介護業界の人手不足を解消するには?|対策と事例を徹底解説
介護職採用
近年、人手不足が深刻化している介護業界。2021年の介護事業所全体の6割以上が介護業界の人手不足を実感しています。離職率は低下傾向が続き2021年はピークを迎えました。7割弱の事業所で65歳以上の労働者を雇用しており、介護業界の人手不足の深刻化が止まらない昨今、採用計画を見なおすにもまったく目途が立たない状況です。
では、介護業界が人手不足に陥る原因はどのようなところにあるのでしょうか。
<この記事で紹介する3つのポイント>
- 介護業界における人手不足の背景と現状
- ポイント別の対策
- 実際に人手不足の課題解決に成功した事例
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1.介護業界の人手不足の背景と現状
介護業界の人材不足の大きな問題として挙げられているのが、「少子高齢化問題」です。
実際に介護業界における人材不足の背景と現状を少子高齢化という観点からみていきましょう。
1-1.介護業界における人材不足の背景
高齢化
昨今、高齢化は社会的な問題になっており、介護業界のみならず、すべての業界に影響を与えています。
「令和元年版高齢社会白書」※によると、日本の総人口は、平成30(2018)年10月1日現在で1億2,644万人となっており、65歳以上の高齢者は人口の28.1%を占めています。
前年が27.7%ということから、今後も高齢者の割合は増加傾向にあると見込まれます。
※参照:内閣府令和元年版高齢社会白書.pdf
少子化
高齢化が進む一方で、日本の出生数は減少を続けており、令和47(2065)年には56万人になると言われています。
出生率の減少は、生産年齢人口にも影響を与えており、令和11(2029)年には6,951万人、令和47(2065)年には4,529万人と推計されています。
この結果から分かるように、いま日本全体で介護を必要とする高齢者が増え続け、介護を担う若者が減っていくという悪循環に陥っています。
※参照:内閣府令和元年版高齢社会白書.pdf
1-2.介護業界における人材不足の現状
少子高齢化が進む日本全体の中でも、介護業界の人材不足は特に深刻です。
下記の図1を見ていただければ分かるように、介護労働者の割合は年々約1.0%ずつ上昇しており、今後の少子高齢化を考えるとますます割合は増える見込みです。
介護業界は特に、高齢化が進んでいる業界でもあり、60歳以上の割合は今年に入り21.6%に上りました。
図1
図2
参照:公益財団法人 介護労働安定センター「平成30年度介護労働実態調査について.pdf」
2.介護業界の人手不足の原因
介護業界の人手不足の原因には、上記でもお伝えした「少子高齢化」という社会背景の他に、介護現場で起こっている問題もあります。
2-1.仕事の大変さに対して社会的評価が低い
参照:介護職のイメージ(介護の仕事のイメージについてのアンケート結果より)
特に給与の低さに関しては介護福祉士の推定平均年収は330万円とされており、全業種の440万円と比べると大きな開きがあります。
また、最低の年収では190万円という数字もでており、生活していくことが厳しいような給与で働いている介護福祉士も存在します。
参照:介護求人ナビ介護の仕事の年収・月収はいくら? 職種別の平均給料がまるわかり!
