2024年下半期転職市場予測|中途採用の今後と課題対策
中途採用市場
中途採用を取り巻く転職市場は「売り手市場」が続いています。
そこで今回は、これまでの市場動向をもとに2024年下半期の転職市場予測と中途採用の課題対策について解説していきます。
本記事では
・2024年の中途採用/新卒採用の動向
・2024年の下半期転職市場予測
・中途採用課題対策と採用手法
について解説します。
中途採用だけではなく、新卒採用も含めた採用市場の動向を確認し、企業が今後どのように動くべきなのかデータを基にご紹介します。
1.2024年の転職市場予測の概要
2024年下半期の転職市場は引き続き「売り手市場」が継続しています。
dodaの調査※によると2024年5月時点の転職求人倍率は2.57倍で、昨年同時期と比較すると0.27ポイント増加する結果でした。
また、転職希望者数は前月比104.1%で増加し、昨年同時期比でもわずかに増加する結果でした。
このように、転職希望者数が増加傾向にはあるものの、引き続き転職求人倍率は高い水準で推移しているため、継続した売り手市場の状況に備え、まずは市場動向をチェックするようにしましょう。
1‐2.地域別の有効求人倍率の動向
本章では有効求人倍率を地域別に解説します。
厚生労働省の調査※では、地域別の有効求人倍率に差がみられました。
首都圏の有効求人倍率をみると、東京都は1.76倍と高い傾向ではあるものの、そのほかのエリアは比較的落ち着ています。
首都圏の有効求人倍率の最低値は神奈川県の0.93倍、次いで千葉県の0.95倍です。
首都圏以外のエリアの有効求人倍率は、2024年3月時点では福井県の有効求人倍率が1.80倍で最も高く、次いで岐阜県の1.60倍でした。
※出典:一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について
- 地域に合わせた採用戦略を立てたい方へ
本資料では各都道府県・職種別の採用難易度を徹底比較しています。自社の採用エリアの採用難易度を知りたい方におすすめの資料です。
1‐3.業種別転職市場の動向
本章ではdodaの調査※をもとに2024年5月時点の業種別転職求人倍率を解説します。
業種 | 転職求人倍率 |
IT・通信 | 7.16 |
メディア | 3.71 |
金融 | 2.48 |
メディカル | 1.15 |
メーカー | 3.06 |
商社 | 1.67 |
小売・流通 | 0.63 |
レジャー・外食 | 0.77 |
エネルギー | 2.66 |
建設・不動産 | 5.58 |
コンサルティング | 7.79 |
人材サービス | 8.19 |
その他 | 0.31 |
小売・流通業の転職求人倍率をみると、小売・流通業は0.63倍、レジャー・外食業は0.77倍と落ち着いています。
一方、IT・通信業は業種別の転職求人倍率7.16倍と高倍率です。
また、コンサルティング業は7.79倍、人材サービス業は8.19倍と、採用の難易度の高さが伺えます。
ここまでの調査データの結果から、2024年下半期は引き続きIT・通信業やコンサルティング業、人材サービス業の採用は激戦であるといえます。
さらに、正社員採用だけでなくパート・アルバイト採用も、地域により難易度増すエリアがあるため、自社の採用エリアや業種によっては採用戦略を見直しましょう。
2.新卒採用市場動向
ここまで2024年下半期の転職市場予測の概要を解説してきましたが、新卒採用を取り巻く環境は現在どのような状況なのでしょうか。
新卒採用市場を知ることで中途採用の課題や新たな採用戦略が見出せる可能性もあるため、ぜひ参考にしてください。
そこで本章では、2024年6月時点の新卒採用市場動向と市場予測について解説します。
2‐1.24年度新卒採用市場の振り返り
リクルートの調査※1では2024年5月15日時点の25年卒就職内定率※2は、78.1%です。
昨年同時期と比較して6.0ポイント増加しています。
加えて、すでに内定を得ている学生の、今後の就職活動の意向割合は以下の通りです。
出典:株式会社リクルート就職みらい研究所【 就職プロセス調査(2025年卒)「2024年5月15日時点 内定状況」】
2024年6月以降も就職活動を継続する予定の学生は62.6%に上りますが、年々企業の内定出しが早まっていることから、新卒採用枠を埋めることができていない企業は次の一手を検討しておく必要があると言えます。
※1出典:株式会社リクルート就職みらい研究所【 就職プロセス調査(2025年卒)「2024年5月15日時点 内定状況」】
