コールセンターの人手不足の解決策は?離職率や応募率の改善施策10選
アルバイト採用
近年の企業は商品開発だけでなくカスタマーサポート・カスタマーサクセス・マーケティングなど、顧客体験を重視する傾向にあります。さらにコロナ禍を契機にデジタルシフトが進み、コールセンターは顧客体験の向上ひいては企業成長のために重要な役割を果たすようになりました。
一方、コールセンターの運営現場では人手不足が慢性化しており、サービス品質の低下も招きかねない状況です。
本記事では
・コールセンターの人手不足の4つの原因
・離職率を改善する6つの施策
・応募率や採用率を改善する4つの施策
などをご紹介しますので、ぜひ採用活動にお役立てください。
目次
1.コールセンター業界全体で人手不足が問題に
矢野経済研究所の調査によると、コールセンター業界の市場規模は年々拡大しており、2019年度の売上は9,065億円、2020年度は1兆421億円、2021年度は1兆1,259億円と毎年110%以上増加しています。
そのため、ニーズ拡大にともなって求人数が増え、採用難易度が上がっている状況です。
さらに、コールセンターでは離職率が高いことも問題となっています。
出典:株式会社リックテレコム「コールセンター白書2020年」
株式会社リックテレコムによると、オペレーターの年間離職率10%以下と回答した企業は37.6%、離職率11~30%未満は25.3%、離職率30%以上は28.8%でした。
一般的に離職率3割以上は黄色信号といわれていますが、コールセンター業界では年間離職率30%以上の企業が約3割にものぼり、日本の平均離職率13.4%※と比較しても高い数字となっています。
そのため人手不足が慢性化しやすい状況といえます。
※参考:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」
2.コールセンターの人手不足の原因
ここではよく見られるコールセンターの人手不足の原因をご紹介します。
2-1.採用業務のマンパワー不足による負のスパイラル
コールセンターの採用業務は少人数でまかなっているケースが多く、さらに採用予算も限られているため、業務効率化や業務改善に取り組む余裕がない場合もあります。
そうすると、採用の基本業務である「母集団形成」「選考」「採用」のフローがうまく機能せず、採用活動全体が滞ってしまいます。
不人気職種の母集団形成の難しさ
コールセンターの業務内容や地域にもよりますが、クレーム対応・トラブル対応などが多い仕事は応募段階で避けられる傾向があります。
さらに比較的規模の小さいセンターの場合、福利厚生や社内制度が整っておらず応募が集まりにくいケースも考えられます。
母集団形成が難しい場合、採用分析をして改善のPDCAを回すことは非常に重要です。
しかしマンパワーが足りず、ほかの業務をこなすことで精一杯であるケースが多くなっています。
低い選考基準での大量採用
人手不足が慢性化した職場では、人を補充するために質を下げた大量採用にならざるを得ないケースもあります。
質を下げた大量採用には下記のような弊害があります。
・本来は選考基準に満たない人材を採用することで、教育コストが増加
・新人が多すぎてマネージャークラスの人材に負担がかかり、生産性が悪化
・新人が十分な教育を受けられずストレスがかかり、離職リスクが増加
・採用時の事務手続きなどに時間を取られ、採用戦略の策定などコア業務に手が回らない
せっかくの採用業務も、入社後に人材が定着し活躍してくれなければ無駄になってしまいます。
それどころか、大量採用によって職場環境の悪化や離職率の上昇を招き、負のスパイラルに入ってしまうこともあります。
採用業務の根幹である「見極め」の重要性を改めて見直す必要があるでしょう。
2-2.業務内容や就業環境が合わず離職が多い
コールセンター独特の業務内容や就業環境によって離職率が上がりやすいため、人手不足の原因になっています。
ストレスの溜まりやすい業務内容
日々コールセンターには何人もの顧客の疑問・不満・問題が寄せられます。
それに対してオペレーターが一つひとつ丁寧に対応していきますが、人手不足が慢性化している現場では1人当たりに割り振られる業務量が多くなっているのが現状です。
中には顔が見えないため言葉が強くなる顧客や攻撃的な態度の顧客など、クレーム対応をおこなう必要もあります。
このように、コールセンターでは日々ストレスフルな業務をおこなっているため、精神的な負担が増えて離職につながるケースが多いです。
身体に負担となる就業環境
業務内容がほぼデスクワークのため、健康面で支障をきたしてしまう場合もあります。
特にパソコン画面を見ながらの作業は肩こりや腰痛、目の疲れなどを感じ、働く環境が合わないと感じるケースが多いようです。
そのような環境で働くことで、ほかの職種の業務内容が魅力的に見えたり働く環境を変えたいという点で離職につながる場合があります。
3.コールセンターの人手不足を改善する10の施策
ここではコールセンターの人手不足の原因であるマンパワー不足と離職率の高さに関して、10の施策をご紹介します。
3-1.採用業務のマンパワー不足を改善する4つの施策
採用業務のマンパワー不足を改善する4つの施策をご紹介します。
採用管理システムの導入
応募者対応を手動でおこなっている場合、面接日程調整や書類選考の連絡などに膨大な時間がかかってしまいます。
採用管理システムを導入すると、応募者への自動返信メールや面接日程調整などを24時間365日自動でおこなうことが可能です。
また、拠点ごとの応募者データや選考状況などを可視化して管理をして、データが集まることで分析・検証が可能になるため、採用業務の効率化に繋げることもできます。
選考時の自動スクリーニング機能の導入
コールセンターは顧客と接することの多い職種のため、企業の”顔”ともいえます。
そのため採用活動では”自社に合った人材”を迎えられるように見極めることが重要です。
