採用直結型インターンシップが解禁!25年卒からの定義や採用担当者が気を付けるべきポイントをご紹介
母集団形成

25年卒から解禁された採用直結型インターンシップは、参加学生の実績や個人情報を採用活動に活用できる新しい形式のインターンシップです。
この仕組みにより企業は優秀な人材を早期に囲い込むことが可能となり、早期人材確保が可能になります。
採用直結型インターンシップを実施するためには「汎用型能力・専門活用型」「高度専門型」の条件を満たす必要があります。
これらの条件には、職場での就業体験や社員による指導・フィードバック、長期的な実施期間などが含まれ、学生に実践的な経験を提供しつつ、企業側も学生の適性や能力を深く評価できる点が特徴です。
このインターンシップは、早期選考型や本選考優遇型など複数のパターンで運用可能であり、企業の採用戦略に応じて柔軟に設計できます。
また、集客方法としてはインターン募集サイトやスカウトサービスを活用することで、自社にマッチした学生と効率的に接点を持つことができます。
採用直結型インターンシップは、早期離職防止や採用ミスマッチ解消を目指す企業にとって非常に有効な手段です。
そこで本記事では
・採用直結型インターンシップの定義
・採用直結型インターンシップがもたらす市況変化
・採用直結型インターンシップに活用できるサービス
など、25年卒からの採用を効率的に実施するための方法や活用できるサービスまで幅広くご紹介します。
目次
1.採用直結型インターンシップとは?
そもそも25年卒から見直しされた採用直結型インターンシップとはどのようなものなのでしょうか。
採用直結型インターンシップの定義
文部科学省と厚生労働省、経済産業省の連名で出された2022年6月13日改正の『インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方』によればインターンシップの定義は新たに以下のように設定されました。
学生が、その仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を体験すること)を行う活動(但し、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)
さらに学生のキャリア形成支援として就業支援活動が以下の4つのタイプに分類されました。
図:ネオキャリア作成
タイプ1 オープン・カンパニー
タイプ2 キャリア教育
タイプ3 汎用型能力・専門活用型インターンシップ
タイプ4 高度専門型インターンシップ
上記の4つのタイプの内、タイプ3とタイプ4の活動で条件を満たした場合に限り、個人情報を採用活動への利用が解禁されました。
つまり、汎用型能力・専門活用型インターンシップと高度専門型インターンシップが採用直結型インターンシップと定義されています。
タイプ別インターンシップの特徴
次に、4つのタイプに分類されたインターンシップの特徴と詳細についてみていきましょう。
図:ネオキャリア作成
タイプ1:オープン・カンパニー
オープン・カンパニーはわかりやすくいえば、オープン・キャンパスの企業・業界・仕事版と考えると良いでしょう。
内容としては個社・業界の情報提供やPRなどの取り組みが当てはまります。
参加へのハードルは比較的低いため、学生は興味がある企業の情報収集のために参加します。
タイプ2:キャリア教育
キャリア教育とは、企業がCSRとして実施するプログラムや、大学が主導する授業・産学協働プログラム(正課・正課外を問わない)のインターンシップのことを指します。
タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ
汎用的能力・専門活用型インターンシップとは、企業単独、大学が企業あるいは地域コンソーシアムと連携して実施し、適性・汎用的能力ないしは専門性を重視したプログラムのことを指します。
また、実施場所はオンラインを含めた職場とされています。
無給が基本ですが、実態として社員と同じ業務・働き方となる場合は、労働関係法令の適用を受け、有給でおこなう必要があります。
タイプ4:高度専門型インターンシップ
高度専門型インターンシップとは自然科学分野の博士課程学生を対象に文科省・経団連が共同で試行中のプロジェクト形式のインターンシップのことを指します。
まだ民間の企業がおこなっておらず、政府が試行結果を踏まえて今後どのように実施していくか判断していくようです。
採用直結型インターンシップの定義や特徴についてさらに詳しくまとめた資料もございますので、合わせてご活用ください。
2.採用直結型インターンシップによる変化