※2:大学院生を除く大学生対象
2‐2.新卒採用市場の予測と課題
2022年から2023年の新卒採用市場は多くの企業が苦戦傾向にありました。
2023年のリクルートの調査※では採用予定数を充足できたと回答した企業は40.4%、前年比-11.8ポイントでした。
企業が採用予定数を充足できなかった理由には、学生の内定辞退の増加が挙げられます。
23年度の新卒採用予定数を100とした場合の内定出し人数の平均は179.1人、2022年度は171.1人でした。
内定出し人数の状況は前年度に比べて増加していますが、2023年度の内定辞退人数の平均は前年と比べて7.6人増加した83.3人との結果から、内定出し人数は増加した一方で内定辞退人数も増加傾向であるといえます。
では、24年度の新卒採用市場はどのような予測となるのでしょうか。
結論から述べると、新卒採用市場の予測は引き続き新卒採用ニーズは高いものの企業側の苦戦が懸念されます。
理由のひとつは応募者数の減少です。
少子高齢化時代の昨今、新卒採用の対象となる学生数が減少しています。
前項で採用予定数を充足できなかった理由に内定辞退の増加を挙げましたが、その他に「応募数が少なかった」と回答する企業も上位を占めていました。
出典:株式会社リクルート就職みらい研究所『就職白書2023』 2023年卒の就職.pdf
学生総数の減少により応募者数が減少することは今後も継続した課題になっていきます。
そこで、1度接点を持てた学生をいかに入社まで惹きつけるかが重要です。
この結果から、企業が新卒採用で満足のいく結果を出すためには、「フォロー」や「内定辞退対策」が必要になってくると言えるでしょう。
※出典:株式会社リクルート就職みらい研究所『就職白書2023』 2023年卒の就職.pdf
新卒採用の内定辞退率の傾向
2024年5月時点の内定辞退率について、リクルートのデータ※をもとに解説します。
出典:株式会社リクルート就職みらい研究所【 就職プロセス調査(2025年卒)「2024年5月15日時点 内定状況」】
23年卒から25年卒の内定辞退率は、年々高くなっています。
25年卒の5月15日時点の内定辞退率は48.3%で、24年卒の同時期時点と比較すると2.8ポイント増えている状況です。
さらに、過去のデータをみると3月の卒業時まで増加傾向が続くため、25年卒の内定辞退率も3月末までに増加する見込みです。
企業にとって内定辞退は選考のやり直しや次年度以降の事業計画に大きくかかわるため、軽視できません。
そのため、新卒採用をおこなう際は内定辞退を防止するための対策が求められます。
では、新卒入社を目指す学生はどのような就職活動をおこない、どのような理由で内定を辞退するのでしょうか。
ここからは就職活動をおこなう学生の動向を解説します。
※出典:株式会社リクルート就職みらい白書
学生の動向1「インターンシップ参加者増加」
23年卒は学生の75%がインターンシップや1DAYインターンシップに参加しています。
企業にとってのインターンシップが学生の人柄や就労前のポテンシャルを見極める機会になっているように、学生にとっても企業の見極めの機会です。
業務内容だけでなく社風や一緒に働くであろう既存社員の様子などをインターンシップを通して見極めて、入社希望企業やエントリー先を絞り込んでいるといわれています。
学生の動向2「第1志望群への入社意志が強い」
23年卒の学生に対する調査では、入社を決めた企業が就職活動開始当初から第1志望群だったと回答した層が増加しました。
出典:就職みらい研究所『就職白書2023』 2023年卒の就職.pdf
学生はインターンシップを通して第1志望群を絞り込むだけでなく、就職活動の早期化に対応するために進路決定時期が年々前倒しとなっています。
進路決定時期が早期化することで企業研究や自己研究が深まり、より一層「第1志望群」への入社意志が強まると言えるでしょう。
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≪資料の内容≫
● <25年卒>内々定保有率
● <25年卒>就職活動継続率
● <25年卒>今後の就職活動で活用するツール など
2‐3.新卒採用と中途採用の関わり
ここまで新卒採用市場の動向を解説してきましたが、ここからは転職市場動向との関連性を解説します。
新卒採用では卒業年の6月までに内定を得る学生が増えました。
多くの学生が内定を得る6月以降、次年度4月入社の新卒採用枠を充足させることは、実質難しいと考えられます。
