飲食店の人手不足はどうなる!?アルバイト市場動向から見る採用戦略
更新日:
アルバイト採用
昨今、飲食業界はコロナ禍から回復してきています。
一般社団法人日本フードサービス協会によると、2022年の外食市場規模は前年比113.3%で、居酒屋を中心に売上が回復しました。*
一方で、ここ最近問題になっているのが飲食店の人材の確保です。
もともと「面接をドタキャンされる」「人材が定着しない」など、飲食店の採用活動は難しいといわれていました。
それに加え、最近はコロナの影響でさらに人材が集まらないという企業が多くなっています。
*参考:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和4年(2022年)年間結果報告.pdf」
本記事では、
・飲食店のアルバイト採用動向
・飲食店がアルバイト採用を成功させるためのコツ
・求職者が飲食店に求めていること
などを詳しく解説しますので、アルバイトの採用活動にぜひお役立てください。
目次
1.飲食店の人手不足の原因と採用市場
飲食店はコロナ前から慢性的な人手不足に悩まされていましたが、コロナ禍を経てより一層人材確保が難しくなったといえます。
ここではその理由を解説します。
1-1.コロナ打撃による採用難
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査.pdf」
帝国データバンクによると、2022年10月時点で人手不足を感じている企業の割合は飲食店が最も多く、76.3%でした。
これは、そのほかの採用難と言われる旅館・ホテルや派遣業、娯楽サービスなどを上回る数字です。
飲食店では、コロナ禍の営業規制や休業によりアルバイトを解雇またはシフトを減らさざるを得ず、営業を再開しても離れてしまった人員が戻って来ていないのが現状です。
さらにコロナ前と比べて求職者の心境にも変化があり、以下のような理由で応募が集まりづらくなっています。
・感染リスクを心配し、飲食店でのバイトを敬遠される
・飲食業界のコロナ打撃を目撃し、業界の行き先に不安を覚えている
・より自由に働けるギグワークやテレワークに注目が集まっている
1-2.慢性的な人手不足
コロナ前からも、飲食業界の体質として慢性的に人手不足に陥りやすいといわれています。
原因は従業員の入れ替わりが激しいこと、つまり従業員の「定着率の悪さ」にあります。
従業員の定着率の悪さは、飲食業界に特有の労働環境と雇用形態が関係しています。
過重労働
飲食店の労働環境は、勤務時間が長いうえに業務量が多いことが特徴的です。
飲食店での主な仕事であるホールとキッチンはどちらも立ち仕事であり、事務仕事に比べて体力を消耗します。
また、最近では、コンビニのように24時間営業する飲食店もあります。
立ち仕事に加えて長時間労働が重なることで、体力的に厳しい人は短期間で辞めてしまうのです。
仕事の幅がアルバイトを超えている
居酒屋などの飲食店でありがちなのが、アルバイトでも店長や社員と同等の業務をこなしているケースです。
そもそも社員が膨大な業務量を捌けず、どうしてもアルバイトに頼らざるを得ないといった状況になりがちです。
そのため、求職者からすると「飲食業界は仕事量に対して給与が安い」と感じてしまうこともあります。
特に、トラブルやクレーム対応までもアルバイト・パートがおこなっている場合は注意しましょう。
トラブルやクレーム対応については、求人口コミサイトなどを見ると、たびたびマイナス面として投稿されています。
クレーム対応を誤ればお店の評判にも関わることもあり、大きなストレスにもなってしまいます。
2.飲食店の繁忙期・閑散期の採用状況
飲食店には、繁忙期と閑散期があります。
飲食店の繁忙期は、休暇や季節のイベントに大きく影響されることが特徴です。
たとえば年末年始は忘年会・新年会シーズンであり、会場として飲食店が利用されるため混雑します。
また、ゴールデンウィーク、夏休み・お盆の時期は、旅行客の影響を受けて飲食店の利用客は増加します。
繁忙期には店舗を回すために通常より従業員を増やさなければならず、さらに採用が難しくなる時期と言えます。
一方で閑散期は客数が落ちつくため、普段より少ない従業員で店を切り盛りできることがあります。
この時期は従業員をを増やす必要がないため、採用活動に力を入れなくても良いでしょう。
このように、飲食店は繁忙期と閑散期で混雑状況に大きな差があるため、時期に合わせた採用戦略の策定が必須です。
3.飲食店がアルバイト採用を成功させる秘訣
ここまで、飲食業界は「業務量が多く、人材の定着率が悪い」「コロナ打撃により感染リスクが懸念されている」など、採用難の原因についてお話しました。
それでは、採用難を解消するためにどのような取り組みをするべきでしょうか。
3-1.外国人やシニアなど採用の幅を広げる
現在はどのような方をターゲットにして採用活動をされているでしょうか。
「主婦、学生、フリーターも歓迎。」といった求人をよく見かけます。
しかし少子高齢化や人手不足の悪化により、新たな人材活用として「在留外国人」や「シニア」の採用も注目されています。
外国人の活用
大手チェーン店などでは当たり前のように見かけるようになってきた外国人。
日本に滞在する外国人の中には、日本語を流暢に話すことができ日本人とのコミュニケーションに問題がない方や、優秀な留学生が多くいます。
しかし、外国人を雇用するためには、外国人を雇用するための制限・条件が多いという課題があります。
たとえば、外国人が日本の飲食店で働くためには27種ある在留資格のうち「技能・人文知識・国際業務」もしくは「留学生」を保有することが必須です。
アルバイトで採用するのは基本的に留学生となることが多いですが、留学生は働く時間の制限が厳しく、原則週28時間までです。(長期休暇中は週40時間までになります。)