採用直結型インターンシップとこれまでのインターンシップの違いについて解説します。
インターンシップルール変更による学生の意識の変化
株式会社マイナビの調査※1によると、27年卒学生の98.7%がインターンシップや仕事体験への参加を希望しています。
出典:株式会社マイナビ:2027年卒大学生キャリア意向調査4月
また、インターンシップへの参加目的は、「就職活動に有利だと考えたため」と答えた学生が最も多い56.0%、次いで「仕事に対する自分の適性を知るため」が51.1%でした。
出典:株式会社マイナビ:2027年卒大学生キャリア意向調査4月
この結果から、学生にとってインターンシップは選考に影響する重要な活動であり、さらには就労後の適性を見極めることができる機会であるとの認識が定着していると考えられます。
一方で「どの業界を志望するか明確にするため」、「 どの職種を志望するか明確にするため」と回答した学生も約半数にのぼることから、業界や職種の選定に迷っている学生も多くいることがわかります。
また、インターンシップの各タイプ別参加方針については、オープン・カンパニー型(業界・企業による説明会・イベント)を 中心に参加してきたい学生が最も多い17.8%、次いで期間が長い(5日以上)就業体験のあるプログラムを中心に参加していきたいとの回答が16.1%でした。
期間が短い(半日・1日)就業体験のあるプログラムへの参加方針については10%にとどまり、複数日程のインターンシップへの参加により、業界理解や企業理解を深めたい意向が読み取ることができます。
さらに文理別で見てみると文系はオープンカンパニー、理系学部制はキャリア教育、理系院生は汎用的能力活用型インターンシップへの参加意欲が高い傾向にあることがわかります。
出典:株式会社ディスコ『キャリア意識やインターンシップ等に関する調査』25年卒特別調査
特に理系は採用直結型インターンシップへの参加意欲が高いため、理系採用に注力したい企業はインターンシップのコンテンツ内容や実施形式を見直すことがおすすめです。
出典:株式会社マイナビ:2027年卒大学生キャリア意向調査4月
採用直結型インターンシップによるスケジュールの変化
16年卒から変化した採用スケジュールは、ここ数年6月にインターン解禁、3月に広報解禁を継続してきました。
しかし、25年卒採用からインターンに参加した学生の情報を採用選考に利用することが認められることとなり、正式に採用直結型のインターンが「公認」されました。
これにより、インターンの重要度が格段に増し、採用選考の早期化がさらに進むことが予測されます。
3.新卒採用市況から見る採用直結型インターンシップの重要性
採用直結型インターンシップはなぜ実施した方が良いのでしょうか。
新卒採用の市況データをもとに解説します。
採用直結型インターンシップが拡大した背景
そもそもこれまで一般社団法人日本経済団体連合会(以降、経団連)は学生の学業がおろそかになることを危惧し、採用直結型インターンシップを全面的に禁止していました。
しかし経団連に加盟していない外資系企業やベンチャー企業を中心に、水面下で採用直結型インターンシップが実施されていた背景を踏まえ、その実態に合わせるように今回の定義見直しがなされたとされています。
経団連は今回のルールを設けることで学業とキャリア形成を両立しながら学生と企業がマッチングする環境を整えることを目的としています。
出典:株式会社学情『「2026年卒対象のインターンシップ/オープン・カンパニー」に関して調査』
また、株式会社学情の調査※1によると26年卒でインターンシップの広報時期や開催時期を前倒しにする企業が59.7%と過半数を占めていることがわかります。
つまり優秀な学生と早期に接点を持ち採用に繋げるため、インターンシップの早期実施をしている企業が多いといえます。
このことからも、採用直結型インターンシップにおける企業同士の競争も激化することが予測されるため、今まで以上に前倒しで準備を進める必要があります。
※1出典:株式会社学情『「2026年卒対象のインターンシップ/オープン・カンパニー」に関して調査』
インターンシップの重要性
株式会社マイナビが22年卒を対象に実施した調査※1では、インターンシップに参加した企業・団体に入社予定の学生ほど入社企業への満足・納得感が高い結果が出ています。
つまり、インターンシップに参加することで入社に対する納得感が醸成され、入社後のミスマッチにもつながる可能性が高いといえます。
※1出典:株式会社マイナビ『2022年度新卒採用採用就職戦線総括』
出典:株式会社マイナビ:『2023年卒企業新卒採用活動調査』を元にネオキャリア作成
