採用ブランディングの成功事例4選|効果的な戦略や役立つ採用ツールをご紹介!
採用 ブランディング

企業が持続的に成長していくためには、自社の企業文化や社風にあう人材の確保が不可欠です。そのような中、人材確保の課題に直面している採用担当者もいるでしょう。
採用市場では企業間で優秀な人材確保の競争が激化しており、自社の魅力を伝えられなければ、競争力の強化および優秀な人材を引きつけることは困難です。
そのような背景から、自社の社風にマッチして長期的に活躍し続けられる人材を確保するために採用ブランディングに注目する企業が増えています。
本記事では、
・採用ブランディングとは
・効果的な採用ブランディングの効果的な戦略や役立つ採用ツール
・具体的な採用ブランディング事例
について紹介します。
採用ブランディングの理解を深めると、採用活動における競争力が飛躍的に向上し、長期的に優秀な人材が確保できる可能性が高まるでしょう。
目次
1.採用ブランディングとは
採用ブランディングは、自社の魅力を求職者に伝えるための戦略です。自社で長く尽力してくれる人材を引きつけ、採用の質を向上させるためにおこなう重要な活動です。
採用ブランディングの戦略は、企業の文化や価値観、ビジョンを求職者へ効果的に伝えることにあります。将来的には、採用コスト削減や社員の定着率向上が期待できます。
採用ブランディングの目的や、採用ブランディングと似ている採用広報と採用マーケティングとの違いについて見ていきましょう。
採用ブランディングの目的
自社の魅力を求職者に伝えることで自社のファンを作り、採用において存在感や価値を高めることが採用ブランディングの目的です。自社のファンになった人材を引きつけられると、採用の質が向上し、求職者が入社した後の離職率低下につながります。
具体的には、自社のビジョンやミッション、働く環境や社員の声などを通じて、求職者に企業の魅力を伝えます。
企業の価値観や文化に共感する求職者を集めることができれば、長期的に見て企業の成長に貢献する人材を確保することにつながります。採用ブランディングは企業のブランド価値を高め、採用活動全体の質を向上させる重要な手段であると共に、企業や事業の成長にも不可欠な取り組みです。
採用広報・採用マーケティングとの違い
採用ブランディングは、採用広報や採用マーケティングと似ているようで異なります。採用戦略を効果的におこなう上で、採用広報および採用マーケティングとの違いを理解することは重要です。
採用ブランディングと採用広報および採用マーケティングの違いを詳しく説明します。
目的 | ターゲット | 戦略 | |
採用ブランディング | 自社の魅力を伝え、長期的なブランド価値を高める | 自社の価値観や文化に共感する求職者 | 長期的・持続的なブランド構築 |
採用広報 | 採用情報の広報と発信 | 広く一般の求職者 | 短期的な採用活動の情報発信 |
採用マーケティング | 求職者の行動分析とターゲティング | 特定の求職者 | 求職者のニーズに合わせた施策 |
採用ブランディングと採用広報の違い
採用ブランディングと採用広報では、ターゲットと目的が大きく異なります。採用ブランディングは企業の価値観や文化に共感する求職者をターゲットに定めつつ、長期にわたってブランド価値を高めることを目指します。
一方、採用広報は広く一般の求職者に向けた情報発信が主であり、短期的な採用活動の支援を目的としています。
例えば、採用広報では企業の採用情報やイベントの告知が中心ですが、採用ブランディングにおいては企業のストーリーや社員の声を通じて、求職者に深い共感を呼び起こすことが重要視されます。
採用ブランディングと採用マーケティングの違い
採用ブランディングと採用マーケティングの違いは、戦略のアプローチにあります。採用ブランディングは長期的に企業のブランド価値を構築することに焦点を当てますが、採用マーケティングは求職者の行動分析を基にしたターゲティング施策が中心です。
具体的には、採用マーケティングでは求職者のニーズや行動パターンを分析し、効果的な求人広告やプロモーションを展開します。一方、採用ブランディングは企業のビジョンやミッションを軸に、求職者との継続的な関係構築を目指します。