低い選考基準で大量採用をしていると教育コストや離職リスクの増加、生産性の悪化、人事がコア業務を進められないなどさまざまな問題が発生します。
選考基準が曖昧になっている場合は早急に見直しましょう。
しかし、選考をするにあたって「書類審査の時間がない」「面接時間が限られている」などの状況も考えられます。
そうした場合、面接前に選考スクリーニングできるサービスの利用がおすすめです。
応募段階で、勤務条件など必須の質問項目を設定することで、面接のミスマッチを防ぐことが可能となり、面接効率が上がります。
また、面接の応募管理から日時の設定まで自動で行える利便性も特徴です。
採用マーケティングサービスの導入
採用マーケティングとは、採用エリアや競合の状況、ターゲットなどを細かく分析し、自社に最適な方法で採用活動をおこなうことを指します。
忙しくて採用データの分析・効果検証ができていない企業では、媒体の効果不良や採用手法の選定ミスなどが起きている可能性があります。
マンパワーが足りない場合、採用支援会社では採用のコンサルティングや効果分析などのサービスを無料で提供している場合があります。
そのため求人広告の出稿の際などには、採用マーケティングサービスをおこなっている会社を利用してみましょう。
採用業務のアウトソーシング
一口に採用業務といっても、コア業務とノンコア業務に分かれています。
負担になっているノンコア業務をアウトソーシングすることで、採用担当者がより重要な業務に集中できるようになります。
また、採用のプロに委託することで業務効率化できる可能性もあります。
効率化できる業務があれば、アウトソーシングの導入も検討してみてください。
3-2.離職率を改善する6つの施策
ここではコールセンターの離職による人手不足の課題に対して、6つの改善策をご紹介します。
主にオペレーターの教育制度の強化、業務負担軽減、待遇の改善に関する施策です。
研修内容の改善・研修後のフォロー
まず手を付けやすいのは研修内容の改善です。
コールセンターの研修では基本的な電話対応やシステム操作の方法、サービスや商材の知識、クレーム対応など幅広く教える必要があります。
さらに座学だけではなくロープレを交えた実践経験も必要です。
研修項目に抜け漏れがないか、一度見直してみましょう。
また、サービスや商材の質問だけでなくマニュアル外のことを聞かれるケースも考えられるため、新人が研修後も気軽に質問できる担当者を作っておきましょう。
FAQの整備
コールセンターへの問い合わせ数を減らす目的と、過去の問い合わせ履歴を今後に活用していくため、HPなどのFAQの整備をおこないましょう。
問い合わせ減少によるオペレーターの業務改善に繋がるだけでなく、過去の問い合わせへの回答をマニュアル化して活用することで、新人の早期戦力化につながります。
電話以外のツールの導入
電話以外のツールとしては、メールやWebフォーム、SNS、有人チャットなどがあります。
これらのツールは文字を使うため、オペレーターの精神的な負担軽減に繋がったり、在宅ワークが可能になったりします。
チャットボットなどAIの導入
近年は、Web上で自動返信をしてくれるチャットボットや、電話で音声を判別してくれるボイスボットなど、さまざまなAIツールがあります。
自動で顧客対応ができるため、導入によって必要な人員を削減できます。
導入には過去のデータなどが必要なため時間がかかりますが、長期的に見てもメリットの多い施策です。
待遇の改善
近年はオペレーターをアルバイト・パートや派遣から正社員に待遇改善するケースも増えています。
そのほか、時給の引き上げや交通費支給、シフトの柔軟性向上などにも取り組んでいる企業がほとんどです。
待遇の改善は競合との差を見ながら継続的に取り組んでいきましょう。
在宅勤務の導入
コロナ禍において在宅という働き方も定着してきましたが、コールセンターへの導入は難しい側面があります。
なぜかというと、クレーム対応などを自宅で1人でおこなうことへのストレス懸念や、困った時にフォローできる体制がないためです。
出勤していれば電話を保留にして相談をすることもできますが、自宅では全て1人で対応しなければなりません。
そのため、テレワークをすでに導入した企業では「在宅とセンターのハイブリッド運用」「チャットやメールなど電話をしないツールの拡充」「研修のビデオコンテンツの用意」など、さまざまな工夫がなされています。
自社にできる施策から取り組んでみましょう。
4.コールセンターの人手不足解消に成功した事例
ネオキャリアの採用マーケティングサービスを利用して、コールセンターのアルバイト採用に成功した企業の事例をご紹介します。
■企業情報
募集職種:コールセンタースタッフ
従業員数:300名
募集エリア:関西
- 採用課題
- 以前求人サイトに掲載したことがあったものの応募が0だったため、あまり求人サイトに良いイメージを持っていませんでした。
- しかし急な欠員のため求人サイトで募集せざるを得なくなり相談しました。
- 結果
- 募集エリアの調査をおこなったところ、以前掲載した求人サイトとは相性が良くなく、時給も相場より低かったことが判明しました。
- 適切な求人サイトの選定と競合より高い時給設定によって、無事8名のアルバイトを採用することができました。
5.まとめ
コールセンターの人手不足解消には、離職率の改善と採用業務の見直しが必要です。
まずは比較的取り組みやすい採用マーケティングサービスの導入や研修内容の見直し、FAQの整備などからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
元サービス業店長の経験を活かした提案
アルバイト採用事業部の立ち上げに従事した後、事業部長に就任。 原稿の作成・スカウトメール配信・面接率の向上・内定後フォローなど幅広い知識で対応いたします。 プライベートでは2児のパパとして子育てに奮闘しています!
- 名前
小林/アルバイト領域
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