また、企業規模や業種などさまざまな事情によりインターンシップの実施が困難な場合、学生からの応募の獲得も厳しい状況となる可能性があります。
そこで、新卒採用状況に応じて早い段階で転職市場に採用枠を拡げることを視野にいれてはいかがでしょうか。
売り手市場であることは新卒採用市場も転職市場も同様です。
しかし転職市場には第二新卒や20代から30代の若年層が含まれています。
新卒採用と中途採用の異なる点はポテンシャルではなく実務経験や保有資格、スキルから採用可否を判断できることです。
基本的な社会人マナーや業種別の基礎知識を得ていることを前提とできるため、教育コストの削減も期待できます。
転職市場も売り手市場とはいえ、アクティブな転職希望者層が多数存在します。
1度就労を経験して新たなスキルの獲得や、新しい業務に挑戦したいと考えている第二新卒や若年層採用にベクトルを傾けることで、企業全体の人手不足の解消につながるかもしれません。
新卒採用は対象者が学生であるため、採用時期に「旬」があります。
しかし転職市場には「条件が合う良い企業があれば転職したい、非正規雇用から正規雇用で働きたい」と考える潜在転職者も存在します。
新卒採用の進捗が思わしくないときは、転職市場に目を向ける価値があるのではないでしょうか。
3.24年度の転職市場予測と中途採用課題
本記事の冒頭で2024年の転職市場予測の概要を解説しました。
ここからはより詳細な転職市場予測と、中途採用課題の予測について解説します。
3‐1.24年度の転職市場予測・転職市場は活発
2024年の転職市場動向は企業の採用活動が活発化します。
2023年12月の求人倍率は3.22倍、転職希望者数は前月比87.7%との調査結果から、企業にとっては採用における競合が増加する見込みです。
さらに、正規雇用労働者の増加だけでなく非正規雇用労働者も増加傾向にあります。
出典:厚生労働省令和5年版労働経済の分析.pdf
売り手市場といわれる転職市場のなかで中途採用を成功させるためには、採用採用手法の選定だけでなく求職者の就労ニーズを探り自社の求人内容の見直しや労働環境の改善が重要です。
また、重要な就労ニーズは現在就業中の転職希望者だけでなく、働く希望はあるが求職活動をしていない転職潜在層や、あえて非正規雇用で働く労働者の求職ニーズのなかにも隠れているかもしれません。
この先は、中途採用の成功のためにより幅広い層の採用ニーズを探っていきます。
3‐2.転職希望者の就労ニーズ
転職希望者の就労ニーズはコロナ禍を経て多様化しています。
コロナ禍を経た現在もテレワークの可否や勤務地と自宅の移動距離、勤務時間の柔軟性など、仕事と私生活のバランスを重視する項目を転職条件に挙げる層が増えました。
これらの条件をもとにアクティブに転職活動をおこなっている層が転職採用市場を占めているわけですが、「条件が合えば転職したい」と考える潜在転職者層の就労ニーズはどのような条件なのでしょうか。
中途採用を成功させるためには、潜在転職者層の就労ニーズに耳を傾けて採用戦略を見直すことが大切かもしれません。
厚生労働省によると2022年の失業者は約200万人でした。
求職活動はしていない就労希望者は約240万人との調査結果から、合計すると約440万人が就労を望んでいるものの就労ができていない状況です。
ここでまず注目したいのは「転職活動はしていないが転職を希望する」層の就労ニーズです。
転職をしたいのになぜ転職活動をおこなわないのかを知ることで、企業側が見落としている中途採用課題のヒントが隠れているかもしれません。
そこで、「転職活動はしていないが転職を希望する層」が転職活動をおこなっていない理由を解説します。
転職活動自体が困難
在職中の20代から40代の転職希望者への調査※では、求人情報収集はおこなったが実際に転職活動をおこなわなかった理由として以下の項目が挙げられました。
出典:厚生労働省令和5年版労働経済の分析.pdf
上記の表では「転職活動をする時間がない」ため転職活動をおこなわなかったとの理由が1位となっています。
転職活動には求人情報検索や履歴書のレジュメ作成などの事務的作業や、面接日程の調整が必要です。
就労中の転職希望者とって、面接日程の調整は特に重要な項目です。
日中の面接は就労中の職場を休むか早退、遅刻の調整が必要になるため、転職希望者にとって負担になります。
企業が中途採用活動で優秀な人材を取りこぼさないようにするためには、現在就労中の転職希望者の負担を軽減させるための配慮が必要なのではないかという課題がひとつみえてきました。
2位は「賃金や処遇面で希望に合う求人がなかった」からです。