それでも、在留外国人は日本で成長したいという強い思いを持っている人が多く、採用できれば活躍を期待できます。
外国人を採用したいがどうしたらいいのかわからないという企業には、まずは外国人の雇用に特化した人材サービスを利用するのがおすすめです。
最近はシニア専用の求人情報サイトまで出てきており、シニア層の雇用に積極的な企業が増えてきました。
アルバイト求人サイトの求人には「60代歓迎」という言葉が見られたり、検索条件にも「シニア応援」という条件が追加できるようになっています。
実際に大手ファストフード店「モスバーガー」は2014年ごろからシニア層の活用に力を入れており、一部の店舗では従業員のうち60歳以上のシニア層が20%を占めるそうです。
しかし、体力面・病気やケガの心配など、シニアの方が飲食業界で働けるのかどうか、不安に思う方もいらっしゃると思います。
たしかに、重い食事を運ぶことや、かがんだり重労働をすることは難しいかもしれません。
一方で落ち着いたカフェでの接客などであれば安心できます。
また最近は業務の切り出しをする企業も増えており、「仕込みだけ」や「店内整理・清掃だけ」といった形にすることもできます。
3-2.採用マーケティングを取り入れる
現在、アルバイトの求人サイトや求人フリーペーパーなどに求人掲載している企業が多いと思います。
しかし、アルバイト求人サイトはただ掲載するだけで応募が獲得できるものではありません。
アルバイトを探している求職者は、さまざまな他の求人と比較検討をしています。
その中で選ばれる求人になるには、自社の強みや自社を取り巻く環境、地理的な特性も把握した上で戦略を立てる必要があります。
具体的には以下のような点をマーケティングデータに基づいて分析・改善していく必要があります。
・ターゲットの母集団はどのくらいか?
・競合の時給はいくらか?
・どのような原稿で広告を打ち出せばいいのか?
・どの媒体を選べばいいのか?
しかし、インターネットで調べればある程度は情報を入手できるものの、1から集めようとすると時間がかかり大変です。
ネオキャリアでは10,000社以上の採用支援で培ったノウハウを活かし、下記のサービスをおこなっています。
ご興味があればぜひお気軽にお問い合わせください。
>採用マーケティングの情報収集例
- エリア×職種
職種ごとの
・求人件数
・平均給与
などがエリア別で集計できます。現在の情報から過去の情報まで集計できるので、それらの推移も確認できます。
- 競合企業×職種
競合企業の
・掲載媒体
・掲載件数
・平均給与
などが職種別で集計できます。クライアントや自社の競合となる 企業の求人動向を分析できます。
- 競合企業×職種×フィルター
さらにお好きなキーワードも入れて検索できます。
▽キーワード例
「オープニング」「飲食」「新宿」
媒体に記載の情報であれば集計ができます。
4.求職者が求める飲食店での働き方
採用方法を改善して人員の確保に成功しても、定着率が悪いままでは同じことの繰り返しです。
そこで、従業員の定着率の向上のために、働き方の変革に取り組む企業も増えています。
4-1.働く時間・曜日の選択
従来の飲食業界の求人では「週3日~」「1日4時間以上勤務」「曜日固定」など、時間帯と曜日が決まっている内容が多く見られました。
しかし、最近では「1日1時間からOK!」「土日のみでもかまいせん」というように「短時間勤務」や「少ない出勤日数」でも働ける店舗が増えています。
時間帯と曜日の制限を減らすことで、主婦や学生など働き方の限られた層でも安心して応募できるでしょう。
4-2.賃金引上げ
飲食業界では社員を含め従業員の「賃金引上げ」をおこなう企業が増えています。
例えば、タウンワークによると首都圏の飲食店ホールスタッフの平均賃金は以下の通りです。
- 飲食店の平均時給(2022年8月時点)
- 東京都 1,141円
神奈川県 1,089円
埼玉県 1,031円
千葉県 1,040円
このように多くの企業が賃金引上げをおこない、従業員のモチベーションを高めて長く働いてもらおうと取り組んでいます。
人件費や、既存の従業員の時給も考慮して最適な自給を設定することが望ましいと言えます。
4-3.ITの導入
近年では、労働時間の短縮や賃金引上げをおこなうだけでなく、「システムやIT機器の導入」をおこなうことで従業員の負担を軽減しようという動きも出てきています。
実際に、ウェブでの予約が可能であったり、注文や会計をタブレットを設置している飲食店はかなり増えています。
また、タイムカードでの打刻や手書きでのシフト作成など、アナログな方法でおこなっていた勤怠管理の業務を自動化、簡略化するシステムを導入することで、従業員の働き方が改善されたという例もあります。
初期費用や維持費はかかりますが、積極的にシステムやIT機器を導入していくことで定着率の向上につながると考えられます。
5.まとめ
現在の飲食業界におけるアルバイトの人員不足は、近年まれに見るほど深刻になっています。
少子高齢化による人材不足がさらに加速し、飲食業界が大きなダメージを受けたことは言うまでもありません。
今後は積極的にシニア、外国人、IT技術などが取り入れられていくでしょう。
今後の採用活動に、本記事でご紹介した「採用マーケティング」の視点や採用サービスの見直しなどもぜひ活用してみてください。
元サービス業店長の経験を活かした提案
アルバイト採用事業部の立ち上げに従事した後、事業部長に就任。 原稿の作成・スカウトメール配信・面接率の向上・内定後フォローなど幅広い知識で対応いたします。 プライベートでは2児のパパとして子育てに奮闘しています!
- 名前
小林/アルバイト領域
この営業が携わった他の事例・記事を見る