外国人を企業が受け入れるには?|よくあるお悩みの解決方法をご紹介
外国人採用
近年、人手不足が叫ばれる中で外国人採用に注目が集まっています。
しかし、外国人採用を考え始めた企業と外国人採用をした企業の、双方が課題に感じているのが外国人労働者の「受け入れ体制」についてです。
本記事では
・外国人労働者を企業に受け入れるための準備
・外国人労働者を企業に受け入れる際のポイント
・ビザ申請などの手続き
などの疑問にお答えします。
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近年注目されている外国人採用。実際に始めるとは言っても、採用手法やVISA申請など不安なことも多いのではないでしょうか?
そこで外国人を採用する方法や手続き、成功事例をまとめました。これから外国人採用を始める企業の人事の方必見です。
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1.外国人採用をする企業数は右肩上がり
近年、外国人を受け入れる企業が増えています。
はじめに、日本における人手不足の現状と、外国人労働者数の推移についてご紹介します。
1-1.中小企業の「人手不足感」のアンケート調査結果
参照:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月).pdf」
はじめに、日本における人手不足の現状と、外国人労働者数の推移についてご紹介します。
帝国データバンクが1万113社から回答を得た「人手不足を感じるか」についてのアンケートによると、正社員不足を感じる企業が全体の51.4%に及ぶことが明らかになっています。
興味深いのは、「人手不足感」アンケートの結果が、前年と比較して若干の改善傾向が見られる点です。
人手不足感の改善傾向の理由の1つとして、「人手不足を理由とする企業の倒産」が過去5年間で4倍も増加していることが挙げられます。
人手不足によって倒産に追い込まれてしまう企業が増加したということもあり、会社存続にも影響する深刻な社会課題になっているということができます。
参照:人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月).pdf
1-2.外国人労働者は過去最高の182万人を突破
参照:厚労省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和4年 10 月末現在).pdf(平成30年10月末)
人手不足感が若干解消した理由の2つ目として考えられるのが、日本における外国人労働者の増加です。
厚生労働省の調査によると、令和4年10月末の時点で外国人労働者数は182万人を突破し、右肩上がりに増加しています。
つまり、これからご紹介する外国人材の採用が、日本企業の人手不足感の解決につながっているということができます。
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2.外国人採用のメリット
日本企業の課題解決として注目されている外国人採用ですが、外国人を採用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
外国人を採用した企業からよくお聞きする3点のメリットをご紹介します。
2-1.若手人材の確保
直近のデータでは、日本に来る外国人労働者のうち、20代が約24%を占めています。
日本人の生産年齢人口が過去最低の59.5%であることと比較すると、外国人労働者の若年層割合の高さがうかがえます。
日本の各産業で、若者の担い手不足が叫ばれるいま、海外から来る若い働き手は非常にインパクトをもたらすことがデータからも予想できます。
参考:済新聞外国人最多の266万人、20代が3割 労働力支える
2-2.企業の成長を支える
日本企業が生産拠点、販売先として重視している国ランキング上位10位以内のうち、アメリカを除くすべての国がアジア諸国です。
また日本政府観光局の調査によると、2023年1月~6月までの訪日外国人観光客数は1,071万2千人※1にのぼり、観光客数ランキングの上位10カ国中9カ国をアジア諸国が占めています。
さらに、日本の外国人労働者も8割以上がアジア諸国出身者です。
海外進出をしている企業のうち約45%が「課題は海外進出のための社内人材の確保※2」と回答している中、外国人材はこのような企業に最適な人材といえます。
インバウンド対応においても、母国語での対応が可能で、母国の国民の好みをよく知る外国人材は、企業に重宝される人材といえるのではないでしょうか。
※1参考:日本政府観光局訪日外客数(2023 年 6 月推計値).pdf
※2参考:海外進出に関する企業の意識調査(2019年).pdf
2-3.職場の活性化
実際に外国人を採用している企業の中には、上記2点に加えて「海外から新しいアイディアをもたらしてくれる」点を評価する企業もあります。
新しい視点を提供してくれる、という観点でいうと、外国人社員に対して入社時に雇用制度や商慣習について説明をし、質問を受けるプロセスで、既存の考え方や働き方を見直すきっかけになったという企業もあります。
また海外進出をしている企業では、日本拠点でなかなか進まなかった英語対応などのグローバル化への対応が、外国人社員を身近に受け入れることで進めることができたという声も上がっています。
3.外国人の受け入れに関するお悩みと解決方法
Q1.外国人材は日本語をどのくらい話せるの?
