飲食店の人手不足はどうなる!?アルバイト市場動向から見る採用戦略
アルバイト採用
コロナ禍を経て、飲食業界は大きな転換期を迎えています。
2023年、コロナの「5類」移行により、外食需要は急速に回復しています。
外食業の全体売上は前年比114.1%、2019年比でも107.7%と、コロナ前を上回る水準に達しました。
特に、「パブ/居酒屋」の売上は前年比134.9%と大きく伸びています。
しかし、この売上増加の裏には深刻な人手不足があります。
帝国データバンクの調査によると、飲食店の非正社員の人手不足割合は85.2%と、全業種で最も高い数値を示しています。
*参考:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和5年(2023年)年間結果報告」
本記事では、
・飲食店のアルバイト採用動向
・飲食店がアルバイト採用を成功させるためのコツ
・求職者が飲食店に求めていること
などを詳しく解説しますので、アルバイトの採用活動にぜひお役立てください。
目次
1.飲食店の人手不足の原因と採用市場
最新の調査結果によると、飲食業界の人手不足にわずかながら改善の兆しが見え始めています。
実際のデータに基づいた採用市況と採用課題の理由について考察します。
1-1.非正社員の従業員数40.0%増加
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)
帝国データバンクの2024年4月の調査によると、飲食店の非正社員の人手不足割合は74.8%と、依然として高水準ではあるものの、前年同月から10.4ポイントも低下しました。これは、業界全体で見られる大きな変化です。
さらに興味深いのは、人手不足を感じている飲食店のうち、40.0%で非正社員の従業員数が増加しているという点です。これは、採用努力が実を結び始めている証拠かもしれません。
しかし、楽観視はできません。正社員の人手不足割合は依然として51.0%と高止まりしており、業界全体での課題は続いています。
この状況下で、どのように人材を確保すればよいのでしょうか?
ここで重要なのは、業界全体の傾向を把握しつつ、自店舗の独自性を活かした採用戦略を立てることです。
柔軟な勤務体系の導入
「パブ/居酒屋」の店舗数は2019年比69.0%まで減少しています。これは、従来の長時間労働モデルが通用しなくなっていることを示唆しています。
短時間シフトや週末限定勤務など、多様な働き方を提案しましょう。
賃金の見直し
客単価は前年比107.3%と上昇しています。
この増収分を活用し競争力のある賃金を提示することで、優秀な人材を引き付けることができるでしょう。
キャリアパスの明確化
「ファストフード」業態は2019年比120.1%と好調です。
この成長産業としての魅力を伝え長期的なキャリア展望を示すことで、応募者の関心を高められます。
テクノロジーの活用
人手不足を補うため、セルフオーダーシステムやキッチン自動化など、テクノロジー導入を積極的に行い、それを求人情報でアピールしましょう。
インバウンド需要への対応
2024年3月には訪日外国人が初の300万人を突破しました。
語学スキルを持つスタッフの採用や、多言語対応の強化が差別化のポイントになるかもしれません。
1-2.飲食店の賃金が15%も低い理由
飲食業界の平均時給は、全産業平均と比べて約10〜15%も低いのが現状です。
これは決して小さな差ではありません。
例えば、他業界で時給1,200円の仕事があるとすれば、飲食業では1,020円〜1,080円程度になってしまいます。
この賃金の低さには、いくつかの理由があります。
業界の利益率の低さ
多くの飲食店は食材費や家賃などの固定費が高く、利益率が低いのが現状です。
そのため、従業員に高い賃金を提供したくても、経営的に難しい状況に陥っています。
最低賃金の上昇による圧迫
最低賃金は年々上昇していますが、それに伴って人件費も増加します。
これが経営をさらに圧迫し、賃上げの余地を狭めてしまっています。
業界の構造的問題
飲食業界は参入障壁が比較的低く、競争が激しい業界です。
この激しい競争が価格競争を招き、結果として利益率を下げ、賃金にも影響を与えています。
仕事の幅がアルバイトを超えている
居酒屋などの飲食店でありがちなのが、アルバイトでも店長や社員と同等の業務をこなしているケースです。
そもそも社員が膨大な業務量を捌けず、どうしてもアルバイトに頼らざるを得ないといった状況になりがちです。
そのため、求職者からすると「飲食業界は仕事量に対して給与が安い」と感じてしまうこともあります。
賃金水準の低さが与える悪影響
・優秀な人材の確保が困難になる
・従業員の定着率が低下する
・サービスの質が低下し、顧客満足度が下がる
・店舗の評判が下がり、売上が減少する
・さらなる賃金アップが難しくなる
1-3.飲食店は休暇がとりにくい
営業時間と一般的な休日ののミスマッチ
飲食店の多くは、一般的なオフィスワーカーが休みの土日祝日や夜間がメインの営業時間です。
結果として、従業員は家族や友人と過ごす時間が取りづらくなっています。
シフト制の複雑さ
多くの飲食店では、効率的な人員配置のためにシフト制を採用しています。
しかし、これにより連続した休暇の取得が難しくなり、長期の休暇計画が立てづらい状況になっています。
人手不足による悪循環
スタッフが少ないため、誰かが休むと他のメンバーの負担が急増します。
その結果、体調不良時でも出勤せざるを得ない状況が生まれ、さらなる人手不足を招いています。
休暇が取りにくい環境が与える悪影響
・従業員の心身の疲労蓄積
