転職で年収が下がるのは約3割。下がる理由と下げないコツ

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この記事でわかること

  • 転職で年収が下がる人は全体の約3割
  • 転職で年収が1割以上下がる人は全体の約2割
  • 転職で年収が下がる原因には「未経験業種・職種への挑戦」「ワークライフバランスの優先」「企業規模・勤務地の変更」「給与体系や各種手当・福利厚生の違い」などが挙げられる
  • 「心身に不調をきたしている」「市場価値を高めたい」「お金以外の価値を優先したい」場合は年収が下がっても転職すべき
  • 業界・企業選び、交渉テクニックなどにより年収低下は避けられる

「転職を考えてるけど、年収が下がるのが怖い」
「気になる求人を見てみたけど、今より年収が下がりそう」
「そもそも転職って年収が下がるのが普通なの?」

このように、転職時に自分の年収がどう変わるかが気になる方は多いでしょう。転職で年収が下がる確率は決して低いとはいえません。

本記事では転職時に年収が下がるケースについてお伝えしたうえで、年収が下がってでも転職すべきかを判断できる基準や、年収を下げないコツなどをご紹介いたします。

転職時に年収が下がる人の割合は3割程度

転職時の年収変化は一般的に「5〜10%増」が相場といわれていますが、厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要(※PDFファイル)」によれば、前職の賃金と比べ「減少」した割合は 29.4%となっています(増加は40.5%、変わらないは28.4%。合計値は「その他・不明」を除く )。

なんと転職者の約3人に1人の給与が減っている計算です。さらに、年収が下がったと答えた方のうち「1割以上の減少」は 21.7%に上ります。

例えば転職前の年収が400万円だった場合、転職後に360万円以下まで年収が下がってしまう方が5人に1人も存在するということになり、年収が下がるリスクは決して低くないといえます。

転職時に年収が下がる理由

そもそも、転職時に年収が下がるケースがあるのはなぜなのでしょうか。

未経験業種・職種への挑戦

これまで培ってきたスキルや経験を直接活かしにくい新たな分野へ転職する場合、給与水準は新人や未経験者としてスタートします。

一時的に年収は下がるものの、将来的なキャリアチェンジやスキルアップを目指す、前向きな理由といえます。

また前職のスキルや知識、思考プロセスなどを応用することで、これまで当たり前だったスキルが新たな職場では「唯一無二の神スキル」として重宝される可能性があります。

ワークライフバランスの優先

給与よりも働く環境の改善や時間の確保を優先した結果、年収が下がるケースもあります。

「残業少なめ」「休日が多い」「テレワーク対応」などの条件を選ぶと、残業代や手当が減るため総支給額が下がることが一般的ですが、人生の満足度を高める狙いで納得してこの方向に進む方も多いです。

企業規模や勤務地の変更(U・Iターンなど)

大企業から中小企業やスタートアップ企業へ転職したり、都心から地方へ移住(Uターン・Iターン)したりするケースでは、企業規模や地域の物価・賃金相場の違いが直接的に年収に影響します。

ただし、地方に移住する場合は生活費も下がるため、実質的な生活水準が落ちるとは限りません。

給与体系や各種手当・福利厚生の違い

基本給が変わらない、あるいは上がったとしても、手当やボーナスの仕組みが異なることでトータルの年収が下がるケースがあります。

具体的には、前職では充実していた住宅手当や家族手当がなくなった、固定残業代の仕組みが変わった、ボーナスの支給月数が少ないなどのケースが考えられます。

離職を急いだことによる交渉不足

現在の職場の人間関係の悪化や長時間労働の常態化などが原因で、できるだけ早く退職したいと考えている方は非常に多いですが、転職を急ぐあまり、内定が出た企業と条件交渉をしないまま転職を決めてしまうケースがあります。

焦りから足元を見られたり、妥協しすぎたりすることで、本来得られるはずだった適正な年収を下回ってしまうことがあるのです。

このように、年収が下がるケースにはポジティブなものとネガティブなものがありますが、それが「納得のいく時間や経験への投資」なのか、「予期せぬマイナス」なのかによって意味合いが大きく異なります。

【CHECK!】転職直後の1年間の住民税に注意

転職直後の1年間は、住民税が「前年の所得」に対して課税される仕組みになっています。

所得税のように「その月の給与」からリアルタイムで計算されるわけではないため、転職に伴って年収が下がると、一時的に手取り額が圧迫されるリスクがありますので、転職前にあらかじめ念頭に置いておきましょう。

【判断基準】年収が下がっても転職すべきケース

年収が下がったとしても、その決断が将来への投資や生活の質の向上に繋がるポジティブなものであれば、前向きな年収ダウンといえ、長期的に見て「あの決断をして良かった」と思えるでしょう。