また企業の採用充足率をみると、21年卒はコロナ禍で採用スケジュールが遅れ採用充足率も低下している一方で、22年卒では大きく改善されました。
しかしその後の23年卒では企業の採用意欲の高まりによって人材獲得競争が激しくなり、やや前年よりも低下しています。
さらにここで注目すべきがインターンシップの実施有無による採用充足率の変化です。
23年卒でインターンシップを実施した企業のうち、6月時点で7割以上充足したと答えた割合が36.4%と、インターンシップを実施していない企業の充足率に比べて16.6ポイントも高い結果となりました。
このことから、インターンシップを実施することで採用充足率が高まる傾向があると言えます。
25年卒では、タイプ3(汎用的能力・専門活用型=採用直結型インターンシップ)に該当するインターンシップについて、中小企業の約6割*が実施予定がないと回答していることからも、26年卒以降は採用直結型インターンシップを導入し、他社と差別化を図ることにより、早期母集団形成がスムーズになるでしょう。
*出典:日本経済団体連合会『質の高いインターンシップに関する意向調査結果』
4.採用直結型インターンシップのメリットデメリット
これまで、採用直結型インターンシップの重要性について解説しましたが、本章では採用直結型インターンシップ実施におけるメリットとデメリットについてご紹介します。
採用直結型インターンシップのメリット
まずは採用直結型インターンシップのメリットについてみていきましょう。
①学生の企業理解を深めることができる
採用直結型インターンシップを通し、実際の業務体験を経験することで学生は入社後の具体的なイメージを持つことができます。
企業の文化や社風を理解することで自分に合うかどうかを判断する貴重な機会となります。
②企業と学生双方のミスマッチを防げる
採用直結型インターンシップは学生と企業がマッチするかどうかを事前に確認するための重要な手段です。
これまで採用選考の期間でしか学生を判断することができなかった企業は、採用直結型インターンシップを通して、学生と密なコミュニケーションを取ることにより適正な評価ができるようになりました。
これにより、企業、学生双方のミスマッチを防ぎながら採用をおこなうことが可能になります。
③採用期間を短縮できる
採用直結型インターンシップを実施することで早期に学生と出会うことができます。
広報解禁後の3月以降に学生を集めはじめるよりも早く母集団を形成でき、スムーズに採用へとつなげることができます。
近年では学生の就職活動前倒しの傾向があり、3月以降に母集団形成しても集まらない可能性があります。
さらに採用後半期に追加母集団形成が必要になった場合、採用期間が長くなり採用担当者に大きな工数がかかってしまうことからも、できるだけ早期に採用活動をはじめることが大切です。
④採用コストを削減できる
採用直結型インターンシップを実施することで、既に母集団を形成した状態で採用活動をおこなうことができます。
これにより、3月以降に改めて母集団を形成する必要が無いため、今までかかっていた採用費用を削減できる可能性が高まります。
⑤優秀な学生を採用に繋げることができる
採用直結型インターンシップをおこなうことで早期で活動する優秀な学生に出会うことができます。
早期にインターンシップに参加する学生は、自己分析や業界分析を通して将来のキャリアについて積極的に向き合うなど、成長意欲が高い特徴があります。そのため採用直結型インターンシップを通して、企業の魅力を伝えたり、学生が成長する場を提供したりすることでそのまま採用へ結びつけることができます。
採用直結型インターンシップのデメリット
次に、採用直結型インターンシップを実施する上で生じるデメリットについて見ていきましょう。
①就職サイトに掲載できない可能性がある
インターンシップの内容が実施定義に沿っていない場合、一部の就職サイトによっては掲載自体ができない可能性があります。
採用直結型インターンシップを実施する場合は就職サイトの掲載基準や要件に注意する必要があります。
②採用までの工数がかかる
採用直結型インターンシップでは、採用へ繋げるために学生とのつなぎ止めや選考プロセスなど採用までの工数が増加します。
学生を採用に結び付けるためには、追加の時間やリソースを割かなければならないことに注意が必要です。
これにより今まで以上に採用までの期間が長くなる可能性があります。
③志望度が下がる可能性がある
採用直結型インターンシップでは、実際の業務や職場の雰囲気を学生にリアルに体験させることが求められます。
しかし、あまりにも現実を鮮明に提示しすぎると学生の志望度が下がる可能性もあります。
