エンジニアの採用単価の相場とは?|コスト削減の5つのポイント【成功事例あり】
新卒・中途採用
昨今のIT技術の進化に伴い、優秀なエンジニアの採用難易度は年々上がっています。同時に高騰しているのが、エンジニア1人あたりの採用単価です。
費用をかければかけるほど求める人材を採用できるとは限りません。費用をかけるべきところを見極め、効率よく採用をしていく必要があります。
本記事では
・エンジニア採用の相場や手法別の平均コスト
・エンジニア採用にマッチする手法
・採用単価の削減に成功した企業
についてご紹介していきます。効率的に優秀なエンジニアを採用したいと考えている方は、ぜひご覧ください。
目次
1.採用単価とは
採用単価とは、1人を採用するためにかかったコストのことを指します。採用にかかるコストには「外部コスト」「内部コスト」の2つがあります。
1-1.外部コスト
採用活動において外部の業者などに支払った費用のことを外部コストと言います。具体的には、求人広告への掲載費、人材紹介の成功報酬、個別説明会の会場費、合同説明会などイベントへの出展費、採用管理システム費などがあります。ほかにも採用HPや会社パンフレットの制作を外注した場合なども外部コストに含まれます。
1-2.内部コスト
内部コストは、社内で採用業務に費やした費用のことを指します。具体的には採用担当者や面接官の人件費になります。ほかには応募者の交通費や入社祝い金、リファラル採用をしている場合は、紹介してくれた社員へのインセンティブなどもあります。
1-3.採用単価の計算方法
外部コストと内部コストを把握した上で、採用単価をまずは知ることが重要です。社員1人あたりの採用単価は、以下の計算方法で出すことが可能です。
採用コストの総額(外部コスト+内部コスト)÷ 採用人数 = 1人あたりの採用単価
例:外部コストが300万円、内部コスト100万円で採用コスト総額が400万円で採用人数が5名だった場合。
400万円(300万円+100万円)÷5名=80万円
この場合、1人あたりの採用単価は80万円ということになります。この採用単価を抑えることができれば、効率的な採用ができたということになります。
2.エンジニア採用の相場と手法別の平均単価
エンジニア採用の相場はどのくらいか、また採用手法別の平均単価はどのくらいなのかをご紹介します。
2-1.エンジニア採用の相場
株式会社マイナビが2023年3月に発表した「マイナビ中途採用状況調査2023年版」によると、中途採用全体の2022年の平均採用コストは573.9万円でした。IT・通信・インターネット業界の2022年の平均採用コストは610万円で、全業界中、3番目に高いコストとなっています。
また、前年と比較して「採用コストが増えた」と回答した割合が42.3%で、業界全体で比較しても、IT・通信・インターネット業界が最も高い結果となっていることがわかります。
2-2.エンジニア採用手法別の平均単価
「マイナビ中途採用状況調査2023年版」をもとに採用手法別の平均コストをご紹介します。
図:ネオキャリア作成
人材紹介:平均295.3万円
IT・通信・インターネット業界の人材紹介の2022年の平均採用コストは295.3万円でした。人材紹介サービスを利用すれば採用担当者の人件費などの内部コストは削減できますが、人材紹介会社に支払う成功報酬は採用するエンジニアの年収の30%が目安となり、年収次第で採用単価が上がる恐れがあります。
DODAが調査した「平均年収ランキング」によると、エンジニアの平均年収は442万円万円でした。成果報酬がその30%だった場合、エンジニア1人あたりの採用単価は約133万円となります。あくまで平均値であるため、マネジメント経験者など優秀層を求める場合はさらに年収も上がるため注意しましょう。
引用:DODA 平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】
求人広告:平均97.3万円
エンジニア1人あたりの2022年の求人広告費は平均55.9万円でした。さらに2021年のエンジニア1人あたりの求人広告費は平均40.5万円だったことから、上昇傾向にあることがわかります。
