未経験エンジニア採用の実態とは?メリット・デメリットと採用方法
未経験エンジニア採用の実態

DX/AI推進化の影響を受けて、エンジニアの採用需要が高まっています。
そのため、エンジニアの求人倍率はほかの職種と比較して高止まりの状況です。
そこで、未経験エンジニアを採用して育成をおこなう企業が増加しています。
しかし未経験エンジニアの採用も、募集をおこなうだけでは採用に至りません。
そこで、未経験エンジニアの採用を実施した企業にアンケート調査を実施しました。
アンケートの回答をもとに、未経験エンジニア採用の実態を紹介します。
本記事では
・エンジニアの採用市場と採用難の理由
・未経験エンジニア採用の成功につながった採用手法、ポイント
・未経験エンジニア採用のメリット、デメリット
について解説します。
1.エンジニアの採用市場データ

エンジニアの採用市場の激化が続いています。
エンジニアの経験者採用が難しい要因は年収相場の高騰だけでなく、エンジニアが求める職場環境や採用条件との不一致など、複合的な理由によるものです。
そのような状況のなかで、未経験エンジニア採用をおこない、育成する企業が増加しています。
エンジニア求人倍率の高止まり、経験者採用の限界
2025年10月時点でエンジニアの新規求人倍率は3.43倍※1に達しています。
一般的な事務職の新規求人倍率が0.63倍であることから、エンジニア採用は業種問わず困難な状況です。
経験者のみをターゲットにした採用は極めてむずかしく、採用活動の長期化や採用コストの高騰が懸念されます。
※1.出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年10月分)」
エンジニア経験者の採用がむずかしい理由
入社の決め手となった理由

出典:株式会社ネオキャリア「ITエンジニアの転職理由から分析した2026年の採用方法予測」
エンジニア経験者の採用が難しい理由は、採用需要が高いだけではなく、労働条件や環境など複合的な要素が満たせていない、内的要因も影響しています。
- ・採用競合の激化により経験者の年収相場が高騰
新規採用の年収設定の見直しだけでなく、既存エンジニアの年収の見直しも求められるため、資金繰りが困難な中小企業では大きな課題となっています。 - ・給与以外の条件が致されていない
エンジニア経験者が転職時に入社を決めた理由※1の上位4つは、給与条件が希望に合っていた:42.7%、就労場所や時間、休日が希望に合っていた:37.3%、開発環境や使用技術に興味があった:34.5%、人間関係が良好そうで風通しがよさそうだ:31.8%でした。
リモートワークの可否やフレックスタイムの導入など、エンジニアが働きやすい環境整備や、入社後に携わることができる業務内容の一致、社風なども重視されています。
経験者採用には給与や企業の採用条件のほか、入社後にスキルを活かせる環境があること、成長意欲を満たせることなど複合的な条件が求められています。
一度にすべてを整えることがむずかしい企業は、経験者採用に固執し続けることで、プロジェクトの遅延や欠員リスクが慢性化しやすくなります。
結果として選考の歩留まりが生じる可能性があるため、未経験エンジニアの育成を視野に入れた、採用計画の見直しも重要です。
※1.出典:株式会社ネオキャリア「ITエンジニアの転職理由から分析した2026年の採用方法予測」
増加する「未経験者」という母集団の質と実態
ITエンジニアの経験者採用の難航を背景に、未経験層は増え続けています。
未経験エンジニアの母集団の質は、基礎知識はあるが実務未経験者と、基礎知識はないものの業種に対する興味、関心が高い層に分かれます。
母集団の実態
- ・プログラミングスクール卒業生
プログラミング言語の基礎知識を得ているが実務経験がない層。基礎的な教育コストを削減しやすい。 - ・異業種からの高ポテンシャル人材
社会人経験がありエンジニア職種への関心がある高ポテンシャル層。成長意欲が高い - ・機電系、情報系学部出身の新卒学生
- ・プログラミングスクール卒業生
社会人経験、実務経験はないがプログラミング言語の基礎知識を得ている層。社会人教育も並行して必要ですが、企業カルチャーにフィットさせやすく、採用直後の年収ベースも経験者よりも安価。
未経験エンジニアが増えすぎては不安との声もありますが、ターゲットを適切に見極めることで、企業にとって最適な「伸び代」のある人材を獲得するチャンスが広がっています 。
2.未経験エンジニア採用のメリット・デメリット

