新入社員研修とは?目的・カリキュラム例・進め方のポイント【人事担当者向け】
新入社員研修

新入社員研修とは、新しく入社した社員に、働くための心構えや必要な知識・スキルを身につけてもらう研修のことです。「新卒研修」「新入社員教育」とも呼ばれ、新卒の場合は入社直後の実施が一般的です。
企業によって内容や期間はさまざまですが、研修をただ実施するだけでは、配属後の現場で学びが活かされないことがあります。設計の段階で目的を決め、研修後のフォローまでを一連で考えることが、成果につなげる条件です。
本記事では、人事・研修担当者に向けて、新入社員研修の目的、種類と手法、カリキュラム例、実施時期・期間の考え方を解説します。あわせて、設計の進め方、内製と外注の判断、研修後のフォロー、リアリティショックや早期離職への備え、よくある失敗と対策も紹介します。
1. 新入社員研修とは?
新入社員研修とは、新しく入社した社員が、その企業で働くための心構えや知識、スキルを身につける研修のことです。新卒の場合は、入社直後に、社会人としての基礎と自社の仕事の進め方を学ぶ内容が中心になります。
HR総研の調査(2021年)では、企業が実施している階層別研修のうち、新入社員研修を挙げた企業が81%で、もっとも多い結果でした。新入社員を受け入れた企業の8割以上が、新入社員研修を実施しています。
出典:ProFuture株式会社/HR総研「人材育成(階層別研修)に関する調査 結果報告【新入社員研修編】」(2021年8月実施)
内定者研修・中途入社者の研修との違い
内定者研修や中途入社者の研修とは、対象と目的が異なります。
| 研修 | 対象 | 実施時期 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 内定者研修 | 内定者 | 内定から入社までの間 |
|
| 新入社員研修 | 新卒の新入社員 | 入社直後から |
|
| 中途入社者研修 | 中途採用の社員 | 入社直後 |
|
中途入社者は、社会人としての経験があるため、ビジネスマナーなどの基礎よりも、自社のルールや業務の理解に重点を置きます。
2. 新入社員研修の目的
新入社員研修の目的は、社会人としての基礎を固めることと、早期の戦力化・定着につなげることです。この目的は、企業側と受講者側という立場の違いと、短期と長期という時間軸に分けると整理しやすくなります。
企業側の目的
企業にとっての目的は、新入社員を早く戦力にすることと、自社への理解を深めて定着につなげることです。
受講者側の目的
受講者にとっては、学生から社会人への切り替えを、安心して進める場になります。
研修中に目指すこと・配属後に目指すこと
研修の目的は、研修期間中から配属直後までに達成するものと、配属後に時間をかけて達成するものに分けられます。前者は社会人としての基礎と自社の仕事の理解、後者は配属後に現場で成果を出し、自社で成長し続けてもらうことです。
| 時期 | 研修期間中〜配属直後 | 配属後 |
|---|---|---|
| 目指す状態 | 社会人としての基礎と、自社の仕事を理解している | 現場で成果を出し、自社で成長し続けている |
| 企業にとっての意味 | 早期の戦力化 | 定着、将来の中核人材の育成 |
3. 新入社員研修の種類と手法
研修は、OJTとOff-JTを組み合わせ、実施形式と手法を目的に合わせて選ぶことが基本です。形式は集合・オンライン・宿泊から、手法はグループワークやロールプレイなどから、身につけたい内容に合わせて選びましょう。
OJTとOff-JTを組み合わせる理由
新入社員研修は、業務から離れて学ぶOff-JTで全員共通の土台をつくり、配属後に現場で学ぶOJTで実践する流れが基本です。それぞれの弱みを補い合えるため、どちらか一方だけで進めるより、学びの偏りを防ぐことができます。
| OJT | Off-JT | |
|---|---|---|
| 学ぶ場所 | 配属先の現場 | 研修会場、オンライン |
