エンジニア採用課題の解決策7選|成功事例や採用手法も紹介
エンジニア採用
IT技術の進歩に伴いエンジニアの需要が年々高まる一方で、「エンジニアの採用がうまくいかない」と悩んでいる採用担当者は少なくないでしょう。
エンジニアの採用が難しいといわれる背景には、社会的な課題や企業内での課題などさまざまな要因があります。
本記事では
・エンジニア採用における課題と解決策
・エンジニア採用の成功事例
・エンジニア採用におすすめの採用手法
について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.エンジニア採用が難しいと言われる社会的背景
エンジニア採用が難しくなっている背景には、社会の状況や技術革新のスピードなど、さまざまな要因があります。まずは、どのような社会的背景があるかを解説していきます。
1-1.エンジニアの需要に対して人材が不足している
厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況」によると、2023年7月の有効求人倍率は3.7倍を記録し、前年2022年7月と比較すると0.3ポイント増加していることがわかります。
エンジニアの求人倍率推移
図:ネオキャリア作成
出典:一般職業紹介状況[季節調整値(除パート)](令和5年7月分)
新型コロナウイルスの影響によりオンライン化やテレワークの導入が増加したことで、オンラインサービスやITインフラへの需要が高まりました。それらを担うエンジニア人材の需要も高まり、今後も継続していくと考えられます。
また、経済産業省が2019年3月に発表した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年にIT人材が最大約79万人不足する可能性があることがわかっています。
少子高齢化の影響による労働人口の減少に加え、パソコンやタブレットなどのデジタル機器を活用したICT教育においても先進国の中で日本が一番遅れているという背景も関係し、IT人材の不足が今後ますます加速する見込みです*1。
*1 出典:文部科学省「学校教育情報化の現状について」
1-2.即戦力となるエンジニアの採用が急務となっている
AIやDX化など技術革新のスピードは非常に速く、人材育成が追いつかない企業も少なくありません。そのため、即戦力となる経験者の採用が急務となっています。
株式会社ビズリーチが実施した中途採用に関するアンケート*2によると、77.1%の採用担当者が「ITエンジニア」「管理職・マネージャー」のポジションにおいて「3年前より即戦力採用の難度が高まっていると実感」しているというの結果が出ています。このような状況からも、経験豊富なエンジニアの採用が難しくなっていると言えます。
*2 出典:BIZREACH「採用担当者にアンケート 77%が『即戦力採用の難度が高まった』と回答」
1-3.企業がエンジニアを手放さないようにしている
優秀なエンジニアであるほど、企業は手放したくないものです。そのため待遇や労働環境の改善を図り、離職を防ごうとしています。そのような企業側の動きにより、転職市場にエンジニア人材がなかなか現れない要因になっています。
1-4.待遇がいい企業にエンジニアが集まりやすい
引く手あまたのエンジニアを採用するために、企業間競争は激化しています。また、前述したように多くの企業が離職防止のために待遇改善を図っているため、転職する際はよりよい条件の企業に応募が集中しやすい状況になっています。
1-5.フリーランスや副業など働き方が多様化している
時代の変化とともにフリーランスで働くエンジニアや、副業で別会社の開発を請け負うという働き方も広まっています。転職活動をしなくても働き方次第で収入アップや待遇改善が実現できるようになったため、転職市場になかなかエンジニア人材が現れない要因に繋がっています。
2.エンジニア採用に悩む企業が抱える課題
エンジニアをとりまく社会的背景を解説しましたが、企業内でもさまざまな課題があります。「エンジニアの採用がうまくいかない」と感じている企業は、どのような課題を抱えているのでしょうか。
2-1.求めるターゲット像が明確になっていない
そもそも求めるターゲット像が明確になっていないケースが多くあります。エンジニアと一言で言っても、専門領域ごとにスキルも異なります。採用の目的に立ち返り、どのような要素スキルを重視するのか、経営層や配属先の社員とのすりあわせをすることが重要です。
2-2.エンジニアと企業間で求める条件が合わない
エンジニアが求めている条件が自社の提示する条件と合わず、採用に至らないケースもあります。競合他社の条件面や給与水準などを把握せずに自社の基準だけで募集をかけてしまうと「応募がまったく来ない」という事態に陥る可能性があります。