未経験エンジニア採用の主なメリットは3つ、デメリットは2つあります。
未経験エンジニア採用のメリット3つ
- ・採用コストの低減
・新しい視点の導入
・育成によるロイヤリティ向上
未経験エンジニアのデメリット2つ
・教育リソースが必要
・スキル、適性の不一致
未経験エンジニア採用のメリット3つ
未経験エンジニア採用のメリットは以下の3つです。
- ・採用コストの低減
未経験者の初年度年収設定の相場は300万~400万円程度です。経験者採用の場合は、年収500~600万円前後が相場です。そのため、人件費と採用単価の両面を抑えられます 。 - ・新しい視点の導入
異業種からの転職者の場合は、入社後に前職の経験を活かした独自の視点や発想を、企業にもたらしてくれる可能性があります。そのため、エンジニア業務以外の側面から組織に刺激を与えやすくなります。 - ・育成によるロイヤリティ向上
未経験者は 既存のやり方や技術スタックに染まっていません。つまり、1から企業の文化や技術を吸収させやすく、長期的な定着が期待できます 。
未経験エンジニア採用のデメリット2つ
未経験エンジニア採用のデメリットは以下の2つです。
- ・教育リソースが必要
現場のリードエンジニアが教育に時間を割く必要があり、一時的なパフォーマンス低下を招く恐れがあります 。
・スキルのミスマッチ
学習意欲が低い、あるいは「エンジニアになれば安泰」といった受動的な姿勢の人材を誤って採用すると、早期離職につながる可能性があります 。
教育リソースを割くことがむずかしい場合は、外部の研修代行業サービスを部分的に活用したり、入社前に適性検査を導入したりするなどの対策により、リスク回避しやすくなります。
3.未経験エンジニアの採用実態調査
2025年の未経験エンジニアの採用では、多くの企業が経験者不足の消極的理由だけでなく、エンジニア志望者の「ポテンシャルの高さ」に期待して積極採用に踏み切っています。
未経験エンジニアの採用を実施した企業を対象とした調査データを元に、以下の4項目について紹介します。
- ・経験採用に踏み切った企業の本音:採用担当者が最も期待しているのは「学習継続力」と「コミュニケーション能力」
・応募者数が多かった求人媒体:doda、マイナビ転職などの転職サイトが最多
・未経験エンジニア採用の平均採用単価:70万円以上が7割
・未経験エンジニアの採用ポイント:選考プロセスの削減
2025年最新調査:未経験採用に踏み切った企業の本音
未経験エンジニア採用を実施した企業の多くが、「経験者が採用できないから仕方なく」という消極的理由ではなく、「ポテンシャルの高さ」に期待して採用をおこなっています。
実態として、採用担当者が最も期待しているのは「学習継続力」と「コミュニケーション能力」です。
スキルや経験が不足していても、学習意欲などのポテンシャルを重視することで、入社後の早期戦力化に成功している事例が増えています 。
未経験エンジニア採用で「応募者数」が多かったのは転職サイト
「Q1. 2025年の未経験エンジニア採用で、特に「応募者数」が多かった採用チャネルを3つ教えてください。(上位3つまで回答可)」

出典:株式会社ネオキャリア
「Q1. 2025年の未経験エンジニア採用で、特に「応募者数」が多かった採用チャネルを3つ教えてください。(上位3つまで回答可)」との質問に対する、上位3つの回答は以下です。
・「求人媒体(転職サイト:doda、マイナビ転職など)」:58.6%
・「企業の採用サイト・採用ページ」:38.7%
・「エンジニア特化型求人媒体」が36.0%
圧倒的な会員数を抱える求人媒体(転職サイト)が最も高い成果を上げています 。
一方で、自社サイトが38.7%と特化型媒体を上回る決定率を示している点に注目です 。
これは、求人媒体やほかの媒体で企業を認知した求職者が、企業の採用サイトで詳細を確認しているためです。
企業の採用サイトを確認後、納得感を持って応募や入社に至るという、チャネルを横断した採用フローの重要性を示唆しています 。
平均採用単価は「70万円以上」が約7割
「Q6. 2025年の未経験エンジニア採用にかかった平均採用単価を教えてください。」

