「残業はほとんどありません」は要注意ワード?正社員転職者300名調査でわかった、求人票と実態のギャップ
調査レポート

近年、生成AIの普及により、求人票の文面は誰でも手軽に整え、魅力的に見せられるようになりました。一方で求職者は、「口コミサイト」や「SNS」など複数の情報源を照らし合わせて応募先を見極めることが増えています。
そのようなAI時代だからこそ、実際に人が見聞きした「正しい情報」をどう伝えるかが重要です。
そこで本記事では、求人票と入社後の実態のあいだに生まれるギャップを、調査データから紐解きます。
※データの引用・転載の際は、出典として「ネオキャリア(みんなの採用部)調べ」を明記してください。
1.応募前に読み比べる求人票は「7~9件」が最多、6割超が7件以上を比較
現在の勤務先への応募を決めるまでに読み比べた求人票の件数を聞いたところ、最も多かったのは「7〜9件」で、約3割(29.6%)を占めました。「10〜19件」(16.6%)、「20件以上」(16.9%)を合わせると、7件以上を読み比べた人は6割を超えました。

- 「複数の求人を読み比べてから応募先を決める」ことが求職者にとって当たり前になっています。求人票は、他社の求人と並べて読まれることを前提に作る必要がありますね。
2.転職経験者の9割以上が、希望条件に合っていても応募をやめていた
求人票を2件以上読み比べた315名に、職種・勤務地・給与・勤務時間・雇用形態などの条件は自分の希望に合っていたにもかかわらず、求人への応募をやめたことがあるかを聞きました。
その結果、「よくあった」が33.3%、「ときどきあった」が52.4%、「一度だけあった」が7.3%で、合計93.0%が応募をやめた経験があると回答しました。「よくあった」「ときどきあった」のみの合計でも85.7%にのぼり、希望条件に合っていても応募を見送ることは、決して珍しいことではないとわかります。

- 「条件が合うこと」は応募の前提であって、決め手とは限りません。では、何が決め手になっているのか。次の章から、さらに詳しい調査結果を見ていきましょう。
3.応募をやめた理由の回答のうち、約6割が「求人票」に関するもの
条件は合っていたのに応募をやめた人に、その理由を聞いたところ、1位は「口コミや評判を見て不安になったから」(53.9%)でした。2位は「求人票の書き方への違和感」(46.1%)、3位が「仕事内容が求人票から想像できなかった」(42.3%)と続きます。
一方で、求人票に関する3項目(「求人票の書き方に違和感があり、不安になった」「実際の仕事内容が求人票から想像できなかった」「求人票に書かれていない情報が気になった」)をまとめると、回答数は計354件で、回答総数(603件)の約6割(58.7%)を占めました。
※複数回答のため、回答者数(293名)に対し、回答総数は603件となっています。

- 応募をやめた理由には、求人票の書き方や情報の過不足に対する不安が目立ちました。せっかく条件が合う人に興味を持ってもらえても、求人票の書き方次第で、応募前に機会を逃してしまう可能性があります。
「求人票の書き方に違和感がある」、「実際の仕事内容が想像できなかった」など、転職者の懸念を引き起こす原因はどこにあるのでしょうか。そこには、実体験で感じた求人票と実態のギャップが関係しているのではないでしょうか。
次の設問から、実際に転職して感じたリアルな声を紹介します。
4.求人票では「福利厚生」「残業の少なさ」「業務の幅広さ」などを訴求
現在の勤務先に入社する際に見た求人票に記載されていた内容を聞いたところ、「住宅手当・家族手当などの手当や、福利厚生の充実さを強調する記載」が32.0%で最多となりました。
次いで、「服装自由・事前準備不要など、参加のハードルの低さを強調する記載」が27.8%、「残業が少ない・ほとんどないことを強調する記載」が27.5%でした。

- 「福利厚生」や「残業の少なさ」は求職者の関心が高いため、多くの企業が求人票でアピールしています。しかし、求職者を惹きつけるために強調したこれらの言葉こそが、入社後のギャップを生む原因にもなっているようです。次の章で、その実態を見ていきましょう。
5.入社後に「書かれていたより実態が厳しかった」1位は「残業が少ない」の40.7%
入社時に読んだ求人票に「残業が少ない」「幅広い業務をお任せします」といった記載があった人に、入社後の実態を調査。「やや実態が厳しかった」と「大きく実態が厳しかった」の合計が高い順に、10項目をランキングにしました。
1位は「残業が少ない・ほとんどない」という記載で、約4割(40.7%)が実態は厳しかったと回答しました。2位は「担当する業務の幅広さ」の36.6%で、「大きく実態が厳しかった」が12.2%と、10項目の中で最も高い結果となりました。以下、「未経験からの高収入」(30.6%)、「リモートワーク可」(26.8%)、「手当・福利厚生の充実」(24.5%)と続きます。

