外国人労働者の採用に使える助成金|種類~申請方法まで徹底まとめ!

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外国人労働者の採用に使える助成金|種類~申請方法まで徹底まとめ!

助成金と補助金はよく耳にする言葉ではありますが、「詳しいことは分からない…」「活用したいけれどどのように申請できるか知らない…」という企業は意外と多いのではないでしょうか。

実は助成金や補助金の財源は「雇用保険」や「法人税」であり、「助成金を使わない=支払い・納税するだけで活用していない」ということになります。

そのため外国人採用をおこなう企業は多くの場合が助成金・補助金を受け取ることが可能となり、活用が推奨されています。

 

本記事では、

・外国人を雇用するときに活用できる助成金・補助金の種類や申請方法

・申請時の注意点

・助成金以外の支援制度

 

などについてご紹介します。

 

 

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1.外国人労働者の採用に使える助成金

   補助金|イメージ画像

1-1.助成金と補助金の違い

ここでは、助成金と補助金の違いについてご説明します。

助成金は厚生労働省から雇用を増やすことや人材育成に対して、条件を満たせば交付されるものです。

一方、補助金とは経済産業省から公益につながる事業に対して、厳しい選考のもと交付されるものです。

ポイントを以下の表にまとめたので、参考にしてみてください。

 

名称助成金補助金
管轄厚生労働省経済産業省
目的雇用の増加、人材育成事業を通した公益の創出
取得難易度
財源雇用保険法人税

1-2.助成金全体の数や種類

ここでは、外国人採用に活用できる助成金を紹介します。

もちろん、日本人を対象にした助成金としても活用することも可能です。

①雇用調整助成金/中小企業緊急雇用安定助成金

景気悪化など経済上の理由で、事業縮小をする事業主が、従業員を一時的に休業させたり、教育訓練を受けさせたり、出向させることに対して交付される助成金です。

休業または研修などの実施前に「休業等実施計画(変更)届」などの提出が必須です(ダウンロード)。

 

「雇用調整助成金」は2008年の景気後退の際につくられましたが、同年末に見直され、中小企業向けの助成金「中小企業緊急雇用安定助成金」がつくられました。

2つとも方針は同じですが、助成金を受け取れる割合に違いがあります。

目的経済上の理由で、事業縮小が避けられない事業主が、雇用する労働者に対し一時的に休業、教育訓練または出向させる費用をサポートし、解雇を回避すること
支給額

いずれも支給限度日数は、1年間で100日、3年間で300日

①休業または出向などにかかる費用うち、大企業は1/2、中小企業は2/3
上限:労働者1人あたり7,870円(雇用保険基本手当日額の最高額)

②教育訓練(事業所内訓練)への加算額 大企業は1,000円/人、中小企業は1,500円/人

③教育訓練(事業所外訓練)への加算額 大企業は2,000円/人、中小企業は3,000円/人

対象者以下3点を満たす事業主/労働者

  1. 雇用保険に加入している中小企業事業主および労働者
  2. 事業の直近3カ月の売上高または生産量の月平均値が、前年同期に比べ10%以上減少していること
  3. 実施する休業または出向などが労使協定に基づくものであること(計画届と協定書の提出が必要)

※休業または出向などをはじめる前日までに同じ事業所での勤続年数が6カ月未満の労働者は対象外

申請方法①事前の届け出
休業・出向の実施前に「休業等実施計画(変更)届」または「出向実施計画(変更)届」を都道府県労働局もしくはハローワークに提出。

<休業/教育訓練の場合>
・休業等実施計画(変更)届
・休業(教育訓練)協定をした書面(写)
・教育訓練の状況を示す就業規則などの書類(写)
※はじめての場合は以下も提出
・雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
・雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書

<出向の場合>
・出向実施計画(変更)届
・出向の協定をした書面(写)
・出向契約書(写)
・雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
・雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書

②助成金の支給申請
上記計画書は実施期間を1、2、3カ月のいずれかから選択。助成金受給の申請期間は、実施期間を終えた日の翌日~2カ月間。申請先は事前の届け出と同じで、都道府県労働局またはハローワーク。

<休業/教育訓練の場合>
・雇用調整助成金(休業など)支給申請書など(判定基礎期間ごとに作成)
・雇用調整実施事業所の時間外労働の状況に関する申出書

<出向の場合>
出向を開始した日から最初の6カ月を第1期、次の6カ月を第2期(途中で出向日が満了する場合は、満了日までの期間)として、各期の経過後2カ月以内に、以下の書類を都道府県労働局またはハローワークへ提出。