2-3.優秀なエンジニアの見極めが難しい
採用担当者がエンジニアの仕事内容や必要なスキルを理解しておらず、自社に最適な人材かどうかを見極められないことも課題の1つです。スキルの価値や希少性を理解できていないと面接時に踏み込んだ質問ができず、また適切な条件も提示できません。
たとえ経験豊富な求職者であっても、自社のプロジェクトに必要なスキルを持っているとは限らないため、採用担当者も自社のエンジニアの仕事内容や開発環境を把握しておく必要があります。
2-4.エンジニアへ自社の魅力を伝えられていない
前述したように採用担当者の理解が不足していると、エンジニアが重視するポイントがわからず、自社の魅力をうまく伝えることができません。魅力を正しく伝えられないと応募が集まりづらく、また入社後のミスマッチに繋がってしまうケースもあるため、求人票やスカウト文面などはエンジニア目線に立って具体的に記載することが重要です。
2-5.採用チャネルが多様化しており幅広い採用ノウハウが求められる
優秀なエンジニアのもとには、企業からのスカウトや人材紹介会社からのオファーが舞い込みます。そのため、転職市場に現れる前に、転職先を決めてしまうケースが多い傾向にあります。つまり、求人広告を掲載して応募を待つだけでは、エンジニア採用は難しい時代になりつつあります。
近年ではダイレクトリクルーティングや、リファラル採用、SNSや自社ホームページを活用した採用活動など、採用チャネルが多様化したことで新たな採用ノウハウが必要となり、採用担当者の負担が増えているのも課題と言えます。
2-6.採用コストが高騰している
経験豊富なエンジニアほど年収も高い傾向にあるため、採用コストにも影響しています。例えば、人材紹介会社を利用した場合の成果報酬は年収の約35%以上であるため、優秀なエンジニアほど金額も上がっていきます。
また、採用チャネルの多様化に伴い、複数の手法を活用する必要があるため、エンジニアの採用単価が高まっていることも課題です。
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2-7.入社後のミスマッチにより定着率が低い
採用ターゲットが明確でなかったり、採用担当者が自社に合うエンジニアを見極められないことによりミスマッチが生じやすく、内定辞退や早期離職という課題を抱えている企業も少なくありません。
3.エンジニア採用課題の解決策7選
エンジニア採用を取り巻く背景や企業内で抱えている採用課題を理解した上で、ここから具体的な解決策を解説していきます。
3-1.課題①ターゲットが不明確|採用ペルソナ設計をおこなう
求めるターゲットが明確になっていない場合は採用ペルソナの設計から始めましょう。まずは、求めるスキルを洗い出し、必須要件(MUST)と歓迎要件(WANT)に分けて整理するのがおすすめです。さらにスキルだけでなく、どのような志向性や価値観を持っている人が自社に合うのか、実在する人物に見立てて明確にしていくと、入社後のミスマッチ防止にもなります。
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3-2.課題②条件面が合わない|採用市場と比較し採用要件を見直す
エンジニアと企業間で求める条件が合わないという場合には、以下の3点を見直すことが大切です。
採用ターゲットを見直す
採用市場において自社の求める人物像はどのくらいの給与水準が必要なのか、競合他社はどのような条件を提示しているかを確認しましょう。その結果、ズレが生じている場合は見直すことも大切です。例えば年齢層を下げる、未経験者可にするなども検討するとよいでしょう。
給与や待遇、労働環境を見直す
採用ターゲットに合わせて給与水準を引き上げるように経営層に掛け合うなど、エンジニアが働きやすい労働環境づくりも重要です。ここでも経営層や現場のエンジニアと連携し、一丸となって取り組むことが大切です。
雇用形態を見直す
正社員だけにこだわらず、フリーランスや副業エンジニアへの業務委託にすることで解決できないかも検討しましょう。特にフリーランスとして活躍している人材は優秀なスキルを持つ方が多い傾向にあるので、活用することができればエンジニア不足の解消が期待できます。
3-3.課題➂エンジニアの見極めが難しい|現場のエンジニアを巻き込む
採用担当者は多くの業務を抱えているため、エンジニアの業務を理解するのには時間がかかります。そのため、現場のエンジニアの協力は不可欠です。求める要件についてヒアリングする、面接官として採用活動に協力してもらう、面接時の質問項目を用意してもらうなど、あらゆる場面で巻き込んでいきましょう。