採用広報および採用マーケティングの詳細について理解を深めるために、以下の記事も参考にしてください。
2.採用ブランディングの重要性と注目される背景
採用ブランディングをおこなって企業のブランド価値を高めることで、継続的に魅力的な求職者を引き寄せることができます。GoogleやAppleを事例に挙げると、自社の魅力を求職者に強くアピールして、多くの優秀な人材を引き寄せています。
効果的な採用ブランディングにより、求職者から企業に対する魅力が高まり、競争力が強化されます。また、企業文化や価値観に共感できるかを重視している求職者もいるため、ブランディングを通じて自社の独自性を明確にすることが求められています。
そして、企業の理念や文化を明確にすることで、求職者とのミスマッチを減らし、長期的に活躍できる人材を確保することが可能です。
効果的な採用ブランディングは、求人広告や人材紹介サービスに頼らずとも自然に応募が集まるようになるため、採用コスト削減にもつながります。
採用ブランディングの実施率
採用ブランディング支援サービスを提供する株式会社PR Tableが調査した「採用ブランディングにおける取り組み実態調査(2024年2月)」によると、大企業の57.5%が採用ブランディングに取り組んでおり、中堅企業は38.4%と、やや遅れていることがわかります。
また具体的に実施している施策については、6割以上の企業が採用サイトの制作をおこなっているという結果が出ました。次にSNSの活用、パンフレットや会社説明資料の制作がランクインしていました。
一方で、採用ブランディングがなかなか進んでいない背景としては、大企業・中堅企業に関わらず「リソースが足りない」「自社の分析ができていない」ことが挙げられました。
採用ブランディングに興味はあるが人手不足で手が回らない、何から始めればいいかわからないという人事担当者は、まず日々の採用業務の見直しや効率化をプロに相談するのも一つの方法です。
3.採用ブランディングのメリット
本章では、採用ブランディングのメリットについて詳しく説明します。
採用ミスマッチを防止できる
採用ブランディングは、企業と求職者のマッチ度を高めるメリットがあります。企業が自社のビジョンやミッションを明確に発信することで、価値観に共感する求職者が集まります。
そのため、選考時の離脱を減少させることができ、さらに入社前後のミスマッチを防ぐことができます。
さらに、価値観の共有によって、入社後の適応もスムーズになり、長期的に良好な雇用関係が築けるため採用効率が改善します。
競合他社と差別化が図れる
採用ブランディングを効果的におこなうと競合他社との差別化を図ることができます。自社の強みや価値観を明確に伝えることで、他社にはない独自の魅力を求職者にアピール可能です。
例えば、自社の働きやすさや、独自の企業文化を強調することで、求職者の関心を引きやすくなります。採用ブランディングで自社のアピールをおこなうことによって、競争の激しい採用市場で優位に立てるようになるでしょう。
企業認知度の向上につながる
採用ブランディングを通じて、自社の魅力や取り組みを積極的に発信することは、企業認知度の向上につながります。
求職者だけでなく、広く一般にも企業の存在を知ってもらうことができ、ブランド認知度や信頼性が高まって結果的に採用活動の成功率が上がる可能性があります。
企業の認知度が高まれば、求職者に対する効果だけでなく、新しいビジネスチャンスやパートナーシップの機会も広がっていくでしょう。
社員のエンゲージメントやモチベーションの向上につながる
採用ブランディングは、企業の想いを求職者だけでなく、社員に伝える重要な役割も果たします。企業の魅力を再認識することで、社員各々のエンゲージメントとモチベーションが向上するでしょう。
例えば、企業のビジョンやミッションが明確であれば、社員は自分の仕事に対する誇りと目的意識を持つようになります。採用ブランディングは既存社員の士気を高め、企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。
採用コストを削減できる
採用ブランディングを通じて企業の魅力を高めることで、積極的に自ら応募してくる求職者が増えます。応募者が増えると、企業側の採用活動にかかるコストの削減が可能です。