・雇用調整助成金(出向)支給申請書

厚生労働省HP詳細情報はこちら.pdf

②トライアル雇用助成金(一般)

雇用前の試用期間に対して交付される助成金です。

候補者の試用を開始してから2週間以内に、ハローワークへ「実施計画書」(ダウンロード)の提出が必須です。

目的雇用前の試用を促し、ミスマッチの防止、早期就職や雇用機会の創出につなげること
支給額1人あたり最大月額4万円×3カ月分
対象者
  1. 紹介日の前日〜過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している人
  2. 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超える人
  3. 妊娠、出産、育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に1年を超えて就いていない人
  4. 紹介日時点で、ニートやフリーターなどの状態で、45歳未満の人
  5. 紹介日時点で、就職するために特別な配慮が必要な人(例:生活保護受給者、ホームレスなど)
申請方法試用期間開始から2週間以内に、「実施計画書」をハローワークに提出。助成金は試用期間を終えて候補者の正社員雇用を始めた2カ月後に交付。
厚生労働省HP詳細情報はこちら

③キャリアアップ助成金(正社員化コース)

非正規雇用から無期/正社員雇用への転換に対して交付される助成金です。

転換後、6カ月分の賃金(時間外手当を含む)が支払われた月を起点に、2カ月以内に申請する必要があります。

目的有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善の取り組みを促すこと
支給額有期雇用 → 正規雇用:1人あたり57万円(54万円)
有期雇用 → 無期雇用:1人あたり28万5,000円(27万円)
無期雇用 → 正規雇用:1人あたり28万5,000円(27万円)
※上限:最大20人/年
※カッコ内は、中小企業以外の額
対象者

・入社して6カ月以上の有期契約労働者
・入社して6カ月以上の無期雇用労働者
・6カ月以上同じ事業所にいる派遣労働者
・有期実習型訓練(人材開発支援助成金(特別育成訓練コース))を受講し、修了した有期契約労働者など

(より詳細な情報はキャリアアップ助成金.pdf内p14~18
※定住者が対象のため、技能実習生、留学生、家族滞在の人は利用不可

申請方法非正規社員から雇用形態等を変更し、正規雇用労働者、無期雇用労働者としての賃金を6カ月分支給した日の翌日から2カ月以内に申請(キャリアアップ助成金.pdf内p24)。
厚生労働省HPキャリアアップ助成金.pdf

④人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

外国人を正規社員として雇用し、雇用管理改善計画に1年以上取り組んだことに対して交付される助成金です。

今年(2019年)に新しくつくられ、「雇用管理改善計画」をもとにどれだけの成果を出すことができたかが重要なものです。

目的働き方改革を進めるために、人材を確保することが必要な中小企業が新しく労働者を雇用し、雇用管理の改善に取り組むこと
支給額

1人あたり最大月額4万円×3カ月分

<計画達成助成>
新しく労働者を雇用し、一定の雇用管理改善を達成した場合に交付される。
・雇用した労働者 1人あたり 60万円
・短時間労働者 1人あたり 40万円

<目標達成助成>
計画の取り組み開始日から丸3年経過後に申請し、生産性要件を満たしており(伸び率が6%以上の場合)、離職率の目標を達成した場合に交付される。

・労働者 1人あたり15万円
・短時間労働者 1人あたり10万円

対象者・特定技能1号・2号の在留資格を持つ者
※雇用の安定を目的とする助成金のため、技能実習生は対象外
申請方法

1年間の「雇用管理改善計画」を立て、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出。

上記改善計画を1年取り組んだ結果、各種要件を満たしていれば「計画達成助成」が、開始から3年経過後に生産性要件などを満たしていれば「目標達成助成」が、それぞれ支給。

厚生労働省HP働き方改革支援コース.pdf

⑤人材開発支援助成金(職業能力開発コース)

外国人労働者の職業訓練の経費や賃金に対して交付される助成金です。

令和5年より、特定訓練コース、一般訓練コース、特定育成訓練コースが「人材育成支援コース」へ統合されたため、申請のしやすさが増しました。

ほか、教育訓練休暇付与コースなど7種のコースがあり、一部のコースにある研修費用の対象はオフラインだけでなく、オンラインの学習教材も含まれますオンライン申請等詳細

目的職務に関連した専門的な知識や技能を身に着けるための職業訓練などの受講をサポートすることで、労働者のキャリア形成につなげること

支給額

(厚生労働省HP)