どの切り口からデータを見るかにもよりますが、外国人材紹介サービスBridgersの統計によると、文系職で人気の高い3カ国(中国、韓国、台湾)出身者の日本語能力は、全体の約6~8割が日本語能力試験最高レベルのN1~N2です。
日本語能力試験のレベルはN1~N5までの5段階で、N3が日常会話レベルです。
理系分野は、就労ビザの取得条件や職場において語学力が文系職ほど重視されていない背景から、N1~N2所持者が全体の5割強ほどの割合です。
就労ビザには、それぞれ種類によって最低限求められる日本語能力が異なるため、どの就労ビザを取得できるレベルの業務内容や人材を想定しているのかによっても、予想される日本語レベルが異なります。
特定技能1号 | 特定技能2号 | 技能実習 | 専門的・技術的分野 | 資格外活動 |
N4以上 | N2以上 | N4以上 | 国際業務はN1~N2、その他は不問の場合も | 不問 |
N1レベルの語学力を想像しづらい、という方はぜひ以下の動画をご参考にしてみてください。
Q2.よく外国人の離職率が高い、と聞くので心配です。
政府機関、民間企業とで差が大きいため、確実な割合を示すことは困難ですが、民間の人材系サービスが提示するデータの平均は離職率5~10%ほどです。
また、453社から回答を得たDISCOの調査によると、入社3年後の日本人と外国人労働者の離職率を比較したところ、約26%が外国人労働者の離職率が高い※と回答しています。
データを見る際にポイントになるのが、調査対象になっている外国人労働者は誰かということと、企業における賃金格差です。
調査対象の外国人については、技能や学歴などが高い人材ほど、選択肢が多いためスキルアップなどを目的に離職するケースが高くなるといわれています。
企業における賃金格差については、「日本人との賃金格差が大きいほど離職率が高くなる」というデータがあるため、回答している企業自体の要因で離職率が高いという問題が生じている可能性もあります。
参考:「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する調査」 (2022 年 12 月調査) .pdf
離職率が気になる企業は、外国人材を採用するとき事前に自社でのキャリアプランを示して認識の違いを減らす工夫や、労働基準法で定められている「国籍を理由に賃金差別をしないこと」の遵守が重要です。
※具体的なキャリアアッププランを作成しておくと、就労ビザの申請時にも追加提出書類として利用できます。
Q3.受け入れ体制は、何をどのように整えればいいのでしょうか?
どこまでサポートが必要かは、採用した外国人社員によるところがあります。
そのためこちらでは、企業からの質問が多い社会保険、住居、銀行口座、携帯電話について簡単にお伝えします。
社会保険(=健康保険+厚生年金保険)、労働保険(=労災保険+雇用保険)
社会保険適用事業所が、フルタイムまたは所定労働時間/所定労働日数の4分の3以上で勤務をする外国人を直接雇用して日本で働いてもらう場合、
原則日本人と同じように社会保険や労働保険に加入する必要があります。
手続も日本人と同じく、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を届け出ます。
ただし、上記の資格取得届の提出時にマイナンバー登録をしない外国人は、「ローマ字氏名届」も資格取得届と一緒に提出する必要があります。
また、個人営業の事業所の場合は雇用人数や事業内容によって、健康保険の加入が義務または任意の場合があります。
もし社会保険や労働保険への加入を拒否する外国人社員がいる場合は、「脱退一時金制度」や「年金受給期間の短縮」の確認や活用がおすすめです。
就労ビザの更新/変更手続きの際、入管窓口で健康保険証の提示は義務です。
つまり、社会保険への加入がビザ申請の審査基準の1つといえるため加入しましょう。
住居
法務省「外国人住民調査報告書」(2017)によると、過去 5 年間に日本で住む家を探した経験のある人 のうち、「外国人であることを理由に入居を断られた」経験のある人は 39.3%にものぼります。
外国人社員を雇用する企業の場合、日本人の保証人をつけることができるため、ある程度入居ができるかもしれませんが、依然外国人の住居は企業のサポートが必要なことの1つです。
外国人専門の人材紹介サービスの中には、住居、就労ビザ、携帯、クレジットなどのひと通りの外国人受け入れサポートを提携企業と提供しているところもあります。
個別にご契約するよりお得にご利用いただける場合もあります。
参考:国土交通省「部屋探しのガイドブック(日本で部屋探しをする外国人の方へ)」
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銀行口座
日本で働くことができる在留資格は滞在期間が6カ月以上あるため、銀行口座を開設できます。
外国人社員が銀行を開口するために必ず準備が必要なものは、以下の通りです。
- ▼ 口座をつくるために必ず準備が必要なもの
- ● 本人確認書類(在留カード、パスポートなど)
● 学生証/社員証
● 現住居を確認できるもの(住所記載のある在留カード、携帯電話、水道・ガス・電気料金の領収書や請求書の原本など)
● 印鑑
● 連絡可能な電話番号参考:金融庁「外国人の預貯金口座・送金利用について.pdf」
携帯電話
3カ月以上日本に滞在する外国人社員であれば、日本人と同じように携帯会社各社と契約ができます。
外国人社員が携帯を契約するために必ず準備が必要なものは、以下の通りです。
- ▼ 携帯を契約するために必ず準備が必要なもの
- ● 本人確認書類(※次のいずれか 在留カード/パスポート/マイナンバー/運転免許証)
● 支払い手段(※次のいずれか 国内銀行口座の通帳など/クレジットカード/プリペイドカード)
参考:総務省「外国人の携帯電話契約・利用の円滑化に向けた取組.pdf」
Q4.外国人社員とコミュニケーションを取るための他社事例はありますか?