出典:株式会社ネオキャリア
以下は「Q6. 2025年の未経験エンジニア採用にかかった平均採用単価を教えてください。」との質問に対する回答です。
- ・70万円~100万円未満:36.1%
・100万円~150万円未満:22.5%
・50万円~70万円未満:20.7%
・30万円~50万円未満:11.7%
・150万円以上~200万円未満:3.6%
・200万円以上:3.6%
・30万円未満:1.8%
一般職の中途採用における平均採用単価が30万円程度※1であるのに対し、未経験エンジニアは70万円以上が約7割、うち100万円超が4割と突出して高い状況です 。
理由としては、エンジニア特有の有効求人倍率の高さに加え、教育体制が整った企業への応募集中や、掲載費用や人材紹介料の高騰が影響していると考えられます 。
※1.出典:株式会社マイナビ「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」
未経験エンジニアの採用ポイントは選考プロセスの削減
「Q4. 2025年の未経験エンジニア採用で、「選考プロセス(書類選考~内定)」において具体的にどのような工夫や変更をおこないましたか。(複数回答)」

出典:株式会社ネオキャリア
以下は「Q4. 2025年の未経験エンジニア採用で、「選考プロセス(書類選考~内定)」において具体的にどのような工夫や変更をおこないましたか。(複数回答)」と質問した際の上位回答3つです。
- ・「書類選考の廃止/簡略化(面接確約など)」:54.1%
・「面接回数の削減(例:3回→2回)」:46.8%
・「カジュアル面談(選考要素なし)の実施」:39.6%
選考プロセスの削減が採用につながった理由は、主に2つです。
- ・書類選考廃止/簡略化
スキル証明が難しい未経験者を形式で排除せず、面接でポテンシャル(学習力・コミュ力)を直接確認。 - ・面接回数削減
3回→2回へ短縮でリードタイムを半減。選考離脱の防止につながる。価格交渉に先んじ内定出し、辞退率削減。企業負担も軽減し、現場判断を重視可能になったため。 - ・カジュアル面談の実施
選考外の気軽な対話でミスマッチを事前に確認。企業文化や教育体制をアピールしてターゲット人材を惹きつけ、入社意欲を高めやすい。
選考プロセスや面接回数を削減する方法
選考プロセスや面接回数を削減する具体的な方法として、採用管理システム(ATS)やAI面接ツールの活用がおすすめです。
ATSとは
ATS(採用管理システム)とは、Applicant(応募者)Tracking(追跡)System(システム)の頭文字から「ATS」と呼ばれ、求人募集、応募受付や応募者との連絡調整、進捗管理などの採用業務にかかる作業の効率化や、採用力強化に向けて自社で蓄積した選考情報を分析するために利用するシステムです。
採用管理システム(ATS)を導入すると、応募者の一元管理や採用媒体ごとの分析をはじめ、各種連絡ツールの集約などが可能となり、採用担当者だけでなく社内外とのやりとりも円滑になるメリットがあります。
AI面接ツールとは
AI面接サービスとは、AI(人工知能)が応募者の面接を自動で実施し、客観的な基準で評価をおこなう新しい採用支援ツールです。
AI面接サービスの導入でまず期待できるのは、採用プロセスの大幅な効率化です。
AIが求職者の回答を自動で分析し、評価レポートを作成するため、採用担当者は結果をもとに合否判断するだけでよくなり、人事の負担を大きく減らせます。
さらに、24時間365日いつでも面接が可能なので、求職者の都合に合わせた柔軟な選考ができ、面接のスピードも向上します。
また、AIによる評価はあらかじめ設定された統一基準に基づくため、面接官による評価バラつきや主観的な判断を減らし、公正かつ客観的な選考が可能です。
4.2026年に向けたエンジニア採用のポイント
2026年の未経験エンジニア採用数を「増やす予定」と回答した企業は38.7%に上ります。
対して、減らす予定の企業は9%にとどまりました。
未経験エンジニア採用をおこなう企業は、社内体制を整えておくことで、採用後に現場で教育をスムーズにおこなえるようになり、現場負担の軽減や早期離職の防止につながります。
現場の負担を最小限にする受け入れ体制の構築
メンター制度の導入や、外部の教育リソースを活用することで、現場エンジニアの疲弊を防ぎます 。
教育を「コスト」ではなく「組織資産の構築」と捉え、中長期的な計画を策定することが成功の秘訣です 。
エンジニアが求める就労環境を整える
入社の決め手となった理由

