【2025最新】106万円の壁の撤廃に伴う人事担当者の対策まとめ

アルバイト採用

106万円の壁の撤廃に向けて

2026年10月に、厚生労働省は「106万円の壁」を撤廃する方針を決定しました。

「106万円の壁」とは、アルバイトやパートタイマーなどの短時間労働者が年収約106万円(具体的には月額賃金8万8,000円相当)を超えると、社会保険(健康保険や厚生年金)への加入義務が生じ、企業と労働者双方に保険料負担が発生する制度のことです。

この制度のため、手取り収入が減少することを避けるために働く時間や収入を抑える「働き控え」が生まれていました。

 

106万円の壁の撤廃に伴い、企業はアルバイト・パートタイマーの感じる懸念について事前に対策する事で、定着率や採用成功率が低下しにくくなる可能性があります。

 

本記事では、厚生労働省により2026年10月施行される「106万円の壁」の撤廃について、

・撤廃に関する概要
・従業員側・企業側の影響
・企業側が取るべき対策

などを、人事担当者や採用担当者向けに解説をします。

 

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106万円の壁撤廃に伴う企業の対策まとめ_表紙

壁の撤廃に伴う、人事・採用担当者の
「法改正内容を詳しく把握したい」
「加入手続きや業務フローを見直したい」
「企業・従業員の金銭負担を減らしたい」
「撤廃後の求人の書き方を知りたい」

といった疑問を一挙に解決します。

①106万円の壁の撤廃の背景とは?

106万円の壁の基礎知識

 

年収「106万円の壁」とは、アルバイト・パートタイマーなどが社会保険(厚生年金・健康保険)に加入しなければならなくなる年収の基準を指します。

具体的には、従業員51人以上の企業で週20時間以上働き、月額賃金が8万8,000円(年間約106万円)を超えると、配偶者の扶養から外れて自分で社会保険料を負担する必要が生じます。

このため、手取り収入が減ることを避けるために、年収を106万円以下に抑えて働く人が多い状況です。

2026年10月にはこの壁が撤廃され、このラインを超えなくとも社会保険へ加入することになります。

参照:厚生労働省

106万円の壁の撤廃の背景

①最低賃金の上昇
最低賃金の上昇により、週20時間ほど働くだけで年収106万円を超えるケースが増え、賃金要件の意義が薄れてきたためです。

 

②労働意欲や就業機会抑制の改善
現在は年収106万円の壁を超えると社会保険料の負担が発生し手取りが減るため、多くのアルバイト・パートタイマーが壁を超えないように調整しています。
それによる労働意欲や就業機会が抑制されている現状を改善する狙いがあります。

 

③人手不足の解消
年収を気にせず希望するだけ働ける環境を整え、人手不足解消や労働参加率の向上につなげる狙いもあります。

 

106万円の壁撤廃により「採用戦略」にどんな影響が出るのか

106万円の壁撤廃は、採用現場において「労働時間調整による応募減」「希望シフトに制限がかかる」という障壁を解消します。

これにより、従来は社会負担を嫌って適切な時間に上限を設けていた応募者も、より自由に応募・勤務できるようになり、その結果、求人票でも「フルタイム勤務可」「時間・収入の上限を気にせず働ける」という打ち出し方が強化され、即戦力や一瞬安定して働く人材の確保が有利になります。

また、応募者が「106万円を超えると損をするのでは」という不安や疑念からエントリーを控える事例も減り、募集時の間口拡大・応募率アップが期待できます。

採用担当者は従業員の社会保険の対応だけでなく、求人広告の訴求内容や面接時の説明の見直しも必要となり、応募者ごとの勤務希望スタイルを前向きに活かす提案力が一層重要になります。

②企業側のメリットとデメリット

106万円の壁の撤廃は、企業の人事担当者にとって多くの影響がある予想されます。

具体的にどのような影響があるのか、企業側のメリットとデメリットをいくつか挙げます。

【メリット】組織の活性化と生産性向上への期待

①人材不足の解消

年収を気にして働き控えをしていたアルバイト・パートタイマーが、希望するだけ働けるようになるため、労働時間やシフトの拡大が期待でき、人手不足の解消につながります。

特に少子高齢化が進む中、小規模事業者を中心に深刻化している「人手不足倒産」リスクの低減や、事業継続・成長の促進が見込まれます。

 