| 向いている学び | 業務の実践スキル | 基礎知識、マナー、全員に共通する内容 |
| 強み | 実際の仕事のなかで、実践的なスキルが身につく | 全員に同じ内容を教えられ、学びのばらつきを抑えられる |
| 弱み | 指導する先輩や配属先によって、学びに差が出やすい | 業務から離れるため、現場とのずれが出やすい |
OJTの差は、Off-JTで全員共通の土台をそろえ、指導する先輩に教える内容と進め方を事前に共有しておくことで、小さくすることができます。Off-JTと現場のずれは、配属先の上司へのヒアリングをもとに内容を決め、OJTで実践して確かめることで防ぐことが可能です。
実施形式
新入社員研修の実施形式は、「集合」と「オンライン」、「宿泊・合宿」の3つに大きく分けることができ、研修の目的と、拠点や予算などの運営の条件に合わせて選ぶと良いです。
| 形式 | 特徴 | 向いている目的 | 向いている条件 |
|---|---|---|---|
| 集合 | 受講者が同じ場所に集まって受講する |
| 受講者が同じ拠点に集まれる |
| オンライン | 遠隔で受講する | 基礎知識の共有 |
|
| 宿泊・合宿 | 数日間、寝食をともにして受講する | 短期間での、同期の結束の強化 | 数日間の日程と、宿泊費や会場費を確保できる |
HR総研の調査(2021年)では、オンライン形式で実施している階層別研修として、新入社員研修を挙げた企業が54%でした。ただし、ワークやロールプレイが中心の内容は、対面か、双方向でやり取りしやすい形式に向いています。
出典:ProFuture株式会社/HR総研「人材育成(階層別研修)に関する調査 結果報告【新入社員研修編】」(2021年8月実施)
主な手法
研修の手法は、身につけたい内容と、受講者にどう関わってほしいかに合わせて選びましょう。
知識を理解してほしいのか、考えて判断してほしいのか、実際にやってみてほしいのかで、選ぶべき手法が異なります。代表的な6つの手法は次のとおりです。
| 手法 | 内容 | 向いている目的 | 進め方の例 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 講義(座学) | 講師が知識や考え方を説明する |
| 資料を使って説明し、確認の質問や小テストの時間を設ける | 受け身になりやすいため、ワークや質疑を挟む |
| グループワーク | 少人数のグループで課題に取り組む |
| 課題を出し、グループで議論したうえで、結果を発表する | 発言が特定の人に偏りやすいため、進行役、記録役、発表役を決める |
| ケーススタディ | 実際の事例をもとに、対応や解決策を考える |
| 自社で起きた事例を題材に、原因と対応策を考え、先輩社員の実際の対応と比べる | 事例が実際の業務から離れると、現場で活かしにくい |
| ロールプレイ | 業務の場面を想定して、役割を演じる |
| 電話対応や商談の場面を設定し、演じる側、相手役、観察役に分かれて、終了後にフィードバックする | 評価の場にせず、改善点を伝える場として進める |
| メンター制度 | 先輩社員が相談役としてサポートする |
| メンターとなる先輩を決め、定期的に話す機会を設ける | メンターの負担や相性の問題があるため、事前に役割と話の聞き方を伝える |
| レクリエーション | 簡単なゲームや課題に取り組む |
| 研修の冒頭や、座学が続いたあとに、短時間で取り入れる | 目的のない遊びになりやすいため、終了後に学びと結びつける振り返りを入れる |
これらの手法は、受講者の「学びの段階」に合わせて組み合わせましょう。講義だけで終えると、知識は身についても、現場で使える形にはなりにくいため、「知る」から「続ける」まで、段階を踏んで手法を選ぶようにしてください。
| 学びの段階 | 受講者の状態 | 向いている手法 |
|---|---|---|
| 知る | 知識や考え方を理解する | 講義 |
| 考える | 理解した内容をもとに、自分で判断する |
