新卒採用の歩留まり平均は?改善方法や原因などを解説
新卒採用
自社の採用状況を分析していくうちに歩留まりが低いとお悩みの採用担当も多いのではないのでしょうか。
母集団を形成しても採用選考への参加率が低かったり、辞退されたりなど、学生獲得の機会を損失してしまっているケースがあります。
<この記事で紹介する3つのポイント>
- 新卒採用の歩留まり低下の原因は?
- 新卒採用の歩留まりが低下しやすい採用フェーズ
- 新卒採用の歩留まりを改善するには?
目次
1.新卒採用における歩留まりとは?
本章では新卒採用における歩留まりとは何か、算出方法、平均について改めてご紹介します。
自社の採用状況と比べながら見ていきましょう。
1-1.歩留まりとは?
新卒採用における歩留まりとは採用フローの中で各工程に進んだ人の割合のことを指します。
図の例では100名のエントリーから90名が書類選考へ進んでいるため歩留まり率は90%となります。
また、10名の内定者に対し、5名が入社しているのでこのフェーズの歩留まり率は50%となります。
さらに各工程での歩留まりは業界、職種、企業によって大きく異なります。
歩留まり率を算出することにより離脱者がわかるため、各工程での採用状況を分析することに役立ちます。
歩留まりがどこで低下しているのか知り、改善することで、自社の採用を成功させましょう。
1-2.新卒採用の歩留まり率算出方法・計算式
新卒採用においての歩留まり率の算出方法の例は以上の通りとなっています。
基本的にそれぞれのフェーズでの
・通過率=通過者数÷参加者数×100
・辞退率=辞退者数÷参加者数×100
で求められます。
また、これ以外にも
・内定率=内定者数÷選考受験者数×100
で選考全体での歩留まり率を求められます。
1-3.新卒採用の歩留まり平均は51.7%
上記を参考に内定承諾率をネオキャリアにて計算・作成
上記の表は株式会社リクルートが調査した「採用予定数を100」とした場合のプレエントリー受付人数、内定出し人数、内定辞退人数、内定数です。
そのデータをもとにネオキャリアで、内定人数を内定出し人数で割った内定承諾率を計算しました。
全体の内定承諾率は約55.8%であった前年の2022年卒と比べ、2023年卒は約51.7%と微減しています。
従業員規模別にみると一番低い内定承諾率は300〜999人規模企業の約46.6%で、一番高い300人未満規模企業の56.9%と比べ、10%以上の差があります。
小規模企業は内定出し人数が少ないにも関わらず、内定承諾率が高い理由は中規模以上の企業と比べ、競合バッティングが起こりにくいことが考えられています。
上記を参考に内定承諾率をネオキャリアにて計算・作成
業種別で内定承諾率をみると、平均より高い業界は高い順に製造業、サービス・情報業、金融業という結果でした。
逆に平均より内定承諾率が低い企業は建設業、流通業でした。
プレエントリー受付人数は業界によって大きく差が出る結果となり、製造業は金融業の2倍以上であるものの最終的な内定承諾率はほぼ変わりません。
金融業は選考途中での歩留まりが高く離脱しにくいことがわかります。
上記を参考に内定承諾率をネオキャリアにて計算・作成
地域別でみると中部・東海地方は内定承諾率がダントツで低く、逆に内定出し人数が最も多い結果となりました。
また、北海道・東北はプレエントリー受付人数も内定出し人数も少ない傾向にあり、内定承諾率は平均値に近いながらも十分な内定数を確保できているとはいえません。
2.歩留まりが低下しやすい採用フェーズ
新卒採用で歩留まりが低下しやすいのはどの採用フェーズでしょうか。
代表的な3つの段階に分けて見ていきましょう。
2-1.エントリ~書類選考
採用プロセスの最初の段階では多くの学生が応募することが予想されます。
実際に応募意思が強く書類選考に進む学生は多くない場合があります。
この段階での離脱は説明会での魅力訴求や動機付けの弱さが課題である可能性が高いです。
また、企業によってはエントリーシートや履歴書以外の書類の提出を求めるなど応募のハードルが高く設定されているケースもあるようです。
2-2.書類選考~面接
書類選考の段階では学生が応募した書類に基づいて選考がおこなわれます。
書類だけではその人の能力や人柄などの全体像を把握することはできません。
書類選考で合格した学生が面接などの次のステップで不合格となることがあります。
また、採用担当の対応により学生から辞退されることもあります。
2-3.内定出し~入社
採用プロセスの最終段階である内定出しは採用担当者が最終的に採用する学生を決定する重要なステップです。
学生が他社の内定を複数もらっていたり、ほかに第一志望の企業がある場合、内定辞退をされる可能性が高まります。
最終的に入社したいと思ってもらえるよう、内定者フォローをするようにしましょう。
3.新卒採用の歩留まり低下の原因は?