コースや内容ごとに支給額が異なるため、それぞれ確認をすることが必要です。

対象者例:若年労働者、グルーバル人材
※コースにより異なる
申請方法

例:人材育成支援コースの事前準備

①「訓練計画」を提出
訓練開始日の1カ月前までに、都道府県労働局へ提出。

支給申込書を提出
訓練終了日の翌日~2カ月以内に管轄労働局長に提出。

2.申請するときの注意点

注意点|イメージ画像

外国人採用時に活用できる助成金についてご紹介してきました。

ここからは、助成金を申請する際、注意すべきポイントをご紹介します。

なお雇用する予定の外国人労働者の方が、有効期限が切れていない在留資格を持っているかどうか、忘れずに確認してください。

2-1.助成金を受け取ることができる基本条件

細かな条件はそれぞれの助成金によりますが、こちらでは共通する基本条件をご紹介します。

以下の条件を満たさない事業は、原則助成金を受けとることができません。

 

CHECK 助成金が受け取れる基本条件
  • 従業員を1名以上雇用している(※三親等以内の親戚を除く)
  • 雇用保険に加入している又は今後加入する
  • 直近6カ月以内に会社都合の解雇をしていない
  • 過去3年間に助成金の不正受注をしたことがない
  • 風俗営業等関係の事業主ではない
  • 過去1年間に労働関係の法令違反をしていない

2-2.明確な計画を立てる

前述したように、助成金は補助金と比べて、受給条件の難易度は高くないということができます。

しかしながら、公的な財源から支給されているものであるため、申請時には明確な計画の提出が必要になります。

例えば、研修に対して助成金を受ける場合は、対象者のリストと研修場所の明記、参加者それぞれの勤怠表などの記載が必要になります。

各助成金において提出が必要な書類は異なるため、抜け漏れのないようお気を付けください。

3.助成金以外の支援制度や支援団体

支援団体|イメージ画像

補助金以外にも、外国人採用時に活用することができる支援制度や支援団体があります。

さまざまな支援制度を活用し外国人採用にお役立ていただければ幸いです。

3-1.外国人雇用管理アドバイザー制度

厚生労働省が平成5年度に「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」を作成後、各都道府県に設置された、外国人の採用や雇用時の問題や質問の相談ができる無料窓口です。

例えば、外国人を雇用するときの注意点や、実際に雇用した後のコミュニケーションの方法などについて、情報やアドバイスを得ることができます。

相談の申し込みはハローワークでおこなうことができます(詳細はこちら)。

3-2.国際研修協力機構(JITCO)

1991年に設立し、2012年4月に内閣府所管の公益財団法人となった、外国人技能実習制度全般のサポートをおこなっている機関です。

技能実習制度に関するさまざまな申請手続きや取り次ぎサービス、実習生受入れ準備や各種セミナーなどをおこなっています。

書類作成方法のセミナーから人材育成支援のサービスまで幅広く実施しているようですので、ぜひ一度確認してみるのも良いかもしれません(詳細はこちら)。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?ここまで、助成金の種類から申請の流れ・注意点についてご紹介してきました。

人手不足が進む中、海外から優秀な人材を採用している事業所は年々増え続けています。

 

外国人労働者を雇用するメリットとして、外からの新しいアイディアを持っていたり、勤勉であったりすることから周囲に良い刺激を与えてくれること、海外進出やインバウンドへの対応など事業の拡大にも貢献できることなどがあげられます。

しかし一方で、ビザ取得手続きの煩雑さや、教育にかかるコストが指摘されています。

そのようなときに、ぜひ今回ご紹介した助成金を活かして、外国人採用を少ない負担で実現させてみてはいかがでしょうか。

 

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この事例・記事に関わった営業担当

グローバル人材の活躍から多様な働き方を実現

2013年新卒でネオキャリアに入社後、IT業界での営業を経験しマレーシア拠点へ赴任。海外にて営業マネージャーとして勤務。現在は国内海外事業部にて営業と企画業務などに携わる。2016年から外国人採用に精通しており、日本における外国人採用のトレンド、市況感など幅広くご説明・ご提案可能です!

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