・ワークライフバランスの崩壊
・モチベーションの低下
・離職率の上昇
・新規採用の困難化
1-4.飲食店の長時間労働の実態
飲食店の労働環境は、勤務時間が長いうえに業務量が多いことが特徴的です。
飲食店での主な仕事であるホールとキッチンはどちらも立ち仕事であり、事務仕事に比べて体力を消耗します。
また、コンビニのように24時間営業する飲食店もあります。
立ち仕事に加えて長時間労働が重なることで、体力的に厳しい人は短期間で辞めてしまうこともあります。
見えない労働時間の存在
営業時間外の準備作業(仕込み、セッティング、閉店後の片付けや清掃作業など)の時間が実際に想定していた労働時間以上の労働時間が発生しているケースが多くあります。
この時間が労働者の負担になっている場合があります。
繁忙期の過酷な労働
季節イベントや連休時の客数増加により、過酷な労働が強いられることがあります。
人手不足による一人あたりの負担が増え、結果として、労働基準法で定められた残業時間の上限を超過するケースもあります。
トラブル対応
トラブルやクレーム対応までもアルバイト・パートがおこなっている場合があります。
これにより労働時間が超過してることがよくあります。
トラブルやクレーム対応については、求人口コミサイトなどを見ると、たびたびマイナス面として投稿されています。
クレーム対応を誤ればお店の評判にも関わることもあり、大きなストレスにもなってしまいます。
長時間労働がもたらす悪影響
・慢性的な疲労蓄積とストレス
・健康問題(睡眠障害、腰痛など)の発生
・モチベーション低下と離職率の上昇
2.飲食店の繁忙期・閑散期の採用状況
飲食店には、繁忙期と閑散期があります。
飲食店の繁忙期は、休暇や季節のイベントに大きく影響されることが特徴です。
たとえば年末年始は忘年会・新年会シーズンであり、会場として飲食店が利用されるため混雑します。
また、ゴールデンウィーク、夏休み・お盆の時期は、旅行客の影響を受けて飲食店の利用客は増加します。
繁忙期には店舗を回すために通常より従業員を増やさなければならず、さらに採用が難しくなる時期と言えます。
一方で閑散期は客数が落ちつくため、普段より少ない従業員で店を切り盛りできることがあります。
この時期は従業員をを増やす必要がないため、採用活動に力を入れなくても良いでしょう。
このように、飲食店は繁忙期と閑散期で混雑状況に大きな差があるため、時期に合わせた採用戦略の策定が必須です。
3.飲食店がアルバイト採用を成功させる秘訣
ここまで、飲食業界は「業務量が多く、人材の定着率が悪い」「コロナ打撃により感染リスクが懸念されている」など、採用難の原因についてお話しました。
それでは、採用難を解消するためにどのような取り組みをするべきでしょうか。
3-1.外国人やシニアなど採用の幅を広げる
現在はどのような方をターゲットにして採用活動をされているでしょうか。
「主婦、学生、フリーターも歓迎。」といった求人をよく見かけます。
しかし少子高齢化や人手不足の悪化により、新たな人材活用として「在留外国人」や「シニア」の採用も注目されています。
外国人の活用
大手チェーン店などでは当たり前のように見かけるようになってきた外国人。
日本に滞在する外国人の中には、日本語を流暢に話すことができ日本人とのコミュニケーションに問題がない方や、優秀な留学生が多くいます。
しかし、外国人を雇用するためには、外国人を雇用するための制限・条件が多いという課題があります。
たとえば、外国人が日本の飲食店で働くためには27種ある在留資格のうち「技能・人文知識・国際業務」もしくは「留学生」を保有することが必須です。
アルバイトで採用するのは基本的に留学生となることが多いですが、留学生は働く時間の制限が厳しく、原則週28時間までです。(長期休暇中は週40時間までになります。)
それでも、在留外国人は日本で成長したいという強い思いを持っている人が多く、採用できれば活躍を期待できます。
外国人を採用したいがどうしたらいいのかわからないという企業には、まずは外国人の雇用に特化した人材サービスを利用するのがおすすめです。
最近はシニア専用の求人情報サイトまで出てきており、シニア層の雇用に積極的な企業が増えてきました。
アルバイト求人サイトの求人には「60代歓迎」という言葉が見られたり、検索条件にも「シニア応援」という条件が追加できるようになっています。
実際に大手ファストフード店「モスバーガー」は2014年ごろからシニア層の活用に力を入れており、一部の店舗では従業員のうち60歳以上のシニア層が20%を占めるそうです。
しかし、体力面・病気やケガの心配など、シニアの方が飲食業界で働けるのかどうか、不安に思う方もいらっしゃると思います。
たしかに、重い食事を運ぶことや、かがんだり重労働をすることは難しいかもしれません。
一方で落ち着いたカフェでの接客などであれば安心できます。
また最近は業務の切り出しをする企業も増えており、「仕込みだけ」や「店内整理・清掃だけ」といった形にすることもできます。
3-2.採用マーケティングを取り入れる
現在、アルバイトの求人サイトや求人フリーペーパーなどに求人掲載している企業が多いと思います。
しかし、アルバイト求人サイトはただ掲載するだけで応募が獲得できるものではありません。
アルバイトを探している求職者は、さまざまな他の求人と比較検討をしています。
その中で選ばれる求人になるには、自社の強みや自社を取り巻く環境、地理的な特性も把握した上で戦略を立てる必要があります。
具体的には以下のような点をマーケティングデータに基づいて分析・改善していく必要があります。
・ターゲットの母集団はどのくらいか?