転職希望者が希望する賃金や処遇面の課題改善方法については後述しますが、ひとことでいえば「採用競合他社の賃金や労働条件のリサーチ」が肝心です。
転職をするからには現状よりも好条件であること、スキルアップなど自己実現への期待度が高い企業を望むことに不思議はありません。
ミスマッチへの不安
厚生労働省の調査※では20代から40代の若年層・ミドル層が転職活動をしなかった理由に「自分に合う業種がわからない」と回答しています。
対して45歳以降の転職希望者は「新しい環境に不安」と回答しました。
いずれも採用後に「思っていた職場や業務ではない」というような採用後のミスマッチへの不安です。
若年層やミドル層は自分に合う業種とはどのような業種か、将来的なキャリア形成をおこなうことができるのかなど「自己研究の段階」にあるがための不安だと捉えられます。
一方で45歳以上のベテラン層は、慣れていた環境から一新される環境変化そのものへの不安です。
上記の「転職希望だが転職活動をおこなわなかった理由」を分析すると、若年層の中途採用では転職活動工程の簡略化や企業側からのスケジュール誘導、スケジュールの譲歩により応募率や面接率向上が見込めそうです。
ベテラン層は職場環境の変化や新たな生活サイクルの変化を回避したい傾向がありますが、職場見学や業務内容の詳細を事前に共有するなど「働くイメージを具体的に」描けるようなアプローチが有効になるのではないでしょうか。
出典:厚生労働省令和5年版労働経済の分析.pdf
3‐3.非正規雇用労働者の転職ニーズ
非正雇用労働者のなかにはやむを得ない理由により正規雇用労働ができない層と、合理的な理由により非正規雇用労働を選択している層がいます。
さらに、非正規雇用労働者のなかには正規雇用労働ができる企業へ転職を希望しているが、転職活動に至っていない層も含まれています。
では、非正規雇用労働を選択している層は、どのような転職ニーズを抱いているのでしょうか。
出典:厚生労働省令和5年版労働経済の分析.pdf
厚生労働省の調査では「自分の都合のよい時間に働きたいから」「家事・育児・ 介護などと両立しやすいから」など、家庭や私生活を重視するために非正規雇用を選択しているとの回答が上位を占めました。
次点は「正規の職員・従業員の仕事がないから」というやむを得ない理由です。
希望職種の募集枠が非正規雇用労働に多いのではないかと推測されますが、企業が発信する求人情報が本来採用ターゲットとなる層へ届いていない可能性も否定できません。
上記の結果からみえることは、非正規雇用労働を選択している層には企業の雇用条件次第では中途採用ターゲット候補が眠っている可能性があるということです。
雇用条件を受難に提示をしたり職場環境の整備をおこなったりすることにより、スキルや知識を持っているが正規雇用労働では勤務時間が合わない層や、育児と仕事の両立を希望する層など採用ターゲットを拡げることができるのではないでしょうか。
また、採用手法の見直しにより求人情報が届いていない層へアプローチをかけられる可能性が高まるかもしれません。
3‐4.中途採用課題と解決方法
2024年の転職市場予測として挙げられる売り手市場の継続のなかで中途採用を成功させるためには、転職希望者の転職ニーズを知るだけでなく、採用競合と自社の比較と差別化がポイントになります。
具体的にどのような中途採用課題が予測され、どのような差別化が課題解決につながるのか解説します。
採用競合の雇用条件、賃金相場を知る
まず、自社の採用競合がどの企業か見定めておかなければ比較ができません。
おおまかな判断材料は自社と採用ターゲットが同様または類似している企業です。
求人媒体で自社の採用エリアと採用希望職種で検索をおこなったときに、何社の求人情報がヒットするでしょうか。
また、自社の業種や経営規模に近い企業の求人情報が見つかるでしょうか。
業種が異なっても、自社の採用ニーズと近い人材を求めている場合もあります。
ここで確認しておくべき項目は「給与」や「休日」、その他の福利厚生面、スキルアッププランです。
転職者にとって社風なども大切な判断項目にあたりますが、転職者目線でまず比較されやすいのが上記の項目です。
「いままでこの条件だったから」と採用条件の見直しが長期おこなわれていない場合は、優秀な人材が採用競合に転職を決めてしまう可能性が高まります。
中途採用活動を開始する前に、自社の採用競合の分析をおこないましょう。
実際に、ハローワークでは給与や休日、その他福利厚生面を他社との差別化を図ることによる紹介数の変移が確認されています。