|
| やってみる | 実際の場面で、行動を試す | ロールプレイ |
| 続ける | 配属後も、実践と相談を重ねる | メンター制度(OJTと組み合わせる) |
レクリエーションは、緊張をほぐし、交流を深める目的で、どの段階にも挟めます。
研修だけでなく、入社前から配属後までの受け入れ全体の仕組みは、「オンボーディング」と呼ばれます。入社前の内定者フォロー、入社直後の研修、配属後のOJTや1on1、メンター制度までが、その範囲です。新入社員研修は、その中の施策の1つです。
研修だけで完結させず、研修で扱う内容と、OJT・1on1・メンター制度で扱う内容を分けて、受け入れ全体で役割を分担するようにしてください。
4. 新入社員研修のカリキュラム例
カリキュラムは、学んでほしい内容、進める期間、学んでもらう順番の3点を決めると、組み立てることができます。3点とも、受講者が配属後に早く戦力になれることをゴールに逆算して決めていきましょう。
即戦力になるために必要な5つの要素
学んでほしい内容は、新入社員が配属先で即戦力になるために必要な、会社の理解、マインドセット、ビジネスマナー、基礎スキル、配属先の専門知識の5つの要素から決めていきましょう。
それぞれの要素で身につけてほしい状態と、主な内容は、次のとおりです。
| 要素 | 身につけてほしい状態 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 会社の理解 | 自社を理解し、愛着を持っている |
|
| マインドセット | 学生から社会人へ、意識を切り替えている |
|
| ビジネスマナー | 社会人として、適切に振る舞える |
|
| 基礎スキル | 業務を進める基礎力がある |
|
| 配属先の専門知識 | 配属先で必要な専門知識を持っている |
|
HR総研の調査(2021年)では、新入社員研修の内容として、「社会人としての心構え」が86%、「マナー」が84%、「会社の仕組み・ルール」が76%で、上位に挙がりました。
この3項目は、表の「マインドセット」「ビジネスマナー」「会社の理解」にあたり、多くの企業が、全員に共通する土台として扱っています。
ただし、この土台だけでは、配属後にすぐ業務を進められるとは限りません。即戦力になってもらうには、基礎スキルと配属先の専門知識まで、配属先の業務に合わせて組み込む必要があります。どこまで組み込むかは、配属先へのヒアリングで決めるようにしてください。
出典:ProFuture株式会社/HR総研「人材育成(階層別研修)に関する調査 結果報告【新入社員研修編】」(2021年8月実施)
期間に合わせた配分:1か月・3か月のモデル例
研修に取れる期間によって、5つの要素の配分は変わります。ここでの期間は、入社から研修プログラムを終えるまでの期間です。1か月モデルは配属後のOJTを含まず、3か月モデルは、OJTでの実践まで含みます。
1か月モデルは、全員共通の内容を前半に集め、配属先の内容を最後に入れる形です。配属後に必要な知識や実践は、OJTで補います。3か月モデルは、全員共通の研修を1か月で終え、残りの2か月を、配属先ごとの内容と、OJTでの実践、振り返りに充てる形です。
| モデル | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 1か月モデル | 1週目 |
|
| 2週目 |
| |
| 3〜4週目 |
| |
| 3か月モデル | 1か月目 |
|
| 2か月目 |
| |
| 3か月目 |
|
学んでもらう内容を決めるときの優先順位
学んでもらう順番は、全員に共通する内容から、配属先ごとの内容へと進めるのが基本です。共通の内容を先に終えると、全員が同じ土台に立ったうえで、配属先ごとの学びに入れることが可能です。上述のモデル例も、この順番に沿っています。
| 優先度 / 順番 | 学ぶ要素 | この順番にする理由 | 期間が足りないときの調整 |
|---|---|---|---|