新卒採用の歩留まり率低下についてさまざまな原因を見ていきましょう。
3-1.1人当たりの内定獲得数の増加
過剰な採用数に対して、内定獲得者数が増加しています。
内定を多く保有する学生が増えた場合、企業は内定辞退を受ける確率が高まります。
内定を複数持っている学生が自社に入社する可能性が低くなり、歩留まりが低下する可能性があります。
3-2.事前情報と面接のギャップがある
事前情報と面接の印象が異なっている場合、学生が自分に合わないと感じることがあります。
その結果、企業への志望意欲が低下していきます。
こうしたギャップが起こらないよう、発信している情報に一貫性を持たせることが必要です。
3-3.企業からの連絡・説明が不足している
採用活動において、企業から学生への連絡や説明が不十分な場合があります。
この場合、学生が企業に関心を持たなくなる可能性があります。
採用担当の業務フローを確認し、連絡不足が起こらないような体制にしていく必要があります。
3-4.自社の魅力を把握していない
企業の採用担当が自社の魅力を把握していない場合、学生に向けて適切なアピールができません。
自社の魅力を十分に訴求できなければ、学生は企業に関心を持たなくなり、志望度が上がりにくくなります。
入社後に活躍できる社風とマッチした学生との繋がりが持てなくなることが内定辞退の原因です。
こうしたことを防ぐためには自社の分析をもとにしたブランド発信が重要になります。
3-5.行きたい会社がほかに見つかった
行きたい企業がほかに見つかった場合、学生は内定を辞退してしまいます。
結果的に歩留まりが低下する可能性があります。
学生の関心を集め、志望度を上げるためには自社の魅力を最大限訴求していく採用戦略が必要です。
3-6.家族や周囲からの反対
学生が企業に入社する意欲があるにもかかわらず、家族や周囲からの反対がある場合、歩留まりが低下する可能性があります。
家族とも面談し、なぜ反対するのかヒアリングをした上で不安を払拭できそうなら対応をしてみるのも良いでしょう。
3-7.参加できる説明会がない
会社説明会が満席だったり、そもそも日程が合わなかったりすると、せっかくエントリーしたのに説明会へ学生が参加できません。
また、地方からエントリーしているのに会社説明会は都市部のリアル開催など、開催形式が合わない場合もあります。
ターゲット学生が参加できるような会社説明会を実施する必要があります。
3-8.エントリー時の志望度が高くない
エントリー段階から志望度が高くなかったり、ほかの就職活動と日程が被ったりすると学生は説明会に参加ができません。
また、単純に会社説明会を度忘れしてしまっている場合もあります。
企業からリマインドをしたり、説明会の日程を増やしたりする必要があります。
3-9.次回選考への参加意欲が醸成できない
学生が会社説明会に参加をしても志望度が上がらなかった場合、選考へと進む可能性は低いでしょう。
また、選考日程が少なかったり、他社の日程と被ってしまった場合も選考へ応募できない原因となります。
4.新卒採用の歩留まり率を改善するためには?
