新卒採用における母集団形成の方法まとめ|貴社が優秀な人材と出会うために最適な採用メソッドとは?
新卒採用
新卒採用において、まず初めに重要なポイントとなるのが母集団形成です。昨今、入り口のエントリー数がなかなか思うように集まらず、採用が長期化してしまうというお声を多くいただいています。
今後十分な数の母集団を形成するためにも「求める人物像」「採用目標数」「選考・評価基準」などをしっかりと明文化し、新卒採用広報開始前に準備をおこなうようにしましょう。
さらにその上で、採用の入り口である母集団形成の方法は企業によりさまざまです。どの方法が最適かは、企業が重視するポイントや採用の規模感などによっても異なるため、自社に合った母集団形成方法を選定するようにしましょう。
本記事では、
・新卒採用における母集団形成のポイント
・新卒採用の母集団形成手法9選
・それぞれの母集団形成手法のメリット・デメリット
などをご紹介しております。ぜひ本記事を参考に、今後の新卒採用の見直しや計画立案にお役立てください。
目次
1.母集団形成とは
新卒採用における母集団形成とは、自社の求人に興味や関心を持っている学生を集めることを指します。
単にたくさんの学生を集めれば良いというわけではなく、集めた学生が自社の求める人物像にマッチしているかどうかが重要なポイントです。
さらに、母集団(採用候補者)が極端に少ない場合はそもそも学生を選べるだけの選択肢がなかったり、反対に母集団が膨大な場合はその見極めに工数がかかったりと、企業の採用目標数や採用ターゲットに合わせて適切な母集団を形成する必要があります。
1-1.母集団形成の「課題」と「注意点」
まずは新卒採用における母集団形成の課題と注意点についてみていきましょう。
採用ターゲットにマッチしていないと意味がない
母集団形成には学生の数・質がともに適正であることが重要です。
採用方針をもとに設定したターゲットにマッチしていないと、どんなに母集団を集めても徒労に終わってしまう可能性もあります。
効果的かつ効率的に採用ターゲットとなる学生を集めるためにも、企業側は、自社で活躍できる人物像を明確にしておくことがまずは第一歩です。
その際は、見極め(書類選考や採用面接)に関わる方々と採用目線をしっかりとすり合わせておくことが採用効果・効率化に繫がります。
「流行手法」=自社における「有効手法」とは限らない
比較的新しいテクノロジーを使う手法はいつの時代でも流行します。
しかし、それが自社に最適かどうかはしっかりと検証をしなければなりません。
最新の手法について、幅広く情報を集めることは重要ですが、その手法をどういった目的で利用をするのかを明確にすることが重要ポイントです。
適した母集団形成手法を選択する
自社の求める学生像にマッチする母集団形成手法を選ぶためには、各手法のメリット・デメリットを整理することが必要です。
場合によっては自社の採用スタイルを変更したほうが良いこともあります。
時代による学生動向・市場変化をキャッチしつつ、自社の採用方針を照らし合わせ、手法を検討することが大切です。
2.母集団形成手法のまとめ
新卒採用における母集団形成の方法は、オフライン・オンラインを問わずさまざまです。以下に主要な9つの母集団形成方法とそれぞれのメリット・デメリット、そして効果的な活用方法をまとめてご紹介します。
2-1.就職サイト
就職サイトは、新卒採用において最も一般的な母集団形成手法です。
利用者が多く、幅広い学生に自社を認知してもらい、エントリーを募れることは、就職サイト最大のメリットだといえます。
特に就職サイト大手であるマイナビ・リクナビは、広報期間開始時期に合わせ学生への広告展開なども積極的なため、登録学生数はほか媒体に比べ群を抜きます。
両サイトを活用される企業様も最近は多いですが、どちらか一方には必ず掲載するという企業も多いのではないでしょうか。
また、就職サイトに掲載をすると学生管理システムを利用することができるため、効率的な応募者管理も可能です。
一方で現在は、どの就職サイトにしても掲載企業が多いため競合他社と差別化したり、より深く計画的に活用をしないと埋もれてしまうというデメリットもあります。
就職サイトは「広告」であることを意識し、しっかりと運用していくことが求められます。
運用方法もさまざまですが、検索時に上位表示されるオプションなどもメニュー豊富に用意されていますので、効果を見極め活用時期を定めていくなど、待つだけではなく戦略を立て実行していくことがポイントです。
メリット
・利用学生数が多く、幅広い学生に自社を認知してもらえるフィールドである
・エリアを問わず、一度に自社認知を促すことができる