出典:株式会社ネオキャリア「ITエンジニアの転職理由から分析した2026年の採用方法予測」
エンジニア経験者採用における調査※1によると「入社の決め手となった理由」は、給与だけでなく、ほかの要因も複合的に重視されています。
以下の4つの項目のいずれかが欠けていると、内定承諾に至らない可能性があります。
- ・給与条件が希望に合ってる:42.7%
・就労場所や時間、休日が希望にあっている:37.3%
・開発環境や使用技術に興味があった:34.5%
・人間関係が良好そうで風通しがよさそう:31.8%
未経験エンジニア採用の場合、求められる給与条件は経験者と異なる可能性があります。
しかし、即戦力人材へと成長した際に満たされていないと、離職の可能性が高まります。
そのため、社内の給与体系や評価基準を事前に整えておき、募集段階で明確な給与モデルを提示できるようにしておきましょう。
※1.出典:株式会社ネオキャリア「ITエンジニアの転職理由から分析した2026年の採用方法予測」
採用担当者が今すぐすべきこと
以下の4項目を社内で調整しておくことにより、求人情報や面談、面接時に企業のアピールポイントとして活用できます。
- ・給与表、昇進スピードを透明化
・リモートワーク制度、実残業時間の実績整理
・採用使用技術、開発フロー、新技術導入例を整理
・チームメンバーの紹介動画、社員インタビュー配信の準備
媒体の選定:定番3媒体マイナビ・リクナビ・dodaの役割の違いを理解する
転職者意欲の高い人材のなかには、情報収集だけでなく企業からのスカウトを待つために、複数媒体を利用しているひとが増えています。
そのため、複数の媒体やツールの併用により、採用期間を短縮しやすくなります。
各媒体が果たしている役割の違い
- マイナビ転職・リクナビNEXT
求職者は「広く、一般的な求人情報を探す」段階
採用戦略: 求人情報の充実、ターゲット層への見つけやすさ対策
- doda
求職者は「自分の市場価値を知りたい」「スカウトを受けたい」段階
採用戦略: スカウト機能を活用した「直接的アプローチ」
採用担当者が今すぐすべきこと
- マイナビ・リクナビ: 「基本情報の充実」に注力
業務内容(300字以上)、給与や勤務条件、福利厚生、社風、未経験歓迎のアピールや、未経験入社からの活躍人材の紹介など - doda: 「スカウト機能の活用」に注力
ターゲット精度の高いスカウト配信、教育制度のアピール、プロジェクト情報の具体化による惹きつけ強化
SNSや自社採用HPの運用
求人媒体や企業HPだけでは発信しにくい、企業の魅力や社風をSNSを通してアピールします。
また、自社を知らない潜在層へのリーチもおこないやすくなり、求人媒体や企業HPへの導線強化につながります。
- ・自社の開発環境や実績
入社後の業務イメージを明確にする。
・教育環境
未経験からのエンジニア社員などのインタビューなどを掲載して安心感と具体的な将来像がみえるようにする。
・企業イベントの様子などを発信
求職者にとって入社後の働き方やどのようなひとと業務をおこなうのかイメージしやすくなり、応募への不安を払しょくしやすくなる。
5.未経験エンジニア採用のよくある質問Q&A
- Q 未経験採用は本当に可能か
- A 学習意欲の高い人材をターゲットに、教育リソースを確認して、教育体制を整ることで即戦力へと育成しやすくなります。
- Q 育成期間の目安は
- A 半年〜1年半ほどを目安にひとり立ちできるように教育をおこなう企業が多いです。
- Q 案件にアサインできない未経験者が増えるリスクは
- A ロースキル案件比率を確認し、スモールステップで任せられるように体制を整えることで、実務経験を通した成長が期待できます。
- Q 選考で何を重視すればよい
- A 学習継続力・論理思考・コミュニケーションの3点を重視しましょう。
6.まとめ
企業のIT/ DX推進化に向けてエンジニア需要が高まっています。
しかし、経験者の確保が困難な状況が続いているため、未経験エンジニア採用が注目されています。
未経験エンジニアの採用ポイントは、選考プロセスの削減のほか、ターゲット人材が多く利用している求人媒体の活用や、複数の手法との組み合わせが効果的です。
ほかにも、未経験エンジニア採用の実態調査結果をまとめた資料は以下よりダウンロードできます。
採用戦略の立案にご活用ください。
ダイレクトリクルーティングを使った攻めの採用を
入社後は一貫して採用コンサルティング事業に従事。 のべ1,000社を超える企業のダイレクトリクルーティングをお手伝いしています。 プライベートでは、3児のパパとして子育てに奮闘中! ダイレクトリクルーティングでお悩みの方は、ぜひご相談ください。
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