を求職者に与えることができれば、採用に至らなかったとしても好感を抱いてくれる可能性が高まります。好感を抱いた求職者は自社のファンとなり、周囲に「あの企業は魅力的だ」と紹介するなど採用活動に良い影響を与えてくれるでしょう。
リピーターが増えて入社意欲の高い母集団を形成できれば、円滑な採用活動につながる期待ができます。
企業イメージの向上
採用CXに注力すると、求職者による情報の拡散で企業イメージ向上につながります。
求職者が選考過程で満足のいく体験をすると自社に対して良い印象を抱き、自身の体験をSNSなどに投稿する可能性が高まります。
実際に採用体験した方の情報であれば信頼性が高いため、SNSなどを利用するユーザーによって拡散され、自社の魅力的な情報がインターネット上に広がっていくでしょう。
良い口コミが拡散すると他求職者の目に止まるため応募が集まりやすくなり、自社が求める人材と巡り合える確率が高まります。
ミスマッチの減少
採用CXに注力すると得られるメリットとして、ミスマッチの減少が挙げられます。
選考過程でコミュニケーションをとることで、求職者に自社の企業文化や価値観を明確に伝えられるうえ、求職者の持つスキルや経験をより深く知ることが可能です。相互理解が深まれば、結果としてミスマッチの減少につながります。
また、満足のいく採用体験を得られた求職者は自社への愛着が強くなり、高い業務パフォーマンスや定着に期待できるでしょう。ミスマッチ減少によって、早期退職のリスクを減らせるうえコスト削減にもつながります。
エンゲージメントの向上
良質な採用CXを提供すると、求職者のエンゲージメントが向上します。
エンゲージメントとは社員の自社に対する愛着や貢献意欲のことを指し、エンゲージメントが高いほど業務の生産性が向上するのが特徴です。
採用CXに注力することで、入社前から求職者のエンゲージメントを高められ、早い段階での活躍や定着に期待できます。
社員が生き生きと働いていると「働きやすい職場」「優秀な人材が多い企業」という良いブランドイメージが付き、さらに優秀な人材の確保をしやすくなるでしょう。
4.採用CXを設計する5つの段階
次に、採用CXを設計する際の手順について、事前準備から内定・入社に至るまでの5つの段階に分けてご紹介します。
企業準備
採用CXを設計するはじめの段階として、企業準備が欠かせません。
まず、自社はそもそもなぜ人材を採用する必要があるのかに立ち戻り、今後どのような採用活動をすべきか明らかにしましょう。
採用CXを成功させるための事前準備として、具体的に以下のような方法が挙げられます。
・事業戦略や経営計画を把握する
・自社の魅力を整理する
・事業成長に必要な人物像を明確化する
・採用ペルソナを策定する
・具体的な採用基準を設定する
・競合他社を分析する
上記のような取り組みをすると、自社が求める最適な人材がはっきりとわかり、採用におけるミスマッチを防止できます。
認知
採用活動を開始したら、まずは自社の認知活動をしましょう。求職者に良い印象を与え「ここで働きたい」と思ってもらえるよう、企業の特色や魅力をアピールすることが大切です。
現在の日本ではSNS利用者数が多いことから、企業のSNSアカウント作成やYouTubeチャンネルで周知する方法が効果的です。SNSを活用すると自社の魅力を広範囲にわたって認知させられます。
また、求人票情報の充実やSEO記事作成、交流会といった方法も良いでしょう。自社の存在を広く認知させ企業情報に触れてもらうことで、求職者たちの興味を引き応募候補に入る確率が上がります。
応募
応募段階で大切なことは、迅速なレスポンスと誠意あるコミュニケーションです。
求職者は複数社に応募を申し込んでいるケースが多く、採用担当者の対応を見ながらどの企業に入社すべきか考えています。
採用担当者の対応に誠実さを感じられないなど自社にマイナスなイメージを抱くと、選考辞退につながり、競合他社に人材が流れるおそれがあります。
ほかにも、求職者の応募意欲を高める取り組みも重要です。具体的には以下の取り組み方が挙げられます。
・スカウトメールを送信する
・SNSのDMに返信する
・リファラル採用を導入する
・選考前にカジュアル面談を実施する
・手軽に応募できる応募フォームを設置する
上記のような接点を活用して、求職者からの信頼を獲得しましょう。
選考
選考段階では、いかに求職者の入社意欲を高められるかが重要です。
求職者と面接官が直接コミュニケーションをとるため、面接時の対応は求職者のエンゲージメントに大きな影響を与えます。
面接官は相互理解を深めようとする姿勢を徹底し、求職者に寄り添った対応が求められます。自社の魅力だけをアピールするだけでなく課題点も含めて伝えることで、求職者から信頼を得られるでしょう。
また、話しやすい雰囲気作りを心掛け、求職者の疑問や不安を解消できるよう丁寧に答えると、求職者の入社意欲が高まります。
しかし、近年では採用活動が通年化しているうえ、業務の兼任が増加傾向にあることから、採用担当者の負担が増えています。外部に面接代行サービスを委託することで、採用活動の負担を減らしコア業務に専念することが可能です。