・応募者管理システムが利用できる(一部、就職サイト経由以外の外部データ取り込みも可能)
デメリット
・掲載社数が多く、埋もれてしまう可能性も高い
・競合他社との差別化や上位表示オプションなどのサイト内運用を怠ると効果が出にくい
効果的に活用するには
・「広告」であることを意識し、サイト内運用を計画する
・上位表示オプションなどの効果を可視化し、時期戦略を立てる
2-2.新卒紹介サービス
新卒紹介とは、企業側の採用要件に沿った学生を、紹介会社が厳選して企業に紹介するサービスです。
エージェント側は、企業の知名度ではなく、なかなか伝わりにくい仕事内容やスタイルと学生の志向や適性などをマッチングさせ、企業を紹介していきます。
そのため、就職サイトでは出会えなかった学生と接触できたり、採用人数が少なければ効率化にもつながります。
このように、採用担当の手間がかからないうえ、利用料金は完全成功報酬型のため、リスクが少ないことがメリットです。
また、紹介会社のキャリアカウンセラーを経由することで、学生の志望動機がブラッシュアップされることもあるため、比較的承諾率が高いこともメリットのひとつといえます。
一方、エージェントの手を介して紹介されるため、出会える学生数が極端に少なくなってしまう可能性もあります。
また、企業の採用担当が直接自社の説明をおこなうわけではないため、企業とエージェント間のコミュニケーションやエージェントの企業理解度によって学生への伝わり方が変わってしまいます。
そのため、新卒紹介サービスを利用する際は、担当のエージェントと密なコミュニケーションを取り、相互理解を深めることを大切にしましょう。
メリット
・就職サイトで出会えなかった学生と出会える
・少人数採用には効率的
・完全成功報酬型でリスクが少ない
デメリット
・出会える学生数がが少ない可能性がある
・紹介会社経由でも、承諾率が低い可能性がある
効果に活用するには
・しっかりとした学生対応、丁寧な紹介をしてくれる会社を見極める
・エージェントと募集内容をすり合わせ、協力体制をつくる
2-3.合同説明会/イベント
合同説明会は、インターンシップ期間(広報解禁前の6月~翌2月)に開催されるものもあれば、3月以降に開催されるものもあります。
学生なら誰でも参加できるものから、志望業界別、理系限定、体育会限定といった、学生の特性別に開催されるものまで種類もさまざまあります。
企業が学生と対話することができるので、企業のハードデータ(資本金や企業規模など)以外の魅力を直接アピールすることができます。
また、参加学生の多いイベントでは、一度に多くの応募者情報を得ることができ、効率性は高いです。
最近は、大規模イベントであれば、企業認知施策のひとつとしてイベント出展を利用される事例もあります。
パンフレットなどの会社資料を直接配布することもできますので、広告塔のような活用方法も有効であるといえます。
一方で、企業出展数に対して、参加学生数が少なく、思ったような効果が得られないこともあります。
学生の就職活動が短期化し、ひとりあたりのエントリー数などの行動量も低減する傾向のため、イベントの開催時期や前年集客数などの情報から、出展目的に見合った効果が見込めるイベントなのかを見極める必要があります。
メリット
・志望業界別、理系限定、体育会限定といった学生の特性別に開催されるものもあるので、効率的にターゲットに出会える
・企業がハードデータ以外の働いている人や雰囲気、伝わりづらい仕事の魅力などを直接アピールすることができる
・企業認知施策としても利用できる
デメリット
・出展企業に対し、参加学生が少なく思ったような母集団形成ができない可能性がある
効果的に活用するには
・イベントの開催時期や前年集客数などの情報から、出展目的に見合った効果が見込めるイベントなのかを見極める
・出展企業でうまく母集団形成ができた事例を集めて参考にする
2-4.マッチングイベント
合同説明会と比較し、より小規模におこなわれるマッチングイベントは、企業認知に課題を持つ中堅・中小・ベンチャー企業とって魅力的な手法です。
マッチングイベントは、出展社数が少なく、学生は50~100名ほどが一般的です。
学生集客はイベント開催会社がおこないますが、出展企業名で集客をするのではないため、企業認知に自信のない企業様でも、必然的に参加学生数同等の母集団形成ができます。
就職活動に積極的で、就労意欲の高い学生と会えること、そしてインターンシップなどの受け皿を用意できれば、早期からこうした学生と接触できることがメリットです。
一方で、採用までつながりにくいことがデメリットとして挙げられます。
