エンジニア採用はなぜ難しい?|苦戦する理由と成功のコツ10選【事例あり】
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新卒・中途採用
「エンジニア採用が難しい、うまくいかない」「自社に合うエンジニアの見極め方がわからない」そのような悩みを抱える人事担当者の方は多いのではないでしょうか。ITインフラの進化に伴い、企業間におけるエンジニアの獲得競争は激化し、多くの企業がエンジニア不足に陥っています。加えて、エンジニア採用をするには人事担当者の方にも専門知識が求められるため、自社に最適な人材を見極めることができずに逃してしまっているケースも見受けられます。
そこで本記事では、
・エンジニア採用が難しい、うまくいかない理由
・エンジニア採用を成功させるコツ
・エンジニア採用の成功事例
について解説していきます。ぜひご参考にしてください。
目次
1.エンジニア採用が難しい、うまくいかない理由とは?
エンジニア採用に取り組んでいるが難しいと感じている場合、採用を成功させるためには「採用がうまくいかない理由」を知ることが重要です。エンジニア採用ができない理由には大きく「外的要因」「内的要因」の2つが考えられます。
1-1.エンジニア採用が難しい理由「外的要因」
まずは、エンジニア採用が難しいと感じる外的要因について解説します。
エンジニア不足による競争激化
厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況」によると、2023年7月の有効求人倍率は3.7倍を記録しました。前年の2022年7月と比較して0.3ポイント増加しています。
エンジニアの求人倍率推移
図:ネオキャリア作成
引用:一般職業紹介状況[季節調整値(除パート)](令和5年7月分)
新型コロナウイルスの影響によりオンライン化やテレワークの導入が増加したことにより、ITインフラを担うエンジニア人材の需要は高まり、今後もエンジニア採用の難易度は上がっていくと考えられます。
エンジニアの働き方が多様化している
前述したテレワークの導入などにより、働き方の多様化も進みました。その結果、フリーランスとして働く、副業として別会社の開発を請け負うといった働き方も広がりました。これまでは、収入アップや待遇改善を実現するためには転職活動をするのが基本でしたが、今ではさまざまな働き方で実現できるようになりつつあります。そうした背景から転職市場になかなかエンジニア人材が現れない、募集をかけても良い人材が見つからないなど、エンジニア採用が苦戦する理由の1つになっています。
企業が待遇改善や離職防止に努めている
優秀なエンジニアほど、企業は手放したくないものです。エンジニアの定着化を図るために、待遇や労働環境を見直して離職防止に務めている企業が多いです。そうした企業側の動きも、転職市場に優秀なエンジニア人材がなかなか現れない要因と言えるでしょう。
1-2.エンジニア採用が難しい理由「内的要因」
次にエンジニア採用が難しいと感じる内的要因について解説します。
ターゲット要件が明確になっていない
「どのような人材が自社に合うかわからない」という状態では、ターゲットに対して魅力的な訴求をすることができません。エンジニア採用に苦戦している企業は、必要なスキルや経験、志向などが明確になっていないケースが多いです。実際に携わるプロジェクトや自社で活躍している社員の傾向などをもとに、ターゲット像を明確にしていきましょう。また選考などに関わる社員全員に、求めるターゲット像が浸透していることも大切です。
エンジニアの採用基準が高い
エンジニア採用ができないと悩んでいる企業は、求める応募条件や採用基準が高すぎることが考えられます。優秀なエンジニア人材は引く手あまたです。市況感を把握した上で「採用したい人物像」と「採用できる人材」を見極め、採用基準を設定しましょう。自社が求める条件だけで採用基準を決めてしまうと苦戦する要因になります。
エンジニアに刺さる求人票を作成できていない
魅力的な求人票になっているかも重要なポイントです。エンジニア目線に立って魅力を具体的に記載しなければ、なかなか目に留めてもらうことは難しいでしょう。具体的には、以下の情報を明記することが大切です。
・どのような業界のシステムに携わるのか
・どのような言語を使っているか