| 最優先第 1 位 | 会社の理解、マインドセット | 入社直後に、会社への理解と社会人としての自覚を高めると、その後の学びを受け入れやすくなる | 短い期間でも必ず残す |
| 高第 2 位 | ビジネスマナー、基礎スキル | 配属先を問わず必要で、全員に同時に教えられる。配属後の業務の前提にもなる | 配属後すぐに必要なものに絞り、残りは配属後に補う |
| 中第 3 位 | 配属先の専門知識 | 配属先によって内容が異なるため、共通の内容を終えたあとに、配属先ごとに分けて学ぶ | 配属後のOJTで補う |
研修に取れる期間が足りないときは、順番を入れ替えず、後ろの要素から、絞るか、配属後のOJTに回すようにしてください。ただし、配属後すぐに任せる業務が決まっている場合は、その業務に必要な専門知識だけ、前倒しして入れると良いでしょう。
5. 新入社員研修の実施時期と期間
新入社員研修は、入社直後に始めるのが一般的で、入社前の内定者研修と、配属後のフォローアップ研修が、その前後に加わります。期間は、1か月程度から数か月まで幅があり、配属までの日程・確保できる時間によって変わります。
実施時期
新卒の新入社員研修は、入社直後から始めるのが一般的です。入社前の内定者研修から、配属後のフォローアップ研修までが、一連の流れになります。
| 時期 | 研修 |
|---|---|
| 入社前 (内定から入社まで) | 内定者研修 |
| 入社直後 |
|
| 配属後 |
|
| 研修後3か月〜半年 | フォローアップ研修 |
HR総研の調査(2021年)では、フォロー研修の実施時期は「入社半年後」が最多でした。自社の研修は、入社と配属の時期、現場の繁忙期から逆算して、時期を決めてください。フォローアップ研修の時期ごとの目的は、フォローアップ研修の記事で解説しています。
出典:ProFuture株式会社/HR総研「人材育成(階層別研修)に関する調査 結果報告【新入社員研修編】」(2021年8月実施)
期間の目安
研修に取れる期間は、企業の規模や目的によって異なりますが、1か月程度、3か月程度、3か月を超える場合の3つに分けられます。ここでの期間は、入社から研修プログラムを終えるまでの期間です。
| 期間 | 研修の構成(OJTの扱い) | 向いているケース |
|---|---|---|
| 1か月程度 | 全体研修を中心に進め、配属後のOJTで補う (※OJTは期間に含めない) |
|
| 3か月程度 | 全体研修と配属先ごとの研修を段階的に進め、OJTの開始まで含める |
|
| 3か月を超える場合 | 配属後のOJTでの実践と、振り返りを繰り返す |
|
期間ごとの具体的な内容例は、上述のモデル例(1か月・3か月)を参考にして下さい。自社の研修期間が、2か月などの場合は、近いモデルを基準に、後ろの要素を配属後のOJTに回して調整するようにしてください。
6. 新入社員研修の設計の進め方
研修の設計は、目的、現場へのヒアリング、内容、期間・形式、測る指標の順に決めましょう。内容を決める前に、配属先の上司や先輩へヒアリングしておくと、現場の期待と研修内容がずれず、受講者が配属後に早く戦力になれる研修になります。
設計の5ステップ
研修の設計において最も大切なことは、最初に決める「目的」です。「研修後、受講者にどうなっていてほしいか」を言語化しておくと、内容・期間・測る指標を決める基準になります。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 目的を決める | 研修後に、どんな状態になってほしいかを言葉にする | 「早期の戦力化」「定着」など、研修後の姿で書く |
| 2. 現場にヒアリングする | 配属先の上司や先輩に、求める役割とつまずきやすい点を聞く | 若手社員の「困ったこと」も聞く |
| 3. 内容を決める | 5つの領域から、目的に合う内容を選ぶ | 全員に共通する内容を先に、配属先ごとの内容を後に置く |