具体的には、求人広告や人材紹介サービスにかかる費用を抑えることができるため、採用にかかる負担が少なくなるでしょう。
さらに、採用ブランディングによって集まる求職者は企業の価値観に共感しているため、企業が求める人物像に近づきます。企業が求める人物像は、長期的な雇用関係を築きやすくなり、結果的に離職率の低下にもつながっていくでしょう。
4.採用ブランディングのデメリット
本章では、採用ブランディングの主なデメリットを詳しく説明します。
効果が出るまでに時間がかかる
採用ブランディングの効果が現れるまでには時間がかかることがあります。
企業のブランドイメージや知名度を向上させるためには、継続的な情報発信と努力が必要です。企業は、一貫したメッセージの発信およびターゲットに合わせた戦略的なアプローチを地道に続けることが求められます。
また、ブランドイメージの構築にも時間がかかるため、短期的な投資として捉えることは適切ではないでしょう。
企業全体で取り組む必要がある
採用ブランディングを成功させるためには、企業全体での取り組みが不可欠です。
企業の魅力や強みを効果的に伝えるためには、適切なコンテンツの作成と適切なタイミングでの発信が必要です。また、発信した情報に対するフィードバックを収集し、次の施策に反映させるためにはとても時間がかかります。
さらに、社員の協力を得ることや、一貫したメッセージの発信が重要です。もしもメッセージがずれてしまうと、採用のミスマッチにもつながりかねません。
実施に向けて準備期間やノウハウが必要
採用ブランディングを効果的に実施するためには、現在の市場動向や競合他社の状況を把握し、適切な戦略を立てる準備期間が必要です。
競合他社の状況の把握には、時間と労力がかかるため、短期間での成果を期待することは難しいでしょう。また、実施に向けては、計画立案などにノウハウも必要です。
競合他社の状況把握、準備や計画立案などに時間を要することを念頭におき、企業は長期的な視点で採用ブランディングを進める必要があります。
ノウハウがわからない場合や、人員や時間を割けない場合などは、採用のプロにお願いすることもおすすめです。採用ブランディングにお困りの方はこちらからチェックしてみてください。
5.効果的な採用ブランディングの手順
効果的な採用ブランディングをおこなうためには、明確な手順と戦略が必要です。適切な手順でおこなうと、企業は求職者に対して、自社の魅力を効果的に伝えることができます。
以下では、具体的な採用ブランディングの手順を8段階に分けて説明します。
目的の整理
採用ブランディングをおこなうためには、目的を明確にすることが重要です。
まず、どのような人材を採用したいのかを具体的に洗い出しましょう。次に、採用を通じて企業にどのような効果をもたらすかを定めます。
例えば、新しいプロジェクトを成功させるために特定のスキルセットを持つ人材が必要なのか、または企業文化にフィットする人材を増やしたいのかを明確にします。
具体的に採用した人材を洗い出すことで、採用活動全体の方向性が見えてくるでしょう。また、採用の目標を設定することで、採用後の評価や改善に役立ちます。目標は具体的かつ測定可能なものにすることがポイントです。
求める人物像の明確化
企業が求める人材像を具体的に洗い出すことが必要です。採用活動のターゲットを明確にすると効果的なアプローチができるようになります。
具体的には、必要なスキル、経験、性格、価値観などをリストアップし、理想的な求職者の人物像を作成しましょう。採用ペルソナ(想定した人物像)に基づいて採用活動をおこなっていくことで、ミスマッチを防ぎ、採用の成功率を高めることができます。
さらに、求職者側から企業に求める要素を理解しましょう。求職者が知りたい情報を含んだメッセージを企業が発信すると、ターゲット層へのアピール力向上につながります。
採用ペルソナの作り方が気になる方はこちらの記事をチェックしてみてください。
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自社の強みと魅力の洗い出し
企業の強みや魅力を整理しましょう。求職者に対して、自社のどのような点がアピールポイントになるかを明確にして伝えることが重要です。