・プロジェクトのどの工程を担うのか
・柔軟な働き方ができるか
・部署の雰囲気や一緒に働くエンジニアはどのような人たちか
また、専門用語を正しく表記していないと、技術力という点でも信頼低下につながる恐れがあります。求人票を作成したら自社内にいるエンジニアに必ず確認してもらいましょう。
面接官がエンジニアのスキルを理解していない
人事担当者がエンジニアの仕事内容を理解しておらず、自社に最適な人材かどうかを見極められないことも理由の1つです。たとえエンジニア経験が豊富な応募者であっても、自社のプロジェクトに必要な技術を持っているとは限りません。自社のエンジニアが普段どのような言語やツールを使って開発業務をおこなっているのかなど、人事担当者も把握しておく必要があります。
エンジニアと企業間で条件面の合意が取れない
優秀なエンジニアを採用するには、高い給与水準や好待遇であることも求められます。採用市場や競合他社の条件面を把握せずに、自社の基準だけで募集をかけてしまうと「応募がまったく来ない」という事態になりかねません。周りの状況と比較しながら、条件を見直すことが大切です。
集客チャネルが多様化している
従来まで主流だった求人広告や人材紹介にとどまらず、企業から求職者へ直接アプローチをおこなうダイレクトリクルーティングや、社員の知り合いを紹介してもらうリファラル採用、SNSやオウンドメディアを活用した採用活動など、集客チャネルは多様化しています。優秀な人材ほどダイレクトリクルーティングやリファラル採用などのアプローチを受けやすく、転職顕在層になる前に転職してしまうケースが増えています。そうした状況も、転職市場にエンジニア人材がなかなか現れない要因の1つと言えるでしょう。
2.エンジニア採用に成功する企業と苦戦する企業の違い
エンジニア採用に成功する企業と苦戦する企業ではどのような違いがあるのか、採用フェーズごとにポイントをまとめました。エンジニア採用に成功している企業の特徴を参考に、自社の採用状況と照らし合わせてみてください。
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3.エンジニア採用を成功させるコツ10選
エンジニア採用が難しい理由を理解した上で、採用成功させるためのコツを解説します。
3-1.現場のエンジニアの協力を得る
魅力的な求人票の作成、面接での動機づけをするには、エンジニアの志向性を理解する必要があります。しかし、エンジニア経験のない人事担当者が応募者の技術を正しく評価することは難しいでしょう。そこで、現場のエンジニアに協力を仰ぐことが不可欠です。現場が求めているエンジニア像についてヒアリングしたり、求人票の内容をチェックをしてもらったり、また実際に面接官や面談者として参加してもらうことも効果的です。
3-2.「ペルソナ設計」でターゲットを明確にする
保有している技術や経験だけでなく、どのような志向性や価値観を持っている人が自社に合うのか、人物像が明確であればあるほど見極めやすくなり、また入社後のミスマッチ防止にもなります。現場のエンジニアと協力してペルソナ設計をおこなうと、採用成功につながりやすくなります。
3-3.市場における自社の状況を確認する
エンジニア採用に苦戦しているのであれば、採用要件の緩和も検討しましょう。MUST条件・WANT条件を明確にして、全ての条件を満たしていなくても候補者に入れることで、良い人材に出会える可能性が高まります。また、自己成長に意欲的な人材や自社のカルチャーに合う人材であれば、入社後の研修を通してスキルアップが期待できます。採用の時点ですべての条件に当てはまらなかったとしても、ポテンシャル採用も1つの手段として検討してみるといいでしょう。
3-4.エンジニアに選ばれる求人票の作成
求職者が求人票を読んだときに「自分に当てはまる」と思ってもらえるように具体的な記載をするようにしましょう。たとえば、求める経験や使用言語、待遇を記載する場合は以下のように記載するとよいでしょう。
・◯◯業界のシステム開発経験1年以上
・Rubyを使った開発経験がある方
・平均残業時間 15時間/月
・リモートワーク可
3-5.応募書類で判断せず、できるだけ「会う」