| 4. 期間・形式を決める | 実施時期、期間、集合かオンラインかを決める | 現場の繁忙期と重ならないようにする |
| 5. 測る指標を決める | 研修後に、何を見るかを先に決める | 反応・学習・行動・成果の4段階で整理する |
基本は上から順に進めますが、ステップ3と4は、行き来しながら決めましょう。研修に取れる期間に内容が収まらない場合は、後ろの要素(配属先の専門知識など)を配属後のOJTに回して調整するようにしてください。
現場ヒアリングの項目
現場へのヒアリングでは、次の5つの項目を確認すると、内容のずれを防げます。
ヒアリングをする相手は、配属先の上司や先輩に加えて、入社2〜3年目の若手社員です。若手社員から、新入社員だった頃に「配属先でわからなくて困ったこと」を聞くと、研修で補うべき内容が見えてきます。
社内に説明するときのポイント
稟議や報告では、目的・実施内容・測る指標・費用・期待する成果の5項目を1枚にまとめると、研修の必要性が伝わりやすくなります。
測る指標の考え方と、説明に使える表は、フォローアップ研修の記事の第7章で紹介しています。費用の判断は、この記事の第7章を参照してください。
7. 内製か外注かの判断軸
内製か外注かは、人事の工数と設計のノウハウがそろっていれば内製、第三者の視点や専門的な手法がほしければ外注、というように必要な要素から判断しましょう。
外注を選ぶ場合は、比べる項目を先に決めておくと、ミスマッチを防ぐことができます。
| 観点 | 内製 | 外注 |
|---|---|---|
| 費用 | 外部に支払う費用は抑えられるが、講師や準備の人件費がかかる | 研修会社への支払いが発生する |
| 内容の専門性 |
| 他社の事例や専門的な手法を取り入れやすい |
| 準備の工数 | 設計、教材づくり、進行を社内で担う | 打ち合わせが中心で、人事の工数を抑えやすい |
| 向いているケース |
|
|
判断に迷う場合は、設計だけを外注し、運営は社内でおこなうなど、部分的に外注する方法もあります。外注に任せる範囲を決める前に、第6章のステップ1と2(目的を決めることと、現場へのヒアリング)を済ませておくと、決めやすくなります。
外注を検討するときの確認項目
外注を検討するときは、次の5つの項目で依頼先を比べてください。
8. 新入社員研修後のフォロー
研修の成果を現場に残すには、研修後のフォローが欠かせません。研修後3か月から半年を目安にフォローアップ研修を実施し、1on1、メンター制度、OJTを組み合わせて、研修で終わらせない仕組みを作りましょう。
| 施策 | 役割 | 実施のタイミング |
|---|---|---|
| フォローアップ研修 | 学んだ内容の振り返りと、つまずきの解消 | 研修後3か月〜半年 |
| 1on1 | 個別の悩みや目標の確認 | 配属後(定期的) |
| メンター制度 | 先輩社員による、日常的な相談 | 配属後(継続的) |
| OJT | 現場での業務を通じた実践 | 配属後(継続的) |
役割を分けておくと、重なりや抜けを防げます。具体的には、全員に共通するつまずきはフォローアップ研修で扱い、個人ごとの悩みは1on1とメンター制度で拾う、といったイメージです。
フォローアップ研修の実施時期
フォローアップ研修は、研修から3か月後と半年後で、目的が変わります。3か月後は配属後の不安を和らげる時期、半年後は学んだ内容の定着と意欲の回復を図る時期です。
自社の配属時期と、現場の繁忙期を見て、3か月後と半年後のどちらかを選んでください。時期ごとの進め方は、フォローアップ研修の記事で詳しく解説しています。
9. 新入社員のリアリティショックと早期離職
入社前の期待と入社後の現実とのギャップ(リアリティショック)による早期離職には、新入社員研修の段階から備えておく必要があります。この早期離職に備えるためには、離職のデータと、現場の新入社員の声の両方から、課題をつかむことが重要です。
新卒の3年以内離職率