具体的には、企業理念、職場環境、キャリアパス、福利厚生などを洗い出し、求職者が知りたいと考えている魅力的な情報を整理しましょう。
また、他社の情報を調べて比較もおこない、自社の現状を適切に把握することが不可欠です。自社の現状を適切に把握することで、企業の強みを求職者へ最大限にアピールできます。
採用コンセプトの作成
自社の強みと求める人物像をもとに、採用コンセプトを作成します。
採用コンセプトは、採用活動全体の方向性を示すもので、求職者に対する一貫したメッセージです。求職者に対するメッセージは、企業のビジョンやミッションと必ず一致するものであり、求職者に対して企業の魅力をしっかりアピールするものにしましょう。
また、採用コンセプトは企業のブランドイメージを反映させるものであり、求職者に対して信頼感と共感を与えることが大切です。
採用メッセージの作成
採用メッセージ作成においては、採用コンセプトと求める人物像に沿ったものを作成することが大切です。
採用メッセージでは、自社の強みと採用ターゲットが求めるものが合致するように意識しましょう。また、求職者に対する採用のフェーズに合わせて、伝えるメッセージも適切に変化させることがポイントです。さらに、軸となる採用コンセプトはずらさないようにすることも肝心になってきます。
採用メッセージは、企業の価値観や文化を反映させ、求職者に共感を呼び起こす内容にすることが不可欠です。
社員の巻き込み
採用ブランディングを成功させるためには、採用担当だけでなく、現場の社員の協力が欠かせません。採用担当以外の社員が企業の魅力を伝える役割を担うことで、よりリアルな情報を求職者に伝えることができます。
さらに、社員のエンゲージメントを高めるために、企業のビジョンやミッションを共有し、社員が企業のビジョンの一部であることを実感させることが重要です。また、社員が自分の経験やリアルな成功体験を求職者に伝えることで、企業の魅力がより具体的に伝わります。
採用担当以外の社員の協力を得るためにも、社内のコミュニケーションを強化し、全員が一体となって採用活動に取り組むことが求められます。
発信方法の決定
採用ブランディングでは、どのような手法・ツールを使って発信するかを決定するのも重要です。
自社の求める人物像に沿った発信手法・ツールを選定することが大切です。例えば、SNS、ブログ、Webサイト、動画コンテンツなどを活用し、ターゲットに合わせた最適な情報発信をおこないます。
ターゲットに合わせた最適な情報発信方法を決定するためには、求職者がどのようなメディアを利用しているかを把握し、最適な採用媒体を選ぶことが成功の鍵です。
また、定期的に発信することで、企業の最新情報が常に求職者へ届きます。定期的な発信で、求職者との接点を増やし、求職者の関心を高めることが可能です。
定期的な振り返りと改善
採用ブランディングの進捗を定期的に評価し、必要に応じて戦略を見直すことも重要です。
PDCAサイクルを回しながら、常に改善を図っていくことで、採用活動の効果を最大に引き出すことができます。具体的には、KPI(Key Performance Indicator、主要業績評価指標)を設定し、採用活動の成果を測定します。例えば、応募者数、選考通過率、入社率などを定量的に評価し、課題を特定します。
そして、課題に対する改善策を実施し、再度評価をおこなうことで、継続的な改善を図りましょう。採用活動の成果の測定、評価、改善、再評価を繰り返していくことで、採用ブランディングの効果を高めることができます。
6.採用ブランディングに役立つツール
さまざまな採用ツールを活用して、求職者との接点を増やしていくことは非常に重要です。適切なツールを利用すると、企業のブランド価値を効果的に伝えることができるため、求職者の関心を引きつけられるようになります。
具体的な採用ツールを6つご紹介します。
採用特設サイト
企業の採用情報や働く環境、社員の声などを詳細に紹介する特設サイトは、求職者に対する第一印象を左右する重要なツールです。
採用特設サイトでは、詳細な企業のビジョンやミッション、具体的な仕事内容、福利厚生、キャリアパスなどを紹介しましょう。また、社員のインタビューやメッセージを掲載することで、企業の文化や雰囲気をリアルに伝えることができます。