例えば、ボーナス支給額や完全週休2日制など休日の条件では、 条件が良い方が1ヵ月以内の紹介件数が15%程度増加、3ヵ月以内の紹介件数は20~30%程度増加するとの報告があります。
とはいえ、中途採用における給与や休日の条件改善は採用担当者だけの裁量ではおこなえない企業が多いのではないでしょうか。
中途採用活動が長期的になっている場合は、採用競合の分析とともに役員や採用予定部署の既存社員を含めた「雇用条件の見直しの機会」が得られると理想的です。
採用競合の情報は、役員など企業上層部との交渉にも重要なカギとなります。
中途採用を成功させるために、ぜひ採用競合の雇用条件や賃金条件の分析や自社との比較をおこなってみてください。
出典:厚生労働省令和5年版労働経済の分析.pdf
柔軟な労働環境
転職者希望者の転職ニーズの項目で解説をおこないましたが、昨今は柔軟な労働環境が求められる傾向です。
共働き世帯が増加していることもあり、男女ともに仕事だけでなく私生活の充実も重視されています。
例えば勤務地についてです。
複数勤務地がある企業ならば転職希望者の居住地を考慮した配属や、転勤の有無や条件を事前にすり合わせられるか否か、将来的なIターン、Uターンの可否など転職希望者のライフスタイルにどれだけ柔軟に対応できそうでしょうか。
勤務時間も転職希望者にとって重要です。
もちろん新卒採用時も重要な項目です。
入社後のライフステージの変化にどれだけ企業が対応してくれるのか、子育てや治療、介護が必要になった場合に柔軟な働き方ができるのかは入社決定意志を左右するといっても過言ではありません。
時短勤務やフレックスタイムの導入により雇用を促進させることが期待できます。
採用競合と自社の労働環境を比較し、優れている場合はアピールポイントとして数値を用いるなどして具体的に訴求しましょう。
その他の労働環境も企業が率先して改善して求職者へ発信することで、「スキルや経験はあるが労働時間や勤務地などの条件により、正規雇用労働をあきらめざるを得ない」層の雇用促進につながる可能性があります。
また、労働条件や職場環境を整えることでワークエンゲージメントが向上して、生産性や労働者の成長につながるといわれているため、転職者だけでなく既存社員にとっても労働環境の改善は大切です。
改善が必要な場合はまず採用競合分析をおこない、自社でどの程度改善可能か社内で検討してみてください。
中途採用手法を見直す
中途採用活動のために転職サイトを利用したことがある企業は少なくないのではないでしょうか。
転職サイトは利用者と求人数が比較的多い採用媒体の1つです。
自然応募が入る場合は採用につながる可能性が高まりますが、応募が入らない場合は他社の求人情報に自社の求人情報が埋もれてしまっているかもしれません。
また、求人情報に不足がある場合は求人情報を明確に記載するために修正をおこなう必要があります。
求人票の見直しなどをおこなっても応募状況に変化が見られないときは、採用手法の見直しがおすすめです。
4.中途採用におすすめの採用手法
ここからは中途採用におすすめの採用手法を紹介します。
4‐1.ダイレクトリクルーティングサービス
ダイレクトリクルーティングサービスはITエンジニアなど希少職種の採用に特化したサービスや、事務職、営業職、販売職など幅広い職種の募集がおこなえる総合型のサービスがあります。
ITエンジニアなどの採用に特化したサービスではGreenやpaiza、総合型のサービスではBizReach(ビズリーチ)やdodaダイレクト、エン転職ダイレクトなどが代表的です。
採用ターゲットに合わせたサービスを選ぶことで採用の成功につながります。
ダイレクトリクルーティングサービスの最大の特徴は企業が転職希望者へ直接スカウトをおこなえる点です。
雇用条件などを個別にやり取りすることができるため、面談や面接時に双方が前向きな状態で向き合うことができます。
また、転職への熱意が高い層だけでなく、良い条件があれば転職をしたいと考えて登録をおこなっている「転職潜在層」へのアプローチも可能です。
「自分のスキルと合うか不安」と感じる潜在転職者層に対しても、個別で惹きつけやカジュアル面談への誘導もしやすくなります。
さらに、「転職活動の時間がない」ため転職活動に積極的になれない層に対して企業が求人情報をアピールし、面接工程の簡略化などを提案することも可能です。
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4‐2.転職サイト
中途採用で複数名募集したいときや、自社の採用エリアに登録者が多数いる場合はdoda(デューダ)やエン転職など転職サイトの利用がおすすめです。