外国人採用をしている企業の事例をいくつかご紹介します。
その他、Amazon米国本社で働く日本人社員が、英語でコミュニケーションをとるコツとして語っている以下の点もシンプルでありながら、重要な点といえるのではないでしょうか。
- 大きくハッキリと発音することで、相手も慣れて聞き取ってくれるようになる
とにかく何か英語で言ってみる
ひとつの手段(=英語で話すこと)にこだわらず、図を書いたり、写真を検索したりして意図を伝える参考:キャリアコンパス「Amazon米国本社の日本人に聞く、ビジネスで英語を使えるようになる「3つのマイルール」」
Q5.採用単価の相場はいくらでしょうか。
外国人採用では、人材紹介、WEB求人広告、紙媒体広告、リファラル採用、SNS、自社サイトが主な採用手法です。
- 外国人採用手法 料金相場
人材紹介|文系:60~100万円 理系:100~120万円
WEB求人広告|10~30万円以上/月 ※掲載期間ではなく成果報酬のサービスもあり
紙媒体広告|1~3万円/週 ※掲載枠のサイズなどによって料金差あり
リファラル採用|0円
SNS|0円
自社サイト|開発コスト分 無料~150万円以上まで
コストだけで考えると、SNSやリファラル採用、自社サイトなどが安価で理想的な採用手法に見えるかもしれません。
しかし、実際は採用手法の中でも、頻繁な更新や情報発信、外国人材とつながりのある人材の存在が必要など、ハードルが他に比べて高いという課題もあります。
また、広告系はある程度の期間の掲載が必要で、事前のスクリーニングがないためターゲットの人材を集めることができないなど、集客のコントロールが難しい、という特徴があります。
それぞれの特徴を理解した上で活用しないと、かえってコストがかかってしまうこともあるため、注意が必要です。
Q6.日本で働くための在留資格(就労ビザ)の申請が通るか不安です。
日本に滞在できる在留資格は、29種類(2023年7月現在)あり、そのうち日本で働くことができるものは「就労ビザ」と呼ばれる19種類の在留資格です。日本に入国する際に必要なビザ(VISA、査証)とは別に必要になるので、ご注意ください。
就労ビザの申請は、海外在住の外国人を採用する場合と日本在住の外国人を採用する場合、また、新卒か転職かによって申請フローが異なります。
就労ビザの申請は非常に複雑で専門的な知識も必要になります。申請書類の内容によってはビザがおりないということもあります。
近年では、行政書士による就労ビザ申請代行サービスなどもございますので、初めて外国人を採用する、外国人を大人数採用するという企業様は代行サービスを活用することをおすすめします。
参考:HR NOTE「【外国人雇用】就労ビザ代行サービス15を比較!|金額・申請取得時間」
参考:HR NOTE「就労ビザの基本を解説|外国人労働者に必要なビザの基礎知識から申請フロー・必要書類まで」
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
外国人労働者を企業で受け入れる際は、各種手続きだけでなく、相手の出身国の文化や考え方も考慮した環境づくりがたいせつです。
具体的な受け入れ方法を知ることで、少しでも外国人採用への一歩を踏み出す足掛かりとなりましたら幸いです。
グローバル人材の活躍から多様な働き方を実現
2013年新卒でネオキャリアに入社後、IT業界での営業を経験しマレーシア拠点へ赴任。海外にて営業マネージャーとして勤務。現在は国内海外事業部にて営業と企画業務などに携わる。2016年から外国人採用に精通しており、日本における外国人採用のトレンド、市況感など幅広くご説明・ご提案可能です!
- 名前
井手口/外国人採用領域
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