新規大卒就職者のうち、就職後3年以内に離職した人の割合は33.8%で、約3人に1人にあたります。厚生労働省の調査(令和4年3月卒業者)では、事業所の規模が小さいほど、この割合は高くなる傾向があります。
| 事業所規模 | 新規大卒就職者の3年以内離職率 |
|---|---|
| 5人未満 | 57.5% |
| 5〜29人 | 52.0% |
| 30〜99人 | 41.9% |
| 100〜499人 | 33.9% |
| 500〜999人 | 31.5% |
| 1,000人以上 | 27.0% |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」(令和7年10月24日公表)
離職の理由は、研修だけで解決できるものではありません。それでも、入社後の早い段階で社員のつまずきに気づき、手を打てる機会として、研修を位置づける意味は大きいと言えます。自社の規模に近い行の離職率と見比べて、研修にかける優先度を考えてください。
人事担当者が感じる新入社員の課題
HR総研の調査(2021年)では、これまでの新入社員と比べて劣っている点として、「受け身的である」を挙げた人事担当者がもっとも多い結果でした。優れている点としては、「まじめである」が最多でした。
| 項目 | 上位3つ(回答割合) |
|---|---|
| 優れている点 | まじめである(48%) |
| 自分の時間を大事にする(34%) | |
| ITに強い(30%) | |
| 劣っている点 | 受け身である(41%) |
| 競争心が無い(29%) | |
| 叱られることに慣れていない(26%) |
出典:ProFuture株式会社/HR総研「人材育成(階層別研修)に関する調査 結果報告【新入社員研修編】」(2021年8月実施)
研修では、まじめに取り組む姿勢を活かしながら、受け身になりがちな新入社員が、自分から動く場面をどうつくるかが、カリキュラム作成時のポイントになります。
研修で和らげる方法
入社後のギャップは、研修の中で、入社時の期待と現実をすり合わせる場を設けることで和らげることができます。方法は次の5つです。
| 方法 | 内容 | 和らげるギャップ |
|---|---|---|
| 先輩社員との座談会 | 配属先の先輩が、仕事の実際や、入社後に戸惑った点を話す | 仕事内容のイメージのずれ |
| 現場見学・職場体験 | 配属先の仕事を、実際に見る、体験する | 職場の雰囲気や、業務量のずれ |
| 期待と現状の振り返り | 入社前の期待と、いまの現状のずれを書き出して、共有する | 期待と現実のずれそのもの |
| 相談の場づくり | 上司やメンターと、定期的に話す機会をつくる | 悩みの抱え込み |
| 小さな成功体験の振り返り | 自分でできたことを、研修の中で振り返る | 自信の低下 |
10. 新入社員研修のよくある失敗と対策
失敗を防ぐには、実施前のヒアリングと、実施後のフォローを、設計の段階で決めておくことが重要です。内容の詰め込みや、座学だけで終わる運営も、受講者が配属後に早く戦力になることをゴールに、逆算して設計することができれば避けることができます。
起こりやすい失敗は5つあり、いずれも、設計の段階で防げます。
11. まとめ
新入社員研修は、目的を決め、現場の状況に合わせて内容を設計し、研修後のフォローまでを一連で考えることで、成果が現場に残りやすくなります。新卒の場合は、研修の内容に加えて、入社後のギャップや早期離職への備えも、あわせて検討してください。
自社に合う研修の設計や、配属後の定着を見据えた研修についてお悩みの方は、ぜひ以下ボタンからお気軽にご相談ください。
元人事の経験をもとにいつでも頼れる存在に
人事を約2年経験後、2016年より人材紹介サービスを活用した企業様のご支援をさせていただいております。話題の人材紹介ツールやトレンドをわかりやすくお伝えすることが得意です。
- 名前
保宗/人材紹介領域
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