面接代行サービスについて気になる方は、ぜひ下記記事も参考にしてください。
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内定・入社
最終段階である内定・入社でも、求職者から内定辞退される可能性があるため注意しましょう。
なぜなら、優秀な人材であるほど複数の企業から内定を獲得している可能性が高いからです。最終的に求職者から選ばれるためには、内定後のフォローやケアも求められます。
具体的には、以下の方法が挙げられます。
・採用が決定したらすぐに内定通知を送る
・入社までのスケジュールや手続きを具体的かつ丁寧に説明する
・内定者研修を実施する
・配属先の社員と交流する機会を設ける
・社内見学の機会を設ける
内定後も求職者に寄り添う姿勢で対応することで、内定辞退を防げるうえ入社に対するモチベーションを高められるでしょう。
5.採用CXの失敗を招く3つの原因
ここまで採用CXのメリットや、取り組む際の手順についてご紹介しました。
本章では、採用CXに取り組む中で、多くの企業が陥りやすい3つの問題について詳しく見ていきます。
社内で採用への認識が統一されていない
採用CXの失敗を招く原因の一つとして、社内で採用への認識が統一されていないことが挙げられます。
経営陣や人事、現場社員の各々で求める人材像の認識がバラバラだと、担当者ごとに伝える内容の一貫性がなくなり、求職者の不安をあおる可能性があります。
また、面接で求職者を見極めるポイントが一致していないとミスマッチが生じ、内定辞退や早期退職につながりかねません。
採用CXを成功させるには、採用活動に関わる全社員間で密なコミュニケーションをとり、求める人物像の統一と採用基準の明確化をおこない、社内全体で一貫性を持つことが重要です。
求職者に不適切な対応をしている
求職者に対して不適切な対応をすることも、採用CXの失敗を招く要因です。
例えば、求職者への対応が遅い、自社の情報提供内容が不足している、求人広告内容と面接での説明に乖離があるなどが挙げられます。
また、面接官が求職者に対して高圧的な態度をとったり、採用とは無関係な質問や失礼な言動をしたりするなど、面接官が問題を抱えているケースもあります。
不適切な対応をとられた求職者は自社へ不満を抱き、口コミサイトやSNSで悪い口コミを投稿したり競合他社に流れたりと、自社の評判を落とす結果につながりかねません。
形式通りおこなうことにこだわり過ぎている
採用CXの失敗を招く3つ目の原因は、事前に決めた形式にこだわり過ぎていることです。
採用や面接手順がマニュアル化されていると、面接全体に一貫性が生まれ、効率よく求職者の情報を収集できるという利点があります。
一方、事前に決めた形式にとらわれすぎると、求職者によっては「事務的に対応された」などと機械的な印象を持ち、自社のイメージダウンにつながりかねません。求職者がリラックスして面接に挑めるよう、工夫することが大切です。
また、求職者が入社の決め手になるのは、採用担当者が人として魅力的かどうかで決まるケースがあります。そのため、採用担当者が自社の魅力を自分の言葉に落とし込み、自身が納得した状態で、真摯に求職者へ伝えているかが重要です。
6.採用CXを改善する3つの方法
採用CXに向けて取り組みをおこなっているものの、思うような結果を得られていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本章では採用CXの成功に向けて、取り組みの改善ポイントを3つご紹介します。
採用ペルソナの見直し
採用CXを改善する方法の一つとして、採用ペルソナの見直しが挙げられます。
採用ペルソナとは、自社が求める人物像を実在する1人の人物として具体化したもので、社員間で共通認識を持つには必要不可欠です。
採用したい人材のターゲット層と実際に応募がある人材が一致していなければ、大きなミスマッチにつながるおそれがあります。最適なターゲット層になっているか、現場社員と経営陣との間で認識のズレが生じていないかなど、定期的に採用ペルソナを見直すことが大切です。
採用ペルソナをどのように設計すればよいか、どこまで設計したら良いかわからない場合は、採用ペルソナについて深く学びましょう。採用ペルソナの作り方について解説しているので、気になる方はぜひ下記記事を参考にしてください。
求職者との接点の洗い出し
求職者との接点の洗い出しも、採用CXを改善する効果的な方法です。
認知、応募、選考、内定、入社のプロセスにおける求職者との接点を洗い出し、対応の仕方に問題がないか、接点が足りているか確認しましょう。
それぞれの接点が、求職者にとって満足のいく体験につながっているか検証し、問題がある場合は改善すべき課題として抽出します。複数の採用担当者がいる場合は、求職者への対応が統一されているかの確認も大切です。
担当者によって対応が異なったり伝える情報にズレが生じたりしていると、求職者に不安や不満を与えかねません。
課題に対する改善策の立案
採用CXを効果的に改善するために、課題に対する改善策の立案と実践が欠かせません。抽出した課題ごとに、どのように改善すべきかを考え施策を立案しましょう。