企業の文化やリアルな雰囲気を感じることで、求職者は企業の魅力を具体的に理解し、応募意欲が高まるでしょう。さらに、求職者は企業のリアルな側面を垣間見ることで、自分に合った企業かどうかを判断する材料にもなります。
動画メディア
YouTubeやVimeoなどの動画プラットフォームを活用し、企業のビジョンや日常の職場風景を動画で紹介することは、求職者にリアルなイメージを持ってもらうのに効果的です。
動画コンテンツでは、企業の歴史やビジョン、ミッションを視覚的に伝え、求職者に強いインパクトを与えることができます。
また、社員の1日の業務内容やオフィスツアーなど、日常の職場風景を動画で紹介すれば、求職者に実際の雰囲気を感じてもらいやすくなるでしょう。さらに、社員インタビューやプロジェクトの成功事例などを動画視聴してもらえば、求職者に企業の強みや魅力を具体的に伝えることが可能です。
SNS
X、LinkedIn、InstagramなどのSNSを通じて、企業の最新情報やイベント、社員の日常を発信すると、求職者との接点を増やし、エンゲージメントを高めるために非常に有効です。
SNSでは、企業の最新ニュースやイベント情報をリアルタイムで発信し、求職者に企業の動向を常に知らせることができます。また、社員の日常や職場の様子を投稿することで、企業の雰囲気や文化を身近に感じてもらえるでしょう。
さらに、求職者からの質問やコメントに対して迅速に対応することで、双方のコミュニケーションを図り、信頼関係構築につながります。
採用プロモーションコンテンツ
採用プロモーションコンテンツは、企業の魅力や強みを求職者に伝えるための重要なツールです。具体的には、企業紹介動画、社員インタビュー、オフィスツアー動画などが挙げられます。
企業紹介動画や社員インタビューなどを通じて、求職者は企業の文化や働く環境を具体的にイメージできます。さらに、求人媒体やSNSを活用すれば、広範囲に情報を届けることも可能です。
一貫したブランディングメッセージを発信することで、企業のブランド価値を高め、求職者の関心を引き付けることができます。
採用イベント・説明会
採用イベントや説明会は、企業と求職者が直接交流できる非常に重要な機会です。直接対面できるイベントや説明会では、企業の魅力を直接伝えることができ、求職者の応募意欲を一層高めることができます。
効果的なイベントの計画、実施、フォローアップをおこなうための管理ツールを活用することも重要です。管理ツールを用いてイベントの効果を最大化し、求職者に対するインパクトを高められます。
また、遠方の求職者に対してオンラインイベントやウェビナーを活用すると、地理的な制約を超えて多くの求職者にアプローチすることも可能です。
社員インタビューやストーリーテリング
社員インタビューやストーリーテリングは、企業の文化や価値観を具体的に伝えるための有効な手段です。
現場で働く社員の声や成功事例をインタビュー形式で紹介することで、求職者は企業のリアルな一面を知ることができます。求職者は企業の魅力を深く理解し、共感を得やすくなるでしょう。
また、社員のキャリアパスや成長ストーリーを通じて、企業で働くことの意義や魅力を求職者に伝えることができます。
7.採用ブランディング戦略のポイント
採用ブランディング戦略を成功させるためには、重要な3つのポイントを押さえる必要があります。以下では、具体的な戦略について説明します。
継続的な情報発信
継続的に情報を発信をしていくことで、企業の認知度は高くなっていきます。
定期的な情報発信は、求職者に対して企業の最新情報や魅力を、常に提供するための重要な手段です。例えばブログ記事、ニュースレター、SNSの投稿などで、企業のビジョンやミッション、日常の業務風景、社員の声などを発信し続けていくことが重要です。
継続的な発信が企業のブランドイメージの強化につながり、求職者に対する信頼感を醸成できます。また、情報発信の一貫性を保つためにも、発信する内容やタイミングを事前に計画すること、そして定期的に見直すことが重要です。
社員の声を取り入れる
社員の声を積極的に取り入れることで、求職者にリアルな企業の姿を伝えることができます。
実際に働く社員の体験談や成功事例をインタビュー形式で紹介することで、求職者は企業の雰囲気や働き方について具体的にイメージできます。