3-4.課題④魅力が伝えきれていない|エンジニア目線に立って訴求する
エンジニアが転職先にどのようなことを期待しているか、働く上で重視していることは何かをしっかりと理解し、自社のアピールポイントを考えていくことが重要です。
求人票はエンジニアが知りたい情報を明記する
自社のPRをおこなう際は、現場のエンジニアにも協力してもらい、エンジニア目線に立って求人票やスカウト文面を作することが大切です。具体的には、以下の情報を明記するように心掛けましょう。
・携わる業界やシステム
・使用する言語・ツール
・プロジェクトのどの工程を担うか
・テレワーク・フレックス勤務などの働き方
・部署の雰囲気や一緒に働くエンジニアの特徴
株式会社HERP、株式会社groovesが実施した「転職実態調査2023」*3によると、転職先決定において「リモートワークの可否」を重視するエンジニアが大きく増加したという結果も出ています。仕事内容や開発環境だけでなく、働き方についてもしっかりと記載することが重要です。
*3 出典:株式会社HERP、株式会社grooves調べ「【転職実態調査2023】エンジニア288人に聞いた、転職活動の“本音”と企業に求める条件」
採用ブランディングを図る
求人票やスカウト文面を見た後、求職者はネットで会社の情報を調べるため、採用ブランディングも効果的です。具体的には、SNSや採用ホームページ、ブログを充実させて、自社の特色を印象づけましょう。
採用コンセプトを表現したデザインにしたり、社員インタビューや福利厚生、仕事の流れを載せたりすることで、入社後の姿がイメージしやすくなり安心感に繋がります。ターゲットが重視するポイントを打ち出し、自社を積極的にアピールすることが重要です。
3-5.課題⑤採用コストの高騰|最適な手法を選定する
採用ターゲットに合わせた採用チャネルを選び、採用にかかっているコストや工数の見直しを図りましょう。以下のポイントを参考に採用チャネルを検討することをおすすめします。
求人広告
多くの求職者にアプローチしたい、また大人数を採用したい場合におすすめの採用手法です。エンジニア採用に強い求人媒体もあるため、媒体ごとの特徴や登録者の属性などを把握した上で選定しましょう。
人材紹介
自社に合った人材をピンポイントで紹介してくれるサービスです。即戦力のエンジニア、CTO(最高技術責任者)など、ハイクラスのエンジニアを採用したいときなどにおすすめです。
ダイレクトリクルーティング
媒体に登録されている人材データベースを活用して、ターゲットにスカウトを送りアプローチしていきます。転職潜在層にアプローチできるのがメリットです。
リファラル採用
社員の知り合いを紹介してもらう採用手法です。採用コストを抑えることができるだけでなく、スキルや社風面でのミスマッチの恐れも少なくなります。
カムバック採用・アルムナイ採用
過去に自社を退職した人材を再雇用する採用方法です。退職前に培った業務経験を活かして働いてもらえるため、教育にかかるコストを抑えることができます。また、転職や留学、起業など自社の外の世界を経験した人材であれば、職場に新しい知識や経験をもたらしてくれるメリットも期待できます。
3-6.課題⑥ミスマッチが生じる|求職者が求める対応を心掛ける
エンジニア採用でミスマッチが起こる要因として、求職者と企業間で条件面のすりあわせが十分にできていないことが挙げられます。求職者の疑問や不安を解消する場を設けるなど、求職者が求める対応を心がけましょう。
カジュアル面談を実施する
株式会社HERP、株式会社groovesが実施した「転職実態調査2023」*3によると、転職時に最も有効であった情報収集手段は「現場の従業員との会話」が最多で24.3%という結果が出ています。最近では、カジュアルな面談を実施する企業が増えており、有効な手段と言えます。カジュアル面談を通して疑問を払拭したり、お互いに条件面やスキルを確認し合うことで、ミスマッチを防ぐ効果が期待できます。
選考時のレスポンスを迅速化する
優秀なエンジニアほど複数の会社から内定をもらっているため、レスポンスの速さも非常に重要です。前述した調査結果でも、在籍中に転職活動をしたエンジニアの3人に1人が「面接の日程調整や各種やりとり」をストレスに感じているという結果も出ています。社内の連携を強化し、迅速なレスポンスや日程調整を心がけるようにしましょう。
3-7.課題⑦採用ノウハウがない|採用のプロに依頼する
そもそも自社でどのような課題を抱えているかわからない、課題はあるもののどこから手を付ければよいのかわからないという担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような場合には、エンジニア採用代行サービス(RPO)の利用もおすすめです。