エンジニア採用に苦戦している企業は、履歴や職務経歴書などの書類の記載内容だけで自社に合わないと判断してしまっているケースがあります。記載されている情報が不足していたとしても、なかには優秀な人材もいる可能性があります。そのため「まずは会ってみてから判断をする」というスタンスで書類選考をすると、採用成功につながりやすくなります。
3-6.候補者の志向に合わせた動機付けをおこなう
「今よりも上流工程に携わりたい」「やりたいプロジェクトに専念できる環境」「働く場所や時間にとらわれずに働きたい」など、エンジニアの志向性はさまざまです。面接では「転職することで何を実現したいのか」をしっかりとヒアリングしましょう。その上で、自社で働くメリットは何なのかを伝えられるかどうかが重要です。画一的な面接ではなく、応募者一人ひとりに合わせた対応を心がけましょう。
3-7.最適な採用手法を選ぶ
転職顕在層だけでなく、潜在層にもアプローチが必要となっている昨今だからこそ、採用手法の見直しや複数の手法を組み合わせることが重要です。たとえば求人広告を掲載しつつ集客イベントにも参加する、SNSも活用するなど、オンラインとオフラインを組み合わせることも効果的です。
3-8.選考のリードタイムを短縮する
優秀な人材を採用するために、選考スピードを意識しましょう。迅速な面接日程調整やレスポンスをすることで応募者の志望意欲を維持し、選考途中の辞退を防ぐことにつながります。一般的な企業であれば約1ヶ月ほどかかるケースが多いですが、選考スピードが速い企業であれば約1週間で選考が完結することもあります。
3-9.内定後のフォローを丁寧におこなう
内定後の「内定者フォロー」も忘れてはいけません。ほかの企業の選考も受けている場合が多く、他社から内定をもらった場合、辞退されるリスクがあります。定期的に連絡することはもちろん、面談や社員との座談会をおこなうなど、丁寧なフォローで内定辞退を防ぎましょう。
3-10.エンジニア採用のプロに依頼する
エンジニア採用ができない、苦戦しているが改善するための工数が割けないという人事担当者も多いと思います。そのような場合、外部の採用アウトソーシングサービスを利用するのも効果的な手段です。前述したようにエンジニアの採用には専門知識やノウハウが必要なため、プロの力を借りることで負担を減らしながら効率的に採用ができるようになります。
4.エンジニア採用に成功した企業事例
エンジニア採用が難しいと感じている企業が多い中で、採用代行サービスを利用して成功している企業もいます。実際にエンジニア採用に成功した事例をご紹介します。
4-1.エンジニア採用の成功事例①|IT系大手企業 D社様
目標人数達成+採用コスト大幅ダウン
・募集職種:CTO候補、開発エンジニア(PM/PL)、フルスタックエンジニア職など
・ターゲット:同業界エンジニア経験者(3年以上)、DX事業
・使用媒体:Green、ビズリーチ・ダイレクト
■採用目標が高くなったが、エージェント経由の紹介数が伸び悩んでいた。
■ダイレクトリクルーティングに興味はあったが、実践できるか不安だった。
■初月は毎日配信をおこなっていたが、個別配信をおこなうと1日5~8時間はかかっていた。
- 導入前の状況
■採用手法:エージェントメイン
■採用費用:年収の30~35%
■採用人数:6名
■採用単価:1名あたり210万円
- 導入後の効果
採用手法:ダイレクトリクルーティング
採用費用:初期費用+年収15%+代行費用
採用人数:12名
採用単価:1名あたり120万円
4-2.エンジニア採用の成功事例②|大手SES企業 T社様
効果の向上+安定的な集客チャネルの1つに
募集職種:CTO候補、開発エンジニア(PM/PL)、フルスタックエンジニア職など
ターゲット:クライアント先開発案件の経験者(3年以上)
使用媒体: Green,DodaRecruiters
■人材がいれば常駐する案件は豊富にあるが、人員確保が思うように進まない。
■一般公募の中途求人媒体の効果が下がってきており、人員確保の先細りを感じている。
■対象者がいてもニッチな職種ですぐに対象者が枯渇し、効果も実感できない。
- 導入前の状況
■スカウト対象者が月に30~40人
■月初にテンプレにて一括配信
■返信率:2.7%
- 導入後の効果
■スカウト対象100人/月
■検索要件をエンジニア目線で見直し、送信数を担保。文面カスタム、登録者の鮮度を意識して送信。
■安定的な集客チャネルの1つに!