学生への伝え方や体験内容、コンテンツの選定には慎重さが必要です。
④インターンシップ実施の工数がかかる
採用直結型インターンシップを実施するには、ある程度の期間はインターンシップを実施しなければならないため、これまで以上に準備や実施中の工数が必要です。
さらに現場社員の同席が必須などの制限もあり、組織内の協力体制や実施環境によってはインターンシップの実施に大きな負担がかかることも考慮しなければなりません。
5.採用直結型インターンシップに活用できるサービス
本章では、採用直結型インターンシップから効率的に採用へとつなげるために活用できるサービスについてご紹介します。
1.インターンシップ企画
インターンシップ企画サービスは企業の採用課題やターゲットに合わせたインターンシップの企画から実施までサポートをおこないます。
インターンシップの実施がはじめての企業やコンテンツの改善をおこないたい企業、実施企画の立案など部分的なサポートを必要としている企業におすすめです。
2.マイナビ
マイナビは学生利用率NO.1 の就職サイトです。
インターンシップ集客から選考期まで利用可能なため、採用直結型インターンシップの早期集客をおこないたい企業におすすめです。
また、企業規模を問わずあらゆる業界、職種の掲載が可能です。
3.OfferBox(オファーボックス)
OfferBox(オファーボックス)は細かくターゲット学生をセグメントし、スカウトを送付することで採用直結型インターンシップへと誘導することができます。
母集団の質を高めてインターンシップをおこないたい企業におすすめです。
4.ONE CAREEA(ワンキャリア)
ONE CAREER(ワンキャリア)は、新卒採用に特化したWebメディアで、学生の口コミや選考体験談、企業情報を活用して採用活動を支援するプラットフォームです。
「学生が1年で最も使うサイト」として5年連続2位*を獲得しており、学生が就職活動の際に最も頻繁に情報収集や選考対策に活用するプラットフォームの1つといえます。
ONE CAREERは通年で利用可能な柔軟性があり、インターンシップ期間や本選考期間に縛られることなく、早期選考や内定直結型の採用活動を進めたい企業におすすめです。
*出展:ProFuture株式会社/HR総研「HR総研×楽天みん就:21年卒~25年卒学生の就職活動動向調査結果報告【就職活動編】」
5.学生送客サービス
学生送客サービスはインターンシップに参加する学生を企業へ紹介することができます。
送客サービスを使い、採用直結型インターンシップを実施することで採用工数を削減しながら採用へと繋げることができます。
ターゲット学生を効率的かつスピーディに集客したい企業におすすめです。
6.MOCHICA(モチカ)
MOCHICA(モチカ)はLINEと連携可能な採用管理システム(ATS)・コミュニケーションツールです。
採用直結型インターンシップでは多くの学生とやり取りをする機会が増えます。
エントリー学生の選考結果の管理や連絡漏れを防止して、採用活動の歩留まりを防止したい企業におすすめです。
6.まとめ
25年卒からインターンシップの定義が見直され、「汎用型能力・専門活用型」と「高度専門型」が採用活動に活用できるようになりました。
これにより、企業はインターンシップを通じて学生の能力や適性を評価し、ミスマッチを防ぎながら早期に優秀な人材を確保することが可能になります。
<記事の3つのポイント>
1. 採用直結型インターンの定
25年卒から「汎用型能力・専門活用型」「高度専門型」インターンシップが採用活動に利用可能になった
2. 早期化と重要性の増大
採用直結型インターンの導入により採用スケジュールの早期化が進み、インターンシップの重要性が高まっている
3.ミスマッチ防止と採用充足率向上
インターンシップを通じて企業と学生がお互いを理解することで、ミスマッチを防ぎ、採用充足率の向上に繋がる
さらに今後は、新たなルールにのっとったインターンシップの実施が求められていきます。
採用成功に向けて、採用直結型インターンシップをうまく活用しながら早期に母集団形成をおこなっていきましょう。

中小・ベンチャー企業を採用成功に導く戦略を
入社してから一貫して新卒採用のコンサルティングをおこなう部署に携わる。大手上場企業~ベンチャー企業まで計1,000社近くの支援を経験し、現在は新規営業部門の責任者として従事。
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斎藤/新卒採用領域
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