新卒採用の歩留まり率を改善するためにはどのような対策をすれば良いのでしょうか。
自社の状況に合わせ、実施可能なフェーズで歩留まり率改善の対策をしていきましょう。
4-1.自社のブランディングをする
企業の魅力や特徴をアピールすることで、学生が会社を選ぶ意欲を高めることができます。
この際は社員の働きやすさや社風を伝えるなど、採用情報だけではない情報発信もしていきましょう。
ブランディングのためにはファネル分析や4C分析、3C分析、SWOT分析、TMP分析など、マーケティングのフレームワークを元に戦略を立てていくと良いでしょう。
自社のブランドが高まることで学生の入社意欲が高まり、歩留まり率の向上が見込めます。
4-2.採用媒体ごとの歩留まり率を分析する
採用媒体ごとの応募者数や内定者数、その後の歩留まりを分析することで効果の高い媒体や改善すべき点を把握することができます。
例えば、少数精鋭で専門性の高い学生をターゲットにしていても、就職サイトで広く募集してしまう場合、一次面接までの歩留まり率が低くなる可能性が高くなります。
自社の社風や特性に合った採用媒体に注力をし、全体的な歩留まり率の改善を図りましょう。
4-3.質の高い母集団を形成する
効率良く採用活動をおこなうには学生の志向性や学力、自社との相性を考慮して、質の高い母集団を形成することが重要です。
自社に合った学生の母集団を形成することで、選考辞退をされる可能性が低くなります。
4-4.学生が知りたい情報を前もって説明する
学生が知りたいことを事前に把握し、面接や説明会で説明することで、情報のギャップを解消することができます。
入社に向けた情報を明確に伝えることで、学生が前向きに入社に対する意欲を高め、ミスマッチを防ぐことができます。
4-5.こまめで迅速な連絡と日程調整
学生との連絡や面接日程調整を迅速かつ丁寧におこない、学生が入社に向けた意欲を持ち続けられるようにします。
まめに気にかけてくれていると学生から思ってもらえるような頻度でこまめにメールを送るようにしましょう。
4-6.入社の動機付け強化
学生の入社意欲を高めるよう、魅力的な福利厚生や研修制度、キャリアアップの可能性などを伝えることで入社後のやりがいや成長をイメージしやすくします。
動画を有効活用したり、企業見学ツアーを開催することで、仕事の業務イメージを持ってもらい、入社意欲を高めることが重要です。
4-7.懇親会やイベントを開催
学生との交流を深めるために懇親会やイベントを開催することで、自社の魅力を伝えるとともに学生とのコミュニケーションを図ります。
4-8.面接のクオリティ向上
面接官のトレーニングや面接の質を向上させることで学生との相互理解を深められます。
学生と良好な関係性を築くことができれば志望度が上がる可能性が高まります。
また、見極め能力が向上することで学生と企業とのミスマッチが減り、歩留まり改善が見込めます。
4-9.内定者フォローをする
内定者とのコミュニケーションを強化し、入社前の不安や疑問を解消することが効果的です。
入社前の研修やインターンシップ、内定者アルバイトなどを通して入社後の仕事内容をイメージを持たせることで、入社意欲が高まります。
また、転居を伴う学生や保護者への声掛け、入社にあたっての不安点をヒアリングすることも有効です。
4-10.学生からのフィードバックを受け取る
学生からのフィードバックを受け取ることで採用活動の改善点を見つけ、今後の採用活動に活用することができます。
就職活動で多くの企業を見ている学生から採用活動の改善のヒントが得られるかもしれません。
4-11.オンラインツールの導入
新卒採用をリアル開催だけでなく、オンライン開催も設けることで今まで離脱していた地方学生との接点が持てるようになります。
地域を限定せず新卒採用の場を全国各地へと広げられるため、質が高く多くのターゲット学生を集められる可能性が高まります。
母集団の質が良くなることで歩留まりの改善が見込めます。
5.新卒採用の歩留まりを改善するサービスのご紹介
新卒採用の歩留まり率を改善するためには精度の高いターゲット学生の母集団形成と学生に寄り添ったサポートが必要です。
本章では歩留まり率の改善に役立つ3つのサービスをご紹介します。
5-1.新卒紹介サービス
採用歩留まり率を高めるためには採用フェーズごとのきめ細やかなサポートが必要です。
5-2.理系学生特化型新卒紹介サービス
新卒採用の歩留まり率を高めるためにはターゲット学生の母集団形成が重要です。
5-3.学生送客サービス
6.まとめ
人手不足が叫ばれる昨今、さまざまな採用課題を抱える採用担当者が多くいます。
どこの採用フローで歩留まり率が悪いのか探ることで自社の本質的な採用課題が見えてきます。新卒採用の質を高めていくことで歩留まり率を上げ、採用を成功に導いていきましょう。
新卒採用を通して企業成長のご支援を
一貫して人材紹介に従事しており、社長賞をはじめ多く賞を受賞。現在では、採用ウェビナーなどを通じて、複数企業様の採用支援にも携わっております。新卒採用に課題のある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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