転職サイトにより得意とする募集職種やエリアが異なるため、各サービスの特徴を確認しておきましょう。
また、掲載期間や掲載できる求人票のボリュームなどが転職サイトごとに異なるので、活用時はサービス詳細をよく確認してください。
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採用サイトからの応募獲得に苦戦しているものの、改修ポイントがわからない。
これから採用サイトを作成、更新するうえでどのような点に気を付ければ良いのかが知りたい。そのような企業におすすめの無料資料です。
4‐3.求人検索エンジン
求人検索エンジンは求人情報を集めた検索エンジンを利用した採用手法です。
代表的なのがIndeedと求人ボックスです。
無料でアカウントを解説して求人募集をおこなうことができますが、有料プランを利用することでより多くの求職者に求人情報をアピールすることができます。
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・Indeedをわかりやすく説明してほしい
・転職サイトや人材紹介を活用しているが新しい手法を探している
・求人検索エンジンに興味がある
4‐4.SNS採用
中途採用に限らず新卒採用にも導入されているSNS採用は、動画や写真配信をおこなうことで求人票では伝えきれない社風や、一緒に働く既存社員の人柄を伝えることで共感性や興味を高めます。
また、FacebookやInstagramではDM機能などを用いた個別スカウトも可能です。
自社を知らない層へのアピールや宣伝効果も期待できるため、他の採用媒体と併用している企業も増えています。
自社でSNSの運用をおこなうほか、代行業者へSNS運用を依頼することも可能です。
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4‐5.採用管理システム(ATS)
「中途採用だけでなく新卒採用やアルバイト採用もおこなっている」
「採用媒体ごとの応募者管理や面接スケジュールの管理が大変」
このような採用工数を減らして採用関連の業務やデータを一元管理できる採用管理システムは、採用担当者の負担を軽減させることができます。
また、迅速な応募者対応が可能となるため面談率や面接率向上効果も期待できます。
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5.転職市場のトレンドをおさえたサービス一覧
前章では中途採用におすすめの採用手法を解説しました。
売り手市場が続く転職市場で中途採用を成功させるためには、転職市場のトレンドをおさえたサービスの利用も大切な戦略のひとつです。
中途採用手法選びのために、転職市場のトレンドといえるサービスの詳細を解説します。
5‐1.転職市場のトレンド1・企業から求職者へアプローチ
前章でダイレクトリクルーティングについて解説をおこないましたが、求職者からの応募を待つのではなく、企業から求職者にアプローチをおこなう攻めの採用は、転職市場のトレンドといえます。
現在、多くの業界や業種で採用難といわれているため、採用競合も増えている状況です。
自社の採用ターゲットにいち早く自社の求人情報を知らせて、惹きつけをおこない面談につなげることで、採用の効率化や内定率の向上につながりやすくなります。
ダイレクトリクルーティングサービスのなかから、ITエンジニア系職種の採用に強みのあるサービスと、経験者採用に強みのあるサービスを紹介します。
ITエンジニア系職種の採用に強みのあるサービス
ITエンジニア系職種の採用に強みがあるサービスを紹介します。
Green(グリーン)
・登録者数120万人
・20代~30代が80%、若手ITエンジニアやWebデザイナー職種の採用に強みがあるダイレクトリクルーティングサービス
・フロントエンジニアやバックエンドエンジニア、インフラエンジニアやQAエンジニアなどのエンジニア系職種、UI/UXデザイナーなど幅広い職種の採用にセグメント
・初回利用時のみ初期費用が発生しますが、以降は永年成功報酬のみで利用可能なため、掲載期間を気にせず通年採用をおこないやすい
・1度に100名に送付可能な一括アプローチの送付数は無制限
・個別スカウトは月に400通送付可能
paiza(パイザ)
・登録者数36万人以上
・平均年齢34歳、ミドル層やハイクラス層の採用が可能なエンジニア採用に強みがあるダイレクトリクルーティングサービス