2-2.人間関係
介護の現場は、介護者や介護者の家族、医療機関スタッフと様々な人と関わるため、他の業界よりも人間関係やストレスと感じることが多くなってきます。
給料が低いことに加え、人間関係も上手くいかないとなると、仕事に対するモチベーションが落ち、最終的には仕事を辞めてしまう可能性もあります。
よくある悩みとしては「職場のスタッフとうまくいかない」、「介護者が言うことを聞いてくれない」、「他の医療機関スタッフと意見が食い違う」などがあるようで、どれも円滑に仕事を進める上で人間関係は、重要なポイントとなってきます。
3.介護業界の人手不足の対策
3-1.働きやすい労働環境を整える
働きやすい労働環境を設備することは、離職率の低下に直結してきます。具体的な例をご紹介します。
例1:IT・システム導入
介護職は仕事の業務が幅広いことで知られていますが、効率化できる部分は多々あります。
例えば、介護者に関わる管理(日々の日報)を紙で行っている施設に、システムを導入することで大幅な時間短縮・工数削減に繋がります。
具体的には、シフト管理・勤怠管理アプリの導入などです。
また、給与面で苦しい状況にあるスタッフのため、前払い給与サービスなどの導入も喜ばれることが多いようです。
このよう分野は介護業界でもシステム導入が進んでいる分野の1つです。
導入に手間がかかる印象もあるかもしれませんが、最近では簡単に導入できるシステムも増加しています。
例2:ユニットケアの導入
「ユニットケア」は、入居者の10名程度を1ユニットとして、同じメンバーで生活をし、決まったスタッフがケアにあたるという形の介護方法です。
このユニットケアは、居者1人1人の生活を尊重するだけではなく、考えたことをユニットごろに実践しやすいという特徴があるため、職員同士の人間関係の悩みを解消することにも繋がります。
従来の集団ケアのギスギスした人間関係を改善し、介護職員のストレスを抑制することができる手法として導入している施設も増えています。
3-2.外国人介護人材の受け入れ
急速なグローバル化に伴って、外国人を受け入れる動きは介護業界にも拡大しています。
平成20年7月1日に発効した日・インドネシア経済連携協定に基づくインドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受入れをはじめ、ほぼ同じ枠組みで日・フィリピン経済連携協定も発効されました。
最近では2020年夏までにベトナムから1万人の介護人材が技能実習制度を通して日本で働くことができるように政府間で合意があったとの報道もあり、今後より外国人人材の受け入れは重要になっていくと考えられます。
受け入れ側も、ビザ取得などの労務関連知識を専門業者に相談したり、周囲のスタッフへの理解を呼びかけるなどのの準備が必要です。
参考:日本経済新聞『介護人材、ベトナムから1万人 政府が数値目標』
3-3.介護福祉士資格取得の推奨
介護福祉士は社会福祉専門職の介護に関する国家資格であり、取得すると仕事の幅や給料の待遇も変わってきます。
介護福祉士の養成学校に通っているあいだは5万円、入学時と卒業時に20万円を借入することができ、国家資格に合格して介護職で5年働けば返済が免除されます。
その他にも、都道府県によって他の返還免除制度もあるので、介護福祉士を目指し介護職に従事していく人にとっては嬉しい制度です。
こうした資格取得のための手当てや取得推奨制度などを設けている施設も多くなっています。
3-4.介護職のイメージアップに向けた施策
政府は、2019年10月に実施された増税の公費の使途として、勤続10年以上の介護福祉士に月額平均8万円相当の処遇改善をおこなうと発表しています。
しかし、一般的な介護福祉士の金属年数は6年程度のため、この条件に見合う人材が少ないことが問題点として指摘されています。
そのため、介護にも広報やPRの視点を取り入れることが求められています。
いまホットワードである『採用広報』の観点を、介護業界こそ積極的に取り入れていくべきなのです。
3-5.人材派遣業者との繋がりを持っておく
人材派遣サービスは、「欠員がなかなか埋まらない」「急いでスタッフを補わなければならない」というときに活用したいサービスです。
いざという時にすばやく紹介をしてもらえる懇意な人材紹介業者を知っておくことが安心です。
3-6.介護に特化した成果報酬求人サイトの利用
常に人手が足りず「派遣や紹介を利用しても紹介自体も無い」という恒常的な人手不足にお悩みの施設長様も多いことでしょう。
しかし、募集をおこなわなければと、介護職の募集で従来の大手求人サイトを利用してコストを無駄にかけてしまった失敗経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
最近では掛け捨て型ではなく、成果報酬で応募があったときにだけ費用を払えば良い業界に特化した求人サイトもでてきています。
求人広告を利用する際には、そうしたリスクの低い特化型のサイトを利用するのがおすすめです。
