新卒採用のスケジュール策定のポイント|時期に合わせた準備内容をご紹介
新卒採用
ここ数年、学生のインターンシップ参加率は増加傾向で、3月のグランドオープンを待たずに就職活動を開始することが当たり前になってきています。加えて、学生の内定取得時期も年々前倒しになっていることからも、企業は自社に合った新卒採用スケジュールを策定し、学生に効率的にアプローチすることが重要です。
そこで本記事では
・新卒採用スケジュールの変遷
・採用時期ごとの学生・企業の動き
・押さえておきたい準備のポイント
など、学生動向を基にした新卒採用スケジュールについて詳しく解説します。
また、企業側で準備しておくべきポイントも紹介するため、ぜひ今後の新卒採用活動にお役立てください。
目次
1.新卒採用のスケジュール変遷
新型コロナウイルスによるオンライン化の浸透や新卒採用スケジュールの見直しなど、ここ数年で新卒採用を取り巻く環境は大きく変わってきています。
中でも新卒採用全体のスケジュールは、これまで大きな変化を繰り返してきました。
これまでの新卒採用スケジュールは、1953年に企業側・大学側が「就職協定」を結んだことをきっかけに、長らく経団連が取り仕切ってきました。
しかし、経団連が2018年10月9日に発表した「採用選考に関する指針」の廃止にともない、その後は政府主導で新卒採用スケジュールが策定されるようになりました。
1-1.16年卒までの採用スケジュール
直近数年をみても、12年卒まではインターンシップは夏の開催のみで、大学3年生の10月から広報解禁するスケジュールでした。
しかし、卒業年度以前の就職活動開始に対してはさまざまな意見が飛び交い、13年卒の学生以降、広報活動などの実質的な活動の開始が大学3年の12月に繰り下げられました。
さらに16年卒からは、大学生が勉強に集中できる期間を確保する目的で、選考開始時期が大学4年の8月に繰り下げられました。
1-2.24年卒までの採用スケジュール
上述の通り、16年卒以降大学4年の夏から本格的な採用活動をおこなうとなったものの、ある一定数の中小企業は、ネームバリューのある大手企業よりも先に学生と接点を持つため、選考解禁前から活動を始めるようになりました。
合わせて、このころから企業や学生の中でインターンシップの重要性が高まり、就職活動に意欲的な学生は早期から動き始めるようになります。
この動きは直近の24年卒まで継続しており、学生のインターンシップ参加率もここ数年で右肩上がりとなっています。
1-3.25年卒以降の採用スケジュール
今後の採用スケジュールについては、2022年4月におこなわれた経団連と大学でつくる産学協議会にて、条件を満たすインターンシップに参加した学生の情報を、採用選考時に利用できることが認められました。
そのため、今後25年卒においては”インターンシップからの選考直結”が実現するようになり、実質的な選考解禁が前倒しする可能性が高まっています。
そのほか、25年卒の詳しい採用スケジュールや採用動向については下記の資料におまとめしておりますので、気になる方は参考にしていただけますと幸いです。
2.新卒採用時期ごとの学生・企業の動き
これまでの新卒採用の変遷を通して、全体的な新卒採用スケジュールについては理解できたのではないでしょうか。
次に、各採用時期に合わせた学生と企業の動きをまとめていきます。
それぞれの時期で企業がおこなうべき準備のポイントもまとめていますので、ぜひ今後の採用活動にお役立てください。
2-1.夏季(6月~8月)
学生の動き
この時期は夏季休暇に入る大学も多く、学生はそのタイミングを利用してインターンシップに参加し始めます。
また、インターンシップ参加に向けた準備の一環として、徐々に自己分析を始める学生も増えていきます。
早期に動き出す学生ほど就職活動に意欲的な傾向があるため、優秀な学生と出会える可能性も高まるでしょう。
企業の動き
この時期の企業は、前年の採用の振り返りやインターンシップの対応など、今年度の採用活動に向けた準備を始めます。
さらに、学生の長期休暇のタイミングでインターンシップ参加率が高くなる傾向があるため、この時期に積極的に学生と接点をもつことをおすすめします。
- ・前年の採用の中間振り返り
・インターンシップ実施に向けた社内のスケジュール調整
・前年の採用の最終振り返り
・秋冬のインターンシップの準備
2-2.秋季(9月~11月)
学生の動き
この時期の学生は、活動が二極化します。
1つ目は、業界分析や企業分析などをおこなうパターンです。
夏季インターンシップに参加した学生を中心に、この時期から今後選考を受けたい企業を絞る傾向があります。
2つ目は、秋季インターンシップに参加するパターンです。
夏季インターンシップに参加できなかった学生を中心に、気になる業界や業種のインターンシップに参加し、業界の理解を深めます。
しかし、どちらのパターンも共通して今後の就職活動に繋がる動きであるため、企業は可能な限りこの時期までにはターゲット学生と接点を持っておきましょう。
企業の動き
この時期にはインターンシップの対応と合わせて、その後のつなぎ止め施策の検討や、各種採用手法の検討・準備を進める必要があります。
中でも、インターンシップ後のつなぎ止め施策は、今後の選考に繋げるため非常に重要です。
仮に、つなぎ止め施策が無い状態で走り出してしまうと、次回接点がないまま学生を放置してしまうこととなり、学生の志望度が大きく下がる原因になります。
そのため、工数が割けず学生のつなぎ止めができない場合も、可能な限り次回接点を明確にしておきましょう。
- ・秋冬インターンシップの実施
・インターンシップ後のつなぎ止め施策の検討・実施
・各種採用手法の検討・準備