例えば、社員がどのようなキャリアパスを歩んできたのか、どのようなプロジェクトに関わっているのかなど、具体的なエピソードを交えることで、企業の魅力をよりリアルに伝えられるでしょう。
企業の魅力がリアルに伝われば、求職者の関心を引き、企業への応募意欲を高めてもらうことができます。
採用活動の一貫性を保つ
一貫性のある採用活動をおこなうことは、企業のブランドイメージを統一するために非常に重要です。
採用プロセス全体を通じて、一貫したメッセージを発信することは、求職者に対する信頼感を高めることにつながります。具体的には、求人広告や採用ページのデザイン、面接時の対応、内定後のフォローアップなど、すべてのステップで同じトーンやスタイルを維持することが大切です。
また、採用チーム全体で共通のビジョンや方針を必ず共有し、一貫した採用活動をおこなうための体制を整えることも重要です。採用活動の土台となる体制を整えることで、企業のブランドイメージを強化し、求職者に一貫した印象を与えることにつながります。
経営陣の協力を得る
採用ブランディングの成功には経営陣の協力も不可欠です。
経営陣が戦略の重要性を理解し、積極的に関与することで、企業全体が一致団結した取り組みができます。具体的には、経営陣が採用ブランディングの意義を社員に伝え、全社的なサポートを得るための説明会を実施することが有効です。
また、経営陣自らが情報発信のリーダーシップを取ることで、企業のビジョンや価値観をより強力にアピールできます。強力な経営陣の協力を得ることで、採用ブランディング戦略の成功率が高まり、企業の成長とビジョン達成に大きくつながります。
適切な発信手法・ツールを選定する
適切な発信方法の選定やツール選択も大切です。企業のターゲットとなる求職者層に最も効果的にリーチできる手法を選ぶことが求められます。例えば、若年層をターゲットにする場合、InstagramやTikTokなどのSNSを活用するのが効果的です。
一方で、専門職や中途採用の場合は、LinkedInや専門誌での広告が有効です。また、採用特設サイトや動画メディアを使って企業の魅力を発信することで、求職者にリアルな企業の姿を伝えることができます。
8.採用ブランディングの成功事例
企業の魅力を効果的に伝え、優秀な人材を引きつけるための重要な戦略である採用ブランディングの成功事例は多くあります。
以下に、採用ブランディングの成功事例を4社抜粋してご紹介します。
事例1.メルカリ|オウンドメディアの運用で入社後のミスマッチを防止
解説
フリマアプリを展開するメルカリでは、採用ブランディングを推進する社内チームを立ち上げ、オウンドメディア「mercan(メルカン)」を運営しています。
オウンドメディアの目的は「入社後のミスマッチ」をなくすことであり、「働く人」に徹底的にフォーカスした記事を配信することで人の雰囲気や組織の透明性を訴求しています。その結果、求人応募や入社人数も多く、採用を目的としたオウンドメディア運営の代表的な成功事例となっています。
成功のポイント
サービスや事業の話を発信するのではなく「人」にフォーカスすることで先輩社員への憧れを醸成させることにつながっています。
また、オウンドメディアを運営する社内チームには、新卒、中途、グローバル採用、総務などさまざまな分野に携わる人材が集まっており、それぞれの知見を活かせる組織風土があることも、オウンドメディアの影響力を高めている理由といえるでしょう。
参考:メルカリの「人への投資=People Branding」が生み出した想定外な反響(mercan)
事例2.日本マクドナルド|「入社後の活躍」を目的とした従業員の満足度向上
解説
日本マクドナルドでは約2,500人の社員と19万人以上のアルバイトスタッフが在籍しています。同社が採用ブランディングの一環として力を入れているのが「EVP(Employee Value Proposition)」です。EVPとは「企業が従業へ提供できる価値」のことを表します。
具体的には、給与や賞与、休暇、福利厚生といった「目に見える価値」だけでなく、ブランドやカルチャー、人、得られるスキルなどの「目に見えない価値」を重視しており、全世界のマクドナルドで実施している研修制度「ハンバーガー大学」をはじめ、さまざまな施策をおこなっています。