- 上位2項目の「残業の少なさ」「業務の幅広さ」は、数字や条件で確認しにくく、受け取り方に幅が出やすい表現です。求職者がよい意味で期待して読んだ分、入社後に差を感じやすいのではないかと考えられます。
自由回答の抜粋「雰囲気によって残業が推奨されてるように感じた」
求人票と実際の内容にギャップを感じた点を自由回答で聞いたところ、1位の「残業」や2位の「業務の幅広さ」に通じる声のほか、リモートワークやフレックス制など、制度の運用実態に関する声も寄せられました。一部を抜粋して紹介します。
残業
残業が結局多くて、社内の人間関係の雰囲気によって残業が推奨されてるように感じた。
業務内容
平社員なのに管理職並みの知識や経験が必要だったこと。補佐として入ったのに担当者が辞めることが決定していた。
リモートワーク・フレックス制度
フレックス制で所定の労働時間を満たせば勤務時間が自由だと説明があったが、現実は事実上定められた勤務時間だった(職種や業務内容によって適用されなかった)。
書かれていた内容はリモートワークが可能で選択できるというものだったが、実際は申告して許可をもらわないと出来ない状況にあった。
完全フルリモートとあったのに実際は違った。

- 残業は「職場の雰囲気」、業務内容は「求められる役割」、制度は「適用条件」。
いずれも、記載の有無だけでなく、運用の実態や期待される役割といった「書かれていなかった部分」が、入社後のギャップの背景にあるように見えます。
なお、ランキング10項目のうち、手当・福利厚生は「書かれていたより良かった」が44.3%で最多となり、「厳しかった」計の24.5%を大きく上回りました。求人票では十分にアピールしきれていない自社の強みが、実はまだ眠っているのかもしれません。
この点については、以下の資料で「良かったランキング」としてまとめていますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
6.求人票以外で参考にする情報源は「口コミサイト」と「SNS」が最多
気になる求人を見つけてから応募を決めるまでの間に、求人票以外で参考にしている情報源を聞いたところ、「転職口コミサイトの評価」と「SNSでの社員や会社の発信」がともに53.5%で最多となりました。次いで「転職エージェントから聞いた情報」が30.5%、「知人・友人からの評判」が29.6%でした。
一方、会社が直接伝える場である「会社説明会や面談で直接受けた印象」は19.0%で、口コミサイトやSNSを大きく下回りました。

- 求職者は、求人票に書かれた情報を、第三者の評価や実際に働く人の発信と照らし合わせたうえで応募先を判断していると考えられます。求人票の内容が、こうした情報と食い違わないことも、信頼を得るうえで大切です。
7.まとめ:求人票は「魅力的に見せる」より「入社後の実態に近づける」時代に
今回の調査から、求職者は複数の求人票を比較検討する中で、希望条件に合っていても求人票の記載内容や口コミ・評判への不安から応募を見送っていることがわかりました。実際に応募を断念した人の58%が、「情報不足」や「仕事内容の曖昧さ」を理由に挙げています。
入社後の実態調査では、「残業が少ない」(40.7%)や「業務の幅広さ」(36.6%)といった、具体的数値や客観的基準が示されていない抽象的な表現ほど、「実態が厳しかった」と感じるギャップを生み出しています。
一方で、住宅手当や福利厚生は「書かれていたより良かった」が44.3%で最多となり、自社の強みを十分に伝えきれていない実態もうかがえます。さらに、求職者の過半数(53.5%)は口コミサイトやSNSの外部情報も参考にしています。
生成AI等の活用により求人票の文章を綺麗に整えやすくなった今だからこそ、求人票単体を取り繕うのではなく、現場のリアルな情報と一貫した「正しい事実」を伝えられているか、今一度自社の発信を見直すことを意識してみてください。
※データの引用・転載の際は、出典として「ネオキャリア(みんなの採用部)調べ」を明記してください。
Indeed・求人ボックスを活用した“応募が集まる採用”を
Indeedや求人ボックスをはじめとする求人サイトを活用した採用マーケティングのスペシャリスト。
中途採用・アルバイト・派遣領域の集客を広く手がけ、これまでに大手上場企業からベンチャー企業まで計200社近くの採用支援実績を持つ。
データに基づいた求人サイトの運用改善や、ターゲット層に響く求人原稿の最適化を得意とし、
2024年には同期の中で最も高い成績を残した社員に贈られる「ゴールデンルーキー賞」を受賞。
- 名前
権田/中途・アルバイト・派遣領域
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