もちろん採用実績のある企業様もたくさんありますが、特に早期開催のマッチングイベントであればあるほど、接触時期が早いだけに学生へのアプローチ・その後のフォローに悩む企業様が多いのも事実です。
またマッチングイベントでは、企業側のプレゼンテーションがあったり、学生との座談会・面談機会を設けていることも多いため、その際の魅力づけが不足するとその後の選考までの歩留まりが見込めません。
しっかりと事前準備をして、参加することが重要ポイントです。
メリット
・出展社数が少なく学生は50~100名なので、企業認知に自信のない企業様でも、必然的に参加学生数同等の母集団形成ができる
・就職活動に積極的で、就労意欲の高い学生と会える
・インターンシップなどの受け皿を用意できれば、早期からこうした学生と接触できる
デメリット
・早期開催のマッチングイベントでは、接触時期が早いだけに学生への選考動員フォローが難しい
・企業側のプレゼンテーション、学生との座談会・面談機会で魅力づけが不足すると、その後の選考までの歩留まりが見込みづらい
効果的に活用するには
・プレゼンや面談の際の担当者間の役割分担など、シミュレーションを含め事前準備をしっかりとおこなう
2-5.大学・研究室訪問(学内セミナー)
ターゲット大学に訪問し、自社説明会を開催するのが学内セミナーです。
最近では、各大学のキャリアセンターなどが合同説明会のように企業ブースを設けて、学生との出会いの場を提供してくれているところも多いです。
ローコストでターゲット大学の学生と出会えることが最大のメリットです。
時期も広報開始の3月からの開催が多く、ながければ10日間ほど開催してくれる大学もあります。
昨今、学生の行動量も低下傾向の中、こうした大学主体のイベントに参加することで効率的にターゲット母集団形成をおこなうことが可能です。
ただし、企業からの出展依頼も多く、なかなか誘致してもらえない可能性も高いです。
一度出展ができると開催決定時に声をかけてもらえたりするため、大学とのパイプづくりとしては効果が高いのですが、かなりの狭き門です。
ターゲット大学と決めるのであれば、辛抱強く大学へアプローチすることも、何年か後の採用を考えるのであれば長期施策として有効です。
また広報開始期には、大学開催以外にも多くの合同説明会や企業セミナー、グループ合同セミナーなどもあり、学内セミナーや企業ブース出展においてお勧めするのが、モチベーションの上がる動画を学生の前で流すことです。
自社の社員が活躍する姿、成長する姿、会社が大切にする理念などをストーリー仕立てにし、エモーショナルに伝えることで、セミナーのインパクトを倍増させることができるでしょう。
メリット
・ローコストでターゲット大学の学生と出会える
・一度出展ができると開催決定時に声をかけてもらえたりする
・パイプづくりとしての効果も見込める
デメリット
・企業からの出展依頼も多く、誘致してもらえない可能性が高い
効果的に活用するには
・モチベーションの上がる動画を学生の前で流すなど、その場で選考参加意志決定まで持っていける準備をする
・ターゲット大学と決めるのであれば、辛抱強く大学へアプローチする
2-6.ダイレクトリクルーティングサービス
ダイレクトリクルーティングは、ターゲット人材を獲得するために、採用担当者が自ら主体的に活動をすることを言います。
スカウティングと呼ばれるサービスも多くあり、こちらを活用している企業も増えています。
登録されているさまざまな学生と直接コンタクトを取ることができ、こちらからアプローチ次第で、選考へ動員することができます。
比較的情報感度の高い学生の登録が多く、いわゆる優秀層学生が多いことも特徴です。
ただ「出会った学生を口説きおとせるか」がダイレクトリクルーティングのポイントとなります。
前述のマッチングイベント同様、接触後の選考動員、入社承諾が壁になることも多く、接触後にどのようなフローで惹きつけをおこなっていくかを体系的に考え運用することが求められます。
学生にとっては、就職サイトという王道ではなく、自分自身の能力や人間性を登録してスカウトを受ける形の企業アプローチなため、それ相応の特別対応をしていくことで競合他社との差別化がはかれます。
メリット
・登録されているさまざまな学生と直接コンタクトを取ることができる
・比較的情報感度の高い学生の登録が多く、いわゆる優秀層学生が多い
デメリット
・出会った学生を口説きおとせるか、惹きつけられるかがポイント
・ただただ選考をするだけでは、入社承諾まで至らない可能性もある
効果的に活用するには
・ダイレクトリクルーティングからの特別選考フローをつくるなど、スピーディな選考をする