見えない価値をしっかりと提供することで、給与や賞与などの優劣だけで左右されずらくなり、従業員の満足度の向上に繋がります。従業員の満足度が高ければ、離職率の低下はもちろん、サービスの質の向上にも繋がり、結果的に顧客の満足度や利益拡大にも繋がっています。
成功のポイント
採用ブランディングというと、入社してもらうために「自社の魅力をどう訴求するか」という観点になりがちですが、同社は「入社後の活躍」をゴールとしていることが、成功の要因になっています。従業員規模の多い大手企業ではこのような手法を取り入れているケースが多いです。
事例3.三井住友銀行|インターンシップエントリーが前年比の4倍に
解説
例年、大学3年生の4月にあたる時期に採用イベントに参加していた同社でしたが、新卒採用が早期化している状況を受けて参加時期を早め、参加回数も3割ほど増やしました。就職活動に対する意識が高い学生は、2年生頃から情報収集を始め、早めに内定を獲得して就職活動を終えるケースが多いため、そのような学生層にアプローチしていくのが狙いでした。
また、WEB活用も早期化を図りました。就職ナビサイトへの早期掲載、WEBセミナーも積極的におこなっていきます。結果、サマーインターンシップの募集では、前年比の4倍のペースでエントリーを得ることができました。
成功のポイント
「早期の動き出し」と「WEB活用」が成功の要因といえます。この成功事例から、採用ブランディングを始めるタイミングも重要であることがわかります。
事例4.三幸製菓株式会社|エントリー数が300名から13,000名に増加
解説
合同説明会にて競合他社のエントリー数に想像以上の格差があることを知った同社は、ブランド調査を実施しました。その結果、大手である競合他社は認知度が8割以上あったのに対し、同社は2割程度と4倍の差がありました。
採用市場においてどう差別化を図り、認知度を高めるかを考えた結果、「売上成長力の高さ」にたどり着きます。そして「熱量と成長力をもった知られざるお菓子メーカー」という採用ブランディングを打ち出しました。
採用サイトやパンフレットなどのデザインは全て刷新し、赤色に統一したり、パンフレットは巻物型にしたりと、徹底的なブランディングをおこないました。合同説明会のプレゼンテーションにおいては「自社がいかに成長しているか」を徹底的にアピールしました。このような採用ブランディングを実施した結果、約3年でエントリー数が300名から13,000名へと拡大したのです。
成功のポイント
ブランド調査を通して自社の立ち位置や学生からの認知度をしっかりと分析できていたことが、第一のポイントといえるでしょう。
そして、採用ブランディングの軸となるコンセプトをしっかりと定め、採用ツールにも共通したデザインやメッセージを落とし込んだことが企業イメージの醸成につながり、競合他社との差別化に成功した要因といえます。
参考:「新卒採用エントリーを300名から13,000名に増やした」地方のお菓子メーカーの採用戦略とは(HR NOTE)
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9.まとめ
採用ブランディングは、企業の魅力を効果的に伝え、優秀な人材を引きつけるために非常に重要です。採用ブランディングの戦略を実施することは、長期的な企業の成功と人材確保の競争力を手に入れることにつながります。
企業は採用ツールを活用して、継続的に情報を発信し、企業のブランド価値を高めましょう。また、社員の声を取り入れることで、リアルな企業の姿を求職者に伝えることができます。
採用ブランディングを実施する時間や人材が確保できない場合は、採用代行サービスの活用もおすすめです。効果的な採用ブランディング戦略を実行しながら、企業の魅力を最大限に発信して自社の求める人材を確保して企業の成長につなげましょう。

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- 名前
小泉/アウトソーシング関連
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