■効果の向上+100人/月に送信でき、返信率も5%以上をキープ
5.エンジニア採用におすすめの採用手法
エンジニア採用におすすめの採用手法をご紹介します。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自社に最適な採用手法を取り入れましょう。
5-1.人材紹介
希望する条件に合う人材を伝えるとピンポイントで紹介してもらえるサービスです。即戦力のエンジニア、CTO(最高技術責任者)など、ハイクラスのエンジニアを採用したいときなどにおすすめです。
メリット
・自社に合う人材をピンポイントで集めることができる
・成果報酬型が多いため採用するまで費用がかからない
デメリット
・1人あたりの採用コストがほかの採用手法に比べて高くなる場合がある
・自社内にノウハウが蓄積されにくい
5-2.求人広告
求人媒体に、求人情報を掲載する採用方法です。それぞれの媒体ごとに利用者の層が異なります。エンジニア採用に強い媒体や利用者数が多い媒体に掲載すれば、より多くの求職者に見てもらえる可能性が高まります。
メリット
・未経験など幅広い層を大量採用したい場合は有効
・掲載プランによって料金が決まっているため予算が立てやすい
デメリット
・求人票が埋もれやすく、知名度や条件で負けていると応募が集まりにくい
・少人数採用の場合は採用単価が高くなる
5-3.ダイレクトリクルーティング
エンジニアに直接スカウトメールを送ってアプローチする攻めの採用手法です。潜在層にもアプローチすることができ、企業の知名度が低かったとしてもスカウトメールの内容次第で興味を持ってもらえる可能性があります。
メリット
・潜在層のエンジニアにもアプローチできる
・経歴やスキルを見て「採用したい」と思った方にアプローチが可能
デメリット
・スカウトメールを送る必要があり、人事担当者の負担が大きい
・候補者のピックアップにあたり募集要件の理解が必要
5-4.リファラル採用
自社の社員の知人を紹介してもらう採用手法です。紹介してもらう代わりにインセンティブを提供する仕組みになっています。会社の内情を知る社員からの紹介であるため、企業文化にマッチするエンジニアと出会える可能性があります。
メリット
・社員と属性が近しい人が多く、人物像がマッチしやすい
・採用コストを削減できる
デメリット
・不採用となった際にフォローが必要
・同じようなタイプの人材に偏りやすい
5-5.採用アウトソーシング
採用活動の一部または全部を外部の会社に委託するサービスです。主に委託できる業務内容は、採用戦略の立案をはじめ媒体掲載や運用、応募者との連絡や書類送付などの実務まで幅広く、自社のニーズに応じてサポートしてくれるのが特徴です。
メリット
・コア業務に専念できる
・プロのノウハウで採用力が強化される
デメリット
・自社内にノウハウが蓄積されづらい
・密な情報共有をしないとミスマッチが起こる場合がある
6.まとめ
エンジニア採用ができない要因から採用成功させるためのコツ、採用成功した企業事例、おすすめの採用手法をご紹介しました。年々、激化していく人材獲得競争により「エンジニア採用は難しい」と感じている企業は多いですが、採用成功のためのポイントを押さえて試行錯誤していけば活路を見出すことができるはずです。今回ご紹介した内容をぜひ参考にしていただければ幸いです。
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