②企業イメージの向上

社会保険加入者が増えることで、従業員の福利厚生が充実し、長期的な人材定着や企業イメージの向上にも寄与します。

 

【デメリット】人件費増加と新たな労務管理体制の必要性

従業員1名当たりの年間企業負担額

社会保険料負担の増加

これまで年収106万円未満で社会保険の適用外だったアルバイト・パートタイマーも加入対象となるため、企業が負担する厚生年金や健康保険の保険料が増加します。

特に中小企業では経営への影響が大きくなる可能性があります。

これが経営の圧迫要因となり、場合によっては雇用抑制や人員整理につながるリスクも指摘されています。

 

②事務負担・管理業務の増加

新たな社会保険加入者への手続きや、給与計算・システム対応、従業員からの問い合わせ対応など、労務管理業務が煩雑になります。

特に法改正への対応従業員説明など、現場の負担が増すことが予想されます。

 

③従業員の働き方変化への対応

手取り減少を理由に勤務時間や日数の調整を希望する従業員が増える可能性があり、シフト管理や雇用契約の見直しが必要になる場合があります。

 

以上の3点を踏まえ、企業は早期に体制整備やコスト管理従業員への丁寧な説明などの対策が求められます。

従業員の採用競争が加速

これまで、企業としては年収の壁を考慮した「短時間求人」が主流でした。

しかし年収106万円の壁の撤廃後は、積極的に「社会保険加入可・フルタイム可」を打ち出す企業が増え、一部では採用競争が激化する可能性があります。

その場合、経験者の採用に苦戦しやすくなり、既存従業員の引き留めや待遇向上が戦略上の重要ポイントになります。

 

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壁の撤廃に伴う、人事・採用担当者の
「法改正内容を詳しく把握したい」
「加入手続きや業務フローを見直したい」
「企業・従業員の金銭負担を減らしたい」
「撤廃後の求人の書き方を知りたい」
といった疑問を一挙に解決します。

 

③従業員側のメリットとデメリット

106万円の壁の撤廃の伴う従業員のメリデメ

次に、アルバイト・パートタイマー側のメリットとデメリットを挙げます。

【メリット】将来の年金増額と手厚い公的保障を得られる

①収入アップやシフト拡大の可能性

年収106万円を超えると社会保険料負担が急増するため働き控えをしていた人も、
「壁」を気にせず希望するだけ働けるようになり、収入アップやシフト拡大がしやすくなります。

 

②企業イメージの向上

厚生年金や健康保険に加入することになり、将来受け取れる年金額が増えたり、
より手厚い医療保障や各種手当(傷病手当金・出産手当金など)を受けられるようになります。

【デメリット】短期的な家計への影響と働き方の見直しが必要

長期的には社会保障の充実や働き方の自由度向上が期待される一方、
短期的には手取り減少や生活設計の見直しといった課題が生じる点が主な懸念です。

 

①手取り収入が減少する可能性

社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が必須となる事で、これまで扶養内で働いていたアルバイト・パートタイマーも保険料の自己負担が発生し、手取り収入が減少する可能性があります。
特に、年収106万円を超えないように調整していた従業員にとっては、短期的に家計への負担が増すことが懸念されます。

 

②社会保険に関する理解度を高める必要性

制度変更により、社会保険の手続きや仕組みへの理解が必要となり、
特に非正規雇用者にとっては制度への適応に戸惑いや負担を感じる場合もあります。

 

④106万円の壁の撤廃に伴う企業側の対策5点

【106万円の壁撤廃】企業側の対策5点

106万円の壁の撤廃前に、企業側は具体的に以下のような事前準備を早めに始めることが推奨されます。

①最新の法改正内容を正確に把握
 自社の従業員の就業状況や該当者を早期に把握しましょう。

②業務フローの見直しをおこない、必要に応じて外部専門家への相談
 新たに社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する従業員が増えるため、
 社会保険の「加入手続き」や「事務フロー」の整備が求められます。