また、全業界の求人広告における平均採用人数は約4.4人でした。求人広告はエンジニアを大量募集したい場合に相性が良く、採用人数が多いほどコストパフォーマンスが上がります。エンジニア採用に特化した媒体がある点もメリットです。一方で、応募が集まらなかったとしても広告費が発生する点には注意が必要です。
合同企業説明会・フェア:104.8万円
IT・通信・インターネット業界の合同企業説明会・フェアの2022年の平均コストは104.8万円でした。全業界の合同企業説明会・フェアにおける平均採用人数が約1.4人であることを参考にすると、1人あたりの採用単価は約74.8万円となります。
対面で求職者の雰囲気を直接確かめることができ、アプローチできる点が合同企業説明会・フェアの最大のメリットです。しかし、イベントに参加する社員の人件費やイベント開催のための準備、配布するパンフレットの制作などに工数がかかる点には注意が必要です。
ダイレクトリクルーティング:141.5万円
前年に比べて「この採用手法が増えた」という回答率が高かったのがダイレクトリクルーティングで、IT・通信・インターネット業界の2022年の平均コストは141.5万円でした。全業界のダイレクトリクルーティングにおける平均採用人数が約2.7人であることを参考にすると、1人あたりの採用単価は約52.4万円となります。
ダイレクトリクルーティングとは企業側から求職者へ直接スカウトメールを送り、アプローチする手法です。採用要件にマッチした人材をピックアップしてアプローチするためミスマッチを防ぎ、1人あたりの採用単価も抑えることができます。一方で、スカウトメールの文面を個別に考える必要があり、採用担当者の人件費などの内部コストは上がる恐れがあります。
求人検索エンジン:78.7万円
「Indeed(インディード)」をはじめとする求人検索エンジンは、無料で求人情報を掲載することができ、幅広い求職者に検索してもらえるチャンスがあるのがメリットです。しかし、無料プランではなかなか上位表示されず他社の求人に埋もれてしまうデメリットがあり、ほかの採用手法と併用するなどのノウハウが必要になります。IT・通信・インターネット業界の2022年の平均コストは78.7万円だったことから有料プランなどを活用していることがうかがえます。
全業界の求人検索エンジンにおける平均採用人数が約1.9人であることを参考にすると、採用単価は約41.4万円となります。ただし、応募者の「質」が重要であるエンジニア採用においては、求人に記載する内容に工夫が必要となるでしょう。
そのほか諸経費:139.9万円
HP制作・改修費、面接会場費、応募管理システム費などが諸経費にあたります。HPやSNSといった自社コンテンツを充実させて採用力を高めることができれば、長い目で見たときに外部コストの削減が期待できます。
さらに「今後取り入れたい採用手法」としてHPやSNSなどの自社コンテンツは高い回答結果となっており、企業の注目度が高いことがわかります。ただし、HPやSNSでの採用活動はすぐに効果が表れるものではないため、長期施策として緻密な検証を繰り返すことが重要です。
3.エンジニアの採用単価が高くなる理由
では、なぜエンジニアの採用単価は高くなってしまうのでしょうか?大きく3点の理由があります。
3-1.エンジニア不足が加速しているため
厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」によると、2023年7月の有効求人倍率は3.7倍でした。前年の2022年7月と比較すると0.3ポイント増加しており、依然として高止まりしていることがわかります。
エンジニアの求人倍率推移
図:ネオキャリア作成
引用:一般職業紹介状況[季節調整値(除パート)](令和5年7月分)
優秀なエンジニアの獲得競争が加速することにより、エンジニアの採用難易度が上がり、その結果1人あたりの採用単価が上がっていく要因となっています。
3-2.エンジニアの専門性が高まっているため
IT技術の目覚ましい進化に伴い、エンジニアに求められるスキルも日々高まっています。そのため企業間での優秀なエンジニアの獲得競争は免れません。他社よりも良い給与や条件面を提示する必要があり、採用単価が上がる要因となっています。ほかにも採用までのリードタイムが長引くことで、求人広告費などのコストも上がってしまいます。