エンジニア採用代行サービス(RPO)とは、エンジニアのことを熟知したスタッフが、採用ペルソナ設計のアドバイスから最適な採用手法の選定、日程調整などの業務代行、効果検証までサポートしてくれるサービスです。採用コストや工数を抑えて効率的に採用したい採用担当者様は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
4.エンジニア採用代行サービス(RPO)の採用成功事例
ここまで、エンジニア採用を取り巻く課題に対しての解決策をご紹介しましたが、本章では「みんなの採用部」を運営する株式会社ネオキャリアのエンジニア採用代行サービス(RPO)を活用した採用成功事例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
4-1.エンジニア採用の成功事例①|大手IT企業
1つ目は、採用手法を変えたことで採用成功に繋がった事例をご紹介します。
採用目標人数を達成+採用コスト削減に成功
・募集職種:CTO候補/エンジニア(PM・PL)/フルスタックエンジニア職
・採用ターゲット:IT業界で3年以上のエンジニア経験者
・使用した採用媒体:ビズリーチ・ダイレクト、Greenなど
■人材紹介会社からの紹介数が伸びず、採用に悩んでいた。
■ダイレクトリクルーティングに興味はあったものの、なかなか踏み切れていなかった。
■毎日スカウト配信をおこなっていたが、個別配信のため1日に5~8時間程度を費やしていた。
- 導入前の状況
■採用手法:人材紹介
■採用コスト:年収の約30~35%
■採目標用人数:6名
■採用単価:210万円
- 導入後の効果
■採用手法:ダイレクトリクルーティング
■採用費用:初期費用+年収の15%+代行費用
■採用人数:12名
■採用単価:120万円
4-2.エンジニア採用の成功事例②|大手SES企業
2つ目は、スカウトメールの活用方法を見直したことで成功事例した事例をご紹介します。
スカウト返信率アップで安定的な集客チャネルに!
・募集職種:CTO候補/エンジニア(PM・PL)/フルスタックエンジニア職
・採用ターゲット:クライアント先で3年以上の開発経験者
・使用した媒体: doda Recruiters、Greenなど
■プロジェクトは豊富にあるものの、人員確保に苦戦していた。
■一般公募の中途求人媒体の効果が低下しており、今後の人員確保にも不安が募っていた。
■ニッチな職種のため、スカウト対象者がすぐに枯渇する状況だった。
- 導入前の状況
■採用手法:スカウトメール/月初にテンプレにて一括配信
■スカウト対象者:月に30~40名
■スカウト返信率:2.7%
- 導入後の効果
■検索要件を見直すことで対象者を担保。文面カスタム、登録者の鮮度やタイミングを意識して送信。安定的な集客チャネルに!
■スカウト対象者:月に100名
■スカウト返信率:5%
5.エンジニア採用代行サービス(RPO)で解決できること
これまで導入事例を見てきましたが、エンジニア採用代行サービス(RPO)を利用することで解決できることをご紹介します。
5-1.自社の魅力づけができる
エンジニア経験のあるスタッフがスカウト文面や求人票の作成、面接のアドバイスなどをおこないます。エンジニアの悩みや要望を理解しているからこそ、心に届くメッセージで採用活動のご支援が可能です。
5-2.採用コストや工数削減につながる
エンジニア採用代行サービス(RPO)は、ターゲット設定のお手伝いから、媒体選定、スカウト文面や求人票のご提案、面接日程調整、面接後のフォローまでさまざまな業務を依頼することが可能です。課題に感じている選考フェーズだけ、または採用したい時期にだけ依頼をすることもできるため、コストを抑えて効率的に採用活動ができます。
5-3.PDCAを回し自社の採用力もアップにつながる
エンジニア採用代行サービス(RPO)では各施策の効果や採用状況の振り返りをおこない、レポート作成もおこなってくれます。次年度に向けた改善点も提案してくれるため、長期的に見ても自社の採用力アップに繋がります。
6.まとめ
エンジニア採用をとりまく課題は、社会的な背景から企業内の課題まで多岐にわたります。しかし、要因をしっかりと把握し一つひとつ対策を講じていけば採用成功への糸口が必ず見つかるはずです。
本記事でご紹介したエンジニア採用課題の解決策や成功事例を参考にしていただき、採用活動に役立てていただければ幸いです。
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