例えば、自社サイトの情報量が少ないまたは多すぎる場合は、求職者のニーズに合わせて調整する必要があります。面接官によって技量のバラつきがある場合は、マニュアルの見直しや面接トレーニングの実施が効果的です。
このように、課題に適した改善策を立てて実行していきましょう。どうしても改善方法が思いつかない場合は、他社の改善例を参考にすると良いです。
社内の人手不足や採用CXに対する知識が不足しているのであれば、採用代行サービスを導入するのがおすすめです。採用代行について解説しているので、気になる方はぜひ下記記事を参考にしてください。
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7.採用CXを成功させるポイント5選
では、採用CXを成功させるためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
本章では、成功に向けた5つのポイントについて詳しく解説します。
迅速に対応する
採用CXを成功させるには、迅速な対応が欠かせません。
求職者は、限られた時間の中で複数の企業に応募しています。少しでも対応が遅いとストレスを感じ、競合他社に流れるリスクにつながります。
そのため、合否連絡や選考案内などは即日対応が望ましいです。即日での対応が難しい場合は、いつまでに連絡するといった内容を求職者に伝えると印象が良くなります。
素早いレスポンスができるよう、情報共有を徹底して求職者からの連絡にすぐ対応できる体制を構築することが重要です。求職者の気持ちに寄り添うような対応が、選考辞退の防止につながります。
選考辞退を防止する方法を解説しているので、気になる方はぜひ下記記事を参考にしてください。
フィードバックをする
選考プロセスの要所でフィードバックをおこなうと、求職者の満足度が上がり採用CXの成功率が高まります。
例えば、面接での評価や期待していること、入社前に身につけてほしいこと、改善点など具体的なフィードバックを求職者に伝えましょう。
そうすることで、求職者は「真剣に向き合ってくれている」と感じ、信頼関係が生まれエンゲージメントの向上につながります。
このように、丁寧なフィードバックがあると求職者に良い採用体験を提供でき、採用CXの成功率が高まります。
採用管理システムを導入する
採用CXを成功させるために、採用管理システムなど採用活動を効率化できるツールの導入も有効な手段です。
採用管理システムは、求職者の情報や採用進捗を適時に共有できるのが特徴です。カレンダー機能を活用することでスケジュール管理や調整を一括でおこなえるため、迅速な対応ができます。
本来時間をかけていた採用状況分析などもできるため、採用データの蓄積が可能となり求職者一人ひとりに適した採用CXを提供ができるようになります。
このように、採用管理システムを導入することで情報を一元管理できるため、採用コストや工程の削減が可能です。
事実に即した情報を伝える
採用CXを成功させるポイントとして、事実に即した情報を伝えることも大切です。
自社の魅力をアピールしようとプラス面ばかり伝えると、求職者にイメージと現実のギャップを生じさせてしまい、結果として早期退職の原因になります。
自社の良い部分だけでなく課題点も含めてありのまま伝えることで、ミスマッチ防止につながります。
さらに求職者は自社への理解を深め納得したうえで入社するため、定着率を高めることが可能です。求職者がイメージと現実が正しくつながるよう、事実に即した情報を伝えましょう。
外部サービスを利用する
採用CXを成功させるために、外部サービスを利用することは有効な手段の一つです。
採用CXを構築したり改善したりするためには、多くの手間と工数が必要になります。しかし、企業によっては人手不足により手が回らず、採用CXの向上を目指すのが難しい場合もあります。
すぐにでも採用CXの改善が見込める施策を実行したいのであれば、アウトソーシングなど外部サービスを利用すると良いです。自社のノンコア業務を外部の専門会社に委託して余分な工程をなくすことで、求職者により丁寧な対応が可能となります。
みんなの採用部を運営するネオキャリアの採用代行サービスは、母集団形成や面接業務代行にも対応しているため、即戦力を求めている方はぜひ検討してみてください。
8.まとめ
採用CXが注目されている理由は、少子高齢化による有効求人倍率の上昇や人材の流動化などで、採用競争が激化しているためです。採用CXに注力するとリピーターの獲得や企業イメージ向上、ミスマッチ減少、エンゲージメント向上と多くのメリットがあります。
しかし、採用ペルソナの見直しや求職者との接点の洗い出しなど、採用CXを改善するためにはさまざまな工程が必要なので、採用担当者に大きな負担がかかります。
ネオキャリアのアウトソーシングサービスを活用することで自社のコア業務に専念でき、求職者への丁寧な対応も可能となります。ぜひ無料相談をご活用ください。

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