・アプローチから説明会動員ではなく、1:1の面談に動員するなど、インパクト重視の特別選考が効果的
2-7.内定者や新入社員からの紹介(リファラル採用)
長期的な母集団形成手法として取り組んでいきたいのがリファラル採用です。
新卒採用で母集団形成をする場合、すでにいるその年の内定者や、新入社員へ友人紹介・後輩紹介を実施することも有効な手段といえます。
さらに、類は友を呼ぶという言葉からも想起できるように、同じような価値観や考え方をもった人材を集めるために効率的な方法です。
内定者からの紹介としては、インターンシップなどの受け皿を準備できれば、次年度の採用に向け、後輩の紹介をお願いすることもできます。
ただし、新入社員が自社の仕事に満足していない、不安を抱えている状態では、後輩の紹介に踏みきれない場合もあります。
この問題に関わらず、リファラルの土壌を築いていくためには、社員満足度の向上も長期的に必要な採用戦略のひとつになるでしょう。
メリット
・「優秀な学生(社員)の友達は、優秀」という仮説のもと、効率的なターゲット母集団形成ができる
デメリット
・社員満足度が低い土壌では、そもそも紹介が集まらない可能性もある
効果的に活用するには
・リファラル採用を導入できる土壌をつくる
・内定者には友人紹介キャンペーン、後輩紹介キャンペーンなどのインセンティブを設けてみる
2-8.SNSの活用(Facebookなど)
採用活動において、SNSを活用する事例もあります。
就職サイトに比べると、直接的な応募受付や学生の個人情報取得は困難ですが、企業認知を高めたり、定期的な情報提供を実施することで応募意欲を高めることにつながります。
就活サイトを利用していれば、リンクを貼るなど、相互連携し母集団形成につなげることができます。
また、日常的にSNSを利用する学生と気軽にメッセージのやりとりができるという点においても、学生の普段通りのナチュラルな部分を知ることができるので、より採用・入社後のイメージがつきやすくなるでしょう。
メリット
・企業認知を高めたり、定期的な情報提供を実施することで、応募意欲を高めることができる
・就職サイトを利用していれば、リンクを貼るなど、相互連携し母集団形成につなげることができる
・学生と気軽にメッセージのやりとりができる
デメリット
・直接的な応募受付や学生の個人情報取得は困難
効果的に活用するには
・SNSの立ち位置(利用目的)を明確にし、情報提供の場として運用する
・活用するのであれば、更新頻度・更新計画を明確にし、情報を途切れさせない
2-9.自社の新卒採用サイト(オウンドメディア)
最近では、「企業理念」とは別に「採用理念(採用コンセプト)」がある企業も多くあります。
そのため、よりその企業らしさをビジュアル的に見せるために、新卒採用サイトを自社ホームページとは別に開設し、学生への魅力づけに活用する事例も増えました。
また、コーポレートサイトと区分して採用専用のサイトを設けた方が、学生がよりスムーズに企業の採用情報を得ることができたり、エントリーまでの流れも分かりやすくなるため活用しやすいとの声もあります。
ただ、採用サイトを制作したとしても、そのサイトをより多くの学生に見せるような運用を検討しなければ、母集団形成手法としては成り立ちません。SNSを合わせて利用したり、前述のイベントでQRコードを配るなどの工夫が必要です。
メリット
・就職サイトにはない、企業らしさをビジュアル的に見せることができる
・学生に対し、全選考工程を通して魅力づけをおこなえる
デメリット
・採用サイトだけでは、母集団形成にはならない
・SNSなど拡散する運用方法の検討が必要
効果的に活用するには
・就職サイトやイベントなど、学生との接触機会に採用サイトを採用情報源として展開する
・接触→本選考動員の率アップに活用する
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。これからの日本は、少子高齢化に伴い労働人口が減っていくことが避けられません。
どこの企業も優秀な人材を確保すべく工夫を凝らすため、人材の獲得競争はどんどん厳しくなります。
今の時代だからこそ、あらかじめ戦略的に母集団形成をおこない、効率的で、かつ効果的な採用を心がけることをお勧めいたします。
中小・ベンチャー企業を採用成功に導く戦略を
入社してから一貫して新卒採用のコンサルティングをおこなう部署に携わる。大手上場企業~ベンチャー企業まで計1,000社近くの支援を経験し、現在は新規営業部門の責任者として従事。
- 名前
斎藤/新卒採用領域
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