③対象となるアルバイト・パートタイマーへ、
 社会保険加入のメリット・デメリット、手取り収入への影響について丁寧に説明

 従業員の働き方や生活設計に影響がでるため、労務トラブルを未然に防ぐことが重要です。

④福利厚生の拡充や「第3の賃上げ」など、従業員の手取り減少を補う施策の検討
 従業員のモチベーション維持や人材定着につなげられる可能性があります。

企業側の保険料の負担増に備え、
 キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」などの活用や、

 保険料肩代わり分の還付(中小企業向けの3年間の特例)など国の支援策を検討
 2026年10月から3年間は、中小企業が従業員の社会保険料を肩代わりした場合、
 肩代わり分が還付される特例措置が予定されています。
 こうした支援策を積極的に活用し、企業負担の軽減を図ることが重要です。

 

※詳細な条件、申請手続き、必要書類などは、今後厚生労働省から正式に案内される予定です。

⑤2027年以降の法改正に向けた準備

2027年以降の社会保険改正

2025年6月13日に成立した年金制度改正法により、社会保険適用の新たな時代が幕開けします。今回の改正は、短時間労働者の加入要件を大きく見直したものです。

2026年10月は「賃金要件(年収106万円)」による壁の撤廃が予定されていますが、2027年以降は、社会保険の対象範囲を決めていた「従業員数51人以上」という企業規模要件は段階的に廃止され、2035年にはすべての事業所が対象となります。

これにより、働く企業の規模によってさらに社会保険加入の従業員数が増えます。

壁撤廃 2027年以降

現在は「従業員数51人以上の企業に勤務している」ことが加入要件の一つですが、2027年にこの要件が緩和され、「従業員数36人以上の企業」が対象となる予定です。

 

2029年以降の社会保険改正ポイント

また、個人事業所においても、2029年10月からは従来の法律で規定されていた17業種を超え、農業や飲食、宿泊業といった幅広い業種が新たに社会保険の対象となっています。

物の製造

土木・建設

鉱物採掘

電気

運送

貨物積卸

焼却・清掃

物の販売

金融・保険

保管・賃貸

媒介周旋

集金

教育・研究

医療

通信・報道

社会福祉

弁護士・税理士・社会保険労使等の法律・会計事務を
取り扱う士業

 

法改正によって雇用主や従業員への新たな負担に対しては経済的な支援策が用意されており、3年間は国などの保険料を一時補助するほか、従業員の所得増加や業務効率化を後押しする多角的な支援が検討されています。

 

このように、これまで社会保険の対象外だった中小企業や個人事業所、そしてそこで存続する短時間労働者にとって、社会保険加入は大きな転換点となります。

特に経営資源が不足している中小規模事業者は、国家支援制度の活用を見据えて、早期の試算と対策が必要となります。

さらに施行時期の詳細や各種経過措置については、引き続き厚生労働省の発信する最新情報を定期的に確認し、経営層や関係配置、そして従業員との情報共有を徹底することが重要です。

 

 参照:NHK労務SEARCH

⑥まとめ

106万円の壁の撤廃は、これまで年収要件に該当しなかったアルバイト・パートタイマーも社会保険の加入対象となるため、企業にとって大きな変化です。

今後は多くの従業員や求職者が、企業選びの軸として「壁の撤廃後の企業の対応」も重要視する事が想定されます。

国の支援策や助成金の活用、福利厚生の充実などで企業負担を軽減しつつ、求人の魅力向上と人材確保をしていきましょう!

 

また下記のフォームより、106万円の壁の撤廃に伴う企業の対応について、本記事の詳細をまとめた資料をダウンロートいただけます!

資料には「アルバイト・パート募集の求人原稿の書き方」「理解度チェックテスト」などもまとめておりますので、ぜひ今後の対策にご活用ください。

 

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この事例・記事に関わった営業担当

元サービス業店長の経験を活かした提案

アルバイト採用事業部の立ち上げに従事した後、事業部長に就任。 原稿の作成・スカウトメール配信・面接率の向上・内定後フォローなど幅広い知識で対応いたします。 プライベートでは2児のパパとして子育てに奮闘しています!

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小林/アルバイト領域

得意領域
  • 採用難エリア支援

  • 入社決定率改善

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