また、これまでは未経験のエンジニアを採用していた企業が、コロナ禍をきっかけに経験者採用に切り替えるといったケースも増えています。そうした状況もエンジニアの採用単価がさらに上がる要因に繋がっています。
3-3.採用チャネルが多様化しているため
採用チャネルが多様化している今、従来の採用チャネルだけを利用し続けたり、ただ費用をかけているだけでは求める人材は採用できません。エンジニア採用に有効な手法はどれか、自社が求める人材はどのような手法を活用すれば出会えるかなど、常に試行錯誤が必要です。
4.エンジニアの採用単価を抑える5つのポイント
エンジニアの採用単価を抑えながら求める人材を採用するにはどうすればいいのでしょうか?ここでは、エンジニアの採用単価を抑えるポイントを5つご紹介します。
4-1.コストが上がっている要因を分析する
まずは採用単価が高くなっている要因を分析しましょう。外部コスト・内部コストを分けて、何にどのくらい費用がかかっているかを把握した上で、採用単価を抑えるための施策をおこなっていきます。
外部コストの中で効果があまり出ていない施策があれば見直す、内部コストで人件費がかかっているのであれば選考回数を減らす、会社説明会を動画に収録し登壇回数を減らすなど、少しの工夫でも採用単価を抑えることが可能です。
4-2.採用要件を緩和する
エンジニアに求める条件が高すぎることで採用ができず、採用活動の長期化にも繋がっている可能性があります。スキルや年齢の条件を緩和することで採用コストを改善できる場合があります。特にIT業界に興味を持つ若手層は年々増えているため、未経験の若手人材を視野に入れることも有効な方法の1つと言えるでしょう。
4-3.派遣社員やフリーランス・副業を活用する
エンジニア採用が難しい場合、派遣社員やフリーランス、副業のエンジニアに業務を委託するという方法も有効です。正社員を新たに採用する場合と比べて社会保険料の負担が抑えられる点に加えて、高いスキルを持っている人材が多いため、人材育成にかかる費用も抑えられ、人件費の削減につながります。
4-4.既存社員の離職を減らす
エンジニア人材を「増やす」だけでなく「減らさない」という考え方も大切です。職場環境の改善や福利厚生の充実化を図り、エンジニアの定着率を高めることで離職防止につなげましょう。特に資格取得支援の充実や定期的な面談の実施で何でも相談しやすい環境づくりをすることが重要となります。
4-5.コストパフォーマンスの高い採用手法を選ぶ
エンジニア採用を成功させるために、より効率的に採用できる手法を取り入れましょう。そのためには現在の施策でどのくらい効果が出ているのか費用対効果を意識しましょう。
5.エンジニア採用にマッチする採用手法4選
エンジニアの採用を成功させるには、採用単価を抑えるだけでなく自社にマッチする人材を効率よく採用できる手法を選ぶことが大切です。前述した採用手法別の単価をもとに、エンジニアを効率よく採用できる手法を4つご紹介します。
5-1.求人広告
採用手法が多様化した現在も多くの企業が求人広告を活用しています。より効果を出すためにはエンジニアに特化した求人媒体を選ぶと良いでしょう。条件面や業務内容においても、使用言語や開発環境などをできるだけ具体的に記載することが大切です。
エンジニア特化型の求人媒体には、成功報酬型と月額料金型があるため採用人数や予算に合わせて選定するようにしましょう。
5-2.人材紹介
人材紹介会社の登録者から採用条件にマッチした人材を紹介してもらえるため、工数を抑えることが可能です。求人広告と同様に、エンジニアに特化した人材紹介会社を選びましょう。人材紹介は成功報酬型が多いため、採用できるまで費用がかからないのもメリットです。
ただし、求める要件が高すぎると人材を紹介してもらえない可能性があります。また、大量採用する場合はコストがかさむ可能性があるので、採用人数によって活用するかどうか見極めることが重要です。
5-3.ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、SNSや媒体のデータベースから候補者を選定し、スカウトメールを送る流れが一般的です。採用担当者の工数はかかりますが、求人広告や人材紹介と比べるとコスト削減が期待できます。