・応募者は全員がS〜Dランクの5段階で実力を判定されているので、自社が求める実力のエンジニアにセグメントした採用が可能
・プロジェクトマネジメントができる人材や、研究者層も多数登録
・初期費用0円の成果報酬型
・paizaカスタマーサクセスにより、応募者獲得から選考活動まで一気通貫したフォローを得られるため、ダイレクトリクルーティングサービスがはじめての企業や、採用ノウハウに不安がある企業におすすめ
経験者採用に強みのあるサービス
経験採用に強みのあるサービスを紹介します。
BizReach(ビズリーチ)
・登録者数236万人以上(2024年時点)
・役職、管理職経験者が多く、プロデューサー経験者、マネージャー経験者など、事業の中核となる人材の採用に強みがあるダイレクトリクルーティングサービス
・登録者は独自の審査を通過したハイクラス層のみ
・職種100種類以上×業種50種類以上の組み合わせで検索が可能
・プラチナスカウトは面接確約が前提なので、採用工数を減らすことができる
dodaダイレクト
・登録者数338万人
・20代から30代中心の営業職、金融系、ITエンジニアやなどの経験者が多いダイレクトリクルーティングサービス
・成果報酬なしのため複数職種の採用時も追加料金が発生しない
・スカウトの開封率平均は75%と高く、面接確約のため面接辞退を防ぎやすい仕組み
・予約送信が可能なため、採用ターゲットの行動にあわせたアプローチにより、開封率向上につながる
エン転職ダイレクト
・登録者数375万人
・20代~30代の即戦力人材が中心
・ユーザーの46%は同職種を5年以上経験していることから、若手経験者の採用に強みがアルダイレクトリクルーティングサービス
・年収層が400~600万円前後の求職者をスカウトできる
・求職者の転職意欲を表すパラメーターが表示されるため、転職意欲の高いスカウト候補者を選びやすい
・スカウト文面にリクルーターの情報や動画を添付することができるため、配属予定先メンバーなどの雰囲気を伝えやすい
5‐2.転職市場のトレンド2・SNSを利用して自社を知らない層へアプローチ
近年はFacebookやInstagramなどのSNSが若年層を中心に流行しています。
SNSを利用した採用は転職市場のトレンドの1つであり、アカウントを解説して運用をおこなう企業が増えています。
SNSのアカウントは基本的に無料で開設することができるため、企業の情報発信ツールとして利用しやすく、転職者への情報発信だけでなく顧客へのアピールも可能です。
また、有料プランや広告プランを利用することで、多くのSNSユーザーに情報を発信することも可能です。
SNS広告の運用は自社でおこなうことも可能ですが、運用を代行会社に依頼して採用担当者の工数を減らすこともできます。
本章ではSNS広告の代表的なサービスを解説します。
Facebook広告・Instagram広告
・FacebookやInstagramは世界中にユーザーを有しているSNS
・企業が公式アカウントを開設して、社員紹介や企業紹介、取り扱いサービス等の紹介を一般投稿することが可能
・Facebook広告、Instagram広告の配信をおこなう際も広告として意識されにくく、自然な投稿として目に留まりやすい特徴がある
・Facebook広告、Instagram広告は精度の高いターゲティング力が強み
「どのようなひとに配信をおこなうか」ターゲティングを詳細に設定可能
・SNSのDM機能を利用して個別にアプローチできる
・運用代行会社への依頼ができる
6.まとめ
本記事では2024年の転職市場予測を解説してきました。
新卒採用を同時並行でおこなう企業は新卒入職者の受け入れ準備や25卒の採用準備に忙しいかと思いますが、中途採用枠の確保をなるべく工数をかけず、採用ミスマッチを防ぎながらおこなうことが「売り手市場」の採用を成功させるためのポイントになります。
ぜひ本記事の転職市場予測を参考に、採用計画を見直してみてください。
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2009年に新卒でネオキャリアに入社後、営業からマネジメントまで多岐に渡りトップレベルの業績を残し事業部長に就任しました。 「顧客視点」を第一に考え、市況感を先読みした革新的なアイデアで採用成功まで導きます。
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中島/中途領域
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