・3月以降の採用スケジュールの作成
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2-3.直前期(12月~2月)
学生の動き
この時期の学生の多くは、今まで接点を持った企業の早期選考に進んでいます。
また、これまで企業との接点が持てていない学生も、直前期に開催されている合同説明会に参加したり、就職サイトを使って企業情報を収集したりと、本格的に企業選定に向けて動いています。
また、早期から活動していた学生はすでに内定を取得している場合もあるため、企業も就職活動の早期化を意識して動きましょう。
企業の動き
優秀な学生に少しでも早くアプローチしたいという思いから、企業によってはこの時期に早期選考をおこなったり、場合によっては内定出しを始めるケースがあります。
さらに、就職サイトの仕様も変わり、2月中旬ごろからインターンシップ検索ができないようになり、代わりに3月以降の説明会が告知できるようになります。
加えて、直前期には一定期間管理画面が利用できなくなる期間も設けられるため、本サイト掲載に向けた原稿の最終確認や説明会日程の設定などは前々から進めておきましょう。
- ・早期選考の実施
・3月以降の採用スケジュールの確定・告知
・就職サイト(本サイト)の入稿と各種オプション設定
・各種採用手法の最終確認
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2-4.採用広報以降(3月~5月)
学生の動き
3月の広報解禁を受け、学生は企業の説明会に積極的に参加するようになります。
しかし、近年インターンシップの動きが活発化したことで、学生の3月以降の応募社数や説明会参加社数は年々右肩下がりになってきています。
そのため、学生の限られた行動量の中で、いかに自社を見つけてもらえるかが採用成功のカギです。
企業の動き
この時期の企業の動きは、主に説明会開催、選考開催、学生連絡に絞られます。
基本的には3~4月に説明会を開催し、4月~5月にかけて選考をおこないます。
また、学生連絡は選考の合否連絡はもちろん、次回選考日程の調整など継続的に発生するため、学生への連絡漏れがないように注意しましょう。
- ・説明会、選考会の実施
・学生との次回接触日程調整・連絡
・採用目標に対する進捗確認
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2-5.選考時期(6月~9月)
学生の動き
6月を過ぎると多くの学生は内定を取得しています。
ただし、一部の大手企業や金融系の企業は6月から選考を開始するスケジュールのため、学生によってはこれから選考を受けるという人もいます。
ここで注意すべきなのが、自社よりも他社の志望度が高かった場合、選考辞退や内定辞退されてしまう可能性がある点です。
そのため、内定後のフォローだけでなく、選考途中のフォローも忘れずにおこなうようにしましょう。
企業の動き
この時期の企業の動きは、学生の選考対応や見極め、合否連絡がメインです。
また、最近では学生の見極めに適性検査を使う企業も増えており、ストレス耐性や自社への適合性を判断する材料として使われています。
社内での評価軸のズレや採用ターゲットの認識のズレを防ぐためにも、事前に選考基準のすり合わせをおこないましょう。
- ・選考開催・学生の見極め
・選考途中の学生フォロー
・バッティング企業の動きの確認
2-6.内定時期(10月~4月)
学生の動き
多くの企業が10月に内定式を予定しているため、それに合わせて学生も就職活動を収束する傾向があります。
さらに入社前の事前課題として入社前研修をおこなったり、内定者同士の懇親会をおこなったりと、企業との接点が多くなるのがこの時期です。
学生にとっても、入社前に企業を見極められる最後のタイミングとなるため、内定者や社員とのコミュニケーションを通して「本当にこの企業に入社して良いのか」の最終判断をおこないます。
企業の動き
多くの企業は10月の内定式を目安に採用活動を終えるスケジュールで動いています。
しかし、学生の内定辞退や選考途中離脱により採用目標数に達していない場合は、追加の採用をおこなう必要があります。
この時期に就職活動をおこなう学生の数は限られるものの、内定辞退をして一から企業を探す学生や、まだ内定を取得していない学生、公務員志望から民間企業を考えるようになった学生やなど、まだ採用の可能性は十分にあるため、諦めずに学生と接点を持ちましょう。
- ・内定式の準備・開催
・内定者フォローの実施
・入社前研修の企画・実施
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は新卒採用スケジュールについて、企業と学生双方の動向から、動き方についてまとめてみました。
基本的には、年間を通してどの時期も外せないタイミングではあるものの、各時期ごとのポイントを押さえ、効率的に動くことが大切です。
スムーズな採用活動をおこなうためにも、自社に適した採用スケジュールを策定し、採用成功に向けて動いていきましょう。
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入社してから一貫して新卒採用のコンサルティングをおこなう部署に携わる。大手上場企業~ベンチャー企業まで計1,000社近くの支援を経験し、現在は新規営業部門の責任者として従事。
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斎藤/新卒採用領域
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