4.人手不足解消の採用成功事例
ここでは、実際人手不足の解消に成功されている施設や企業をご紹介します。
4‐1.株式会社リエイ【外国人人材の受け入れ】
概要
企業名:株式会社リエイ
設立:1980年
従業員規模:3,636名(2019年3月末時点)
事業所数:国内94/海外4
主な取り組み
株式会社リエイは、いち早く外国人人材の活用に向けた取り組みを実施されててきた企業です。
2009年の時点で同社のフィリピン人介護士の働きぶりが日本経済新聞にも取り上げられています。
近年ではそのノウハウを活かし、海外での介護事業展開にも進出されています。
4‐2.社会福祉法人甲山福祉センター<甲寿園>【働きやすい環境の整備】
概要
企業名:特別養護老人ホーム甲寿園
設立:1970年
従業員規模:168名
主な取り組み
特別養護老人ホーム「甲寿園」では、30年以上前から女性が働きやすい労働環境の整備をおこなっているとして、メディアなどにも取り上げられています。
例えば、産前産後休暇は8週間、つわり休暇、生理休暇、子どもが病気になった時に休める制度などを以前から取り入れているほか、男性の育児休暇取得も推奨しているそうです。
制度の充実を受け、産休・育休後の職場復帰率はほぼ100%、長い人では30年以上も同園で働いていると言います。
新規雇用が難しい業界だからこそ、制度を整え、従業員に長く働いてもらえる環境づくりが非常に重要です。
参考:リクナビNEXTジャーナル『【介護業界は変われるのか?】「人材定着」に本気で取り組む、介護業者と自治体の取り組みレポート』
4‐3.難の地方エリアで3名の採用に成功【派遣業者の活用】
概要
業態:介護老人保健施設
従業員規模:78名
エリア:秋田県
課題
日本で最も少子高齢化が進んでいる秋田県。高齢化が進んでいるだけではなく、県外に出ていく若者が多いということで、介護スタッフの人手不足や高齢化が深刻化されている施設様の事例です。
そのため、スタッフ1人で10人の介護者をみており、スタッフの負担が大きいということから、早期にスタッフがほしいと要望されていました。
主な取り組み
そもそも人材が不足しているエリアでかつ緊急度が高かったため、人材派遣を活用。
そもそもどの業者に声をかけても、登録者は5名~10名ほどだったため、業者のサポートが重要だったと言います。
具体的には、営業担当が実際に施設に訪問して、施設についての理解を深めたうえで、営業担当自身が体験して感じたことや、この施設ならではの特徴を資料で作成して登録者の方々資料を送付したそうです。
結果的にその資料が好評で、「施設で働くイメージが沸いた」と求職者に見学会に進んでもらうことに成功し、2名を採用することに成功しています。
4‐4.職場環境の見直しで応募獲得【求人サイトの活用】
概要
業態:デイサービス
従業員規模:78名
エリア:岐阜県
課題
岐阜県でデイサービス施設を運営されている企業の事例です。
離職者の問題が深刻で、3か月以内の離職者は半数に上っていました。
また、新しくスタッフが入っても場環境や人間関係からスタッフが定着せず仕事が回らない状況。
早急に採用をおこないたいと考えていましたが、これまで派遣や紹介のサービスを利用してもなかなか紹介がもらえていませんでした。
実際におこなった取り組み
求人サイトの業者からもらったのは、そもそもの離職率の改善がされないと何を使っても応募は獲得できないというアドバイス。
そこで実際に現場の声を聞こうと、実際に施設側に働いている方々にアンケートを実施した結果、スタッフ同士のコミュニケーションが上手くいかずに連携不足になっていることが分かりました。
そこで、早急にコミュニケーション研修を実施。具体的には、グループワーク形式でスタッフがお互いの他己紹介をする、スタッフの良いところを10個以上あげてもらうなどポジティブな場になるような簡単なものから実施しました。
また通常の業務面でも下記の施策をおこないました。
・感謝カードの取り組み(感謝したことがあったら紙に書いて後にお渡しする)
・朝礼終礼で気づきを発表する場を設ける
・定期的な勉強会をスタッフ主導でおこなう
このようなことを習慣化してもらうことで、スタッフ間のコミュニケーションが増え、職場の雰囲気の良さに繋がったそうです。
その後におこなったアンケートでは、人間関係を理由に転職を考えている方は0名となり、求人サイトにも上記のような取り組みなどを記載すると応募が2倍にアップし、2名の採用が決定できたそうです。
5.まとめ
介護業界おいて、人手不足は深刻な問題となっています。
これから少子高齢化がますます加速していくと考えると、人手不足を完全に解消することは難しいかもしれません。
ただ、先を見越した具体的な対策は打つことができます。本記事が少しでも人手不足解消のヒントに繋がれば幸いです。
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