・競合の時給はいくらか?
・どのような原稿で広告を打ち出せばいいのか?
・どの媒体を選べばいいのか?
しかし、インターネットで調べればある程度は情報を入手できるものの、1から集めようとすると時間がかかり大変です。
ネオキャリアでは10,000社以上の採用支援で培ったノウハウを活かし、下記のサービスをおこなっています。
ご興味があればぜひお気軽にお問い合わせください。
>採用マーケティングの情報収集例
- エリア×職種
職種ごとの
・求人件数
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などがエリア別で集計できます。現在の情報から過去の情報まで集計できるので、それらの推移も確認できます。
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競合企業の
・掲載媒体
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などが職種別で集計できます。クライアントや自社の競合となる 企業の求人動向を分析できます。
- 競合企業×職種×フィルター
さらにお好きなキーワードも入れて検索できます。
▽キーワード例
「オープニング」「飲食」「新宿」
媒体に記載の情報であれば集計ができます。
4.求職者が求める飲食店での働き方
採用方法を改善して人員の確保に成功しても、定着率が悪いままでは同じことの繰り返しです。
そこで、従業員の定着率の向上のために、働き方の変革に取り組む企業も増えています。
4-1.働く時間・曜日の選択
従来の飲食業界の求人では「週3日~」「1日4時間以上勤務」「曜日固定」など、時間帯と曜日が決まっている内容が多く見られました。
しかし、最近では「1日1時間からOK!」「土日のみでもかまいせん」というように「短時間勤務」や「少ない出勤日数」でも働ける店舗が増えています。
時間帯と曜日の制限を減らすことで、主婦や学生など働き方の限られた層でも安心して応募できるでしょう。
4-2.賃金引上げ
飲食業界では社員を含め従業員の「賃金引上げ」をおこなう企業が増えています。
例えば、タウンワークによると首都圏の飲食店ホールスタッフの平均賃金は以下の通りです。
- 飲食店の平均時給(2022年8月時点)
- 東京都 1,141円
神奈川県 1,089円
埼玉県 1,031円
千葉県 1,040円
このように多くの企業が賃金引上げをおこない、従業員のモチベーションを高めて長く働いてもらおうと取り組んでいます。
人件費や、既存の従業員の時給も考慮して最適な自給を設定することが望ましいと言えます。
4-3.ITの導入
近年では、労働時間の短縮や賃金引上げをおこなうだけでなく、「システムやIT機器の導入」をおこなうことで従業員の負担を軽減しようという動きも出てきています。
実際に、ウェブでの予約が可能であったり、注文や会計をタブレットを設置している飲食店はかなり増えています。
また、タイムカードでの打刻や手書きでのシフト作成など、アナログな方法でおこなっていた勤怠管理の業務を自動化、簡略化するシステムを導入することで、従業員の働き方が改善されたという例もあります。
初期費用や維持費はかかりますが、積極的にシステムやIT機器を導入していくことで定着率の向上につながると考えられます。
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6.まとめ
現在の飲食業界におけるアルバイトの人員不足は、近年まれに見るほど深刻になっています。
少子高齢化による人材不足がさらに加速し、飲食業界が大きなダメージを受けたことは言うまでもありません。
今後は積極的にシニア、外国人、IT技術などが取り入れられていくでしょう。
今後の採用活動に、本記事でご紹介した「採用マーケティング」の視点や採用サービスの見直しなどもぜひ活用してみてください。
元サービス業店長の経験を活かした提案
アルバイト採用事業部の立ち上げに従事した後、事業部長に就任。 原稿の作成・スカウトメール配信・面接率の向上・内定後フォローなど幅広い知識で対応いたします。 プライベートでは2児のパパとして子育てに奮闘しています!
- 名前
小林/アルバイト領域
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