また、転職潜在層へのアプローチが可能で、従来の方法では出会えない候補者に出会える可能性があります。ダイレクトリクルーティングの支援サービスをおこなっている企業もあるため、一度相談してみるのも良いでしょう。
5-4.リファラル採用
リファラル採用とは、社員の知人を紹介してもらう採用手法です。紹介した社員にインセンティブを与える制度を設けている企業もあります。インセンティブは3万円~10万円程度が一般的のようです。人材紹介などと比較すると費用を安く抑えられるほか、社員からの紹介のため社風にもマッチしやすい点がメリットです。
5-5.エンジニア採用代行サービス(RPO)
エンジニア採用におすすめの4つの採用手法をご紹介しましたが、どの手法を選べばいいかわからないという方は、採用代行サービス(RPO)を利用するのも1つの方法です。外部コストは発生しますが、採用戦略の立案や採用手法の選定からまるごと依頼できる会社が多く、成果につなげやすいというメリットがあります。
また、一部の業務だけを委託する、繁忙期の間だけスポットで委託するなど、費用を抑えて無駄のない採用活動をすることも可能です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
6.エンジニア採用単価の削減に成功した企業事例
エンジニア採用に苦戦している企業が多い中で、5章でご紹介したエンジニア採用行サービス(RPO)を活用して採用に成功した企業もいます。
ここでは「みんなの採用部」を運営する株式会社ネオキャリアの採用代行サービス(RPO)を活用して、採用コストの削減に成功した企業の事例をご紹介します。
6-1.エンジニア採用の成功事例①|IT系大手企業 D社様
目標人数達成+採用コスト大幅ダウン
・募集職種:CTO候補、開発エンジニア(PM/PL)、フルスタックエンジニア職など
・ターゲット:同業界エンジニア経験者(3年以上)、DX事業
・使用媒体:Green、BizReach
■採用目標が高くなったが、人材紹介経由の紹介数が伸び悩んでいた。
■ダイレクトリクルーティングに興味はあったが、実践できるか不安だった。
■初月は毎日配信をおこなっていたが、個別配信をおこなうと1日5~8時間はかかっていた。
- 導入前の状況
■採用手法:人材紹介がメイン
■採用費用:年収の30~35%
■採用人数:6名
■採用単価:1名あたり210万円
- 導入後の効果
採用手法:ダイレクトリクルーティング
採用費用:初期費用+年収15%+代行費用
採用人数:12名
採用単価:1名あたり120万円
6-2.エンジニア採用の成功事例②|システム系大手企業 M社様
定期的な人員確保+採用コスト大幅ダウン
・募集職種:社内SE 、テクニカルサポートエンジニア職
・ターゲット:1,000人規模以上経験のエンジニア(3年以上)
・使用媒体:BizReach、Green
■ダイレクトリクルーティングを自社内で運用していたが、工数の割に効果を実感できなかった。
■媒体社からアドバイスを貰いながらおこなったが、具体的な改善方法がわからない。
■最初は毎日配信をおこなっていたが、個別配信に1日3~5時間はかかっていた。
- 導入前の状況
■スカウト送信:72.7通
■自然応募数:3.8件
■スカウト返信率:4.3%
※3ヵ月平均の1ヵ月数値
- 導入後の効果
■スカウト送信:191通 2.6倍にUP
■自然応募数:13.5件 3.6倍にUP
■スカウト返信率:7.1%にUP
■人材紹介会社の比較で1人採用単価が42万にダウン
7.まとめ
エンジニア獲得競争はこれから先も続くことが予想されます。少しでも採用単価を抑え、効率的に採用するための方法や成功事例を本記事を通してお伝えしました。採用担当者だけで抱え込まずに、社内の方も巻き込んでできることから実践してみてください。
自社での採用活動が難しいと感じた場合は、人材紹介会社やダイレクトリクルーティング支援サービス、採用代行サービスなど、採用のプロの力を借りることもおすすめです。エンジニア採用の強化のために本記事で紹介した内容を参考にしてください。
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