年収を下げてでも転職すべきかどうか迷った際には、下記の3つの判断基準に該当するか、一度照らし合わせてみてください。

心身の健康や生活を守りたい

今の職場にいることで心身に悪影響が出ている場合は、年収の維持よりも環境の変化を最優先してください。下記のケースに心当たりがある場合は、できるだけ早く決断しましょう。

〇過労やストレスで体調を崩している(またはその一歩手前)
〇サービス残業の常態化、ハラスメントの横行が見られる
〇育児や介護など、今の働き方では家庭との両立が不可能


失われた健康や壊れた人間関係は、お金で買い戻すことはできません。これらに該当する場合は、年収が下がっても迷わず環境を変えるべきといえるでしょう。

長期的な「市場価値」を高めたい

一時的に年収が下がっても、数年後には現職以上の年収を得られる、あるいはどこでも通用するスキルが身につくことで本当に就きたかった仕事に転職できる、といった場合は転職したほうが納得感が強いでしょう。

下記に心当たりがある場合には、転職を視野に入れるのも一つです。

〇今の業界・職種に将来性を感じない
〇現職ではスキルが頭打ちになり、他社で通用しなくなりそう
〇ポータブルスキルを得たい


IT・Web、AI領域などの成長産業へ未経験から飛び込む場合や、現職では身につかないポータブルスキル(汎用性の高いスキルのこと。語学力、マネジメント経験、特定の専門資格など)を得たい、といった場合は「年収が下がる」というより「未経験だから一旦リセットされる」だけと捉えられます。

入社後3〜5年でどれだけ年収をリカバリーできるか、昇給モデルやキャリアパスが明確であれば、決断する価値は大いにあるでしょう。

「お金以外の価値」を最優先したい

生きていく中で「お金を稼ぐこと」の優先順位が下がり、時間や場所、やりがいを重視したいと考えるようになった場合も、転職することに大きな価値があります。

〇ワークライフバランスを大きく改善したい
〇地方に移住して生活水準や幸福度を上げたい
〇憧れていた仕事・環境に変えたい


たとえ年収が100万円下がっても「毎日定時で帰宅して家族や自分の趣味に時間を使いたい」「地方に移り今より広い家、のどかな環境で生活水準や幸福度を高めたい」と感じる方は、転職することで今よりも人生の満足度がグッと高まるでしょう。

「お金持ちは、たくさん稼ぐ人ではなく支出を少なく抑える人だ」とする考え方があります。

600万円稼いで400万円使う場合と、400万円だけ稼いで支出を200万円に留める場合では、収入額に差はついても残るお金は変わりません。どこで満足感を得たいかで考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

また、ずっと憧れていた仕事や、社会的意義を強く感じる仕事へ就く場合も良い転職といえます。「自分が何に一番幸せを感じるか」を今一度考えてみましょう。

下がった年収額と新しく得られる「時間」や「心のゆとり」を天秤にかけ、納得できるかどうかがポイントです。

【CHECK!】年収低下に納得できても要注意!最終確認をしよう

先ほどの基準を満たして前向きな転職だと思えた場合でも、最後に必ず、下記のような現実的なお金のシミュレーションを行うことをおすすめします。

〇年収ダウン後の手取り額で、毎月の固定費と生活費を賄えるか
〇転職後1年間の住民税(前年の高い年収をもとに引かれる)に耐えられるか
〇生活レベルの変化について家族の同意を得られているか

【CHECK!】年収低下の許容範囲はいくら?

自分にとっての年収低下の許容範囲を知るには、下記の手順で手取り額から逆算すると良いでしょう。

(1)必要最低限の手取り額を把握
まずは毎月の「固定費(家賃、ローン、保険、光熱費)」「変動費(食費、日用品など)」「最低限の貯金額」を足し、生活が破綻する最低ラインを計算しましょう。

例:生活費25万円 + 貯金5万円 = 月の手取り30万円(年間360万円)

(2)手取りから「必要な額面年収」を算出
次に、「必要な額面年収」を割り出します。手取り額は額面年収の約75〜80%ですので(1)で算出した必要な手取り額から「最低限必要な額面年収」がわかります。

例:必要な手取りが年間360万円の場合
360万円 ÷ 0.8 = 450万円(最低限必要な額面年収)


(3)現在の年収から引き算する
「現在の年収」から、(2)の「最低限必要な額面年収」を引いた額が、あなたの「年収低下の許容範囲額」となります。

転職で年収を下げない「9つのワザ」

「せっかく転職するのに年収が下がるなんてあり得ない!」「どうにかして転職で年収を上げたい!」という方もいらっしゃるでしょう。

本記事の冒頭でもお伝えしましたが、厚生労働省によれば全体の4割の方が年収を上げています。何も対策をしなければ年収を上げるのは難しいですが、とあるポイントを踏まえればこの4割に入ることが十分可能です。

そこでここでは転職で年収を下げないコツを簡単にご紹介します。

平均年収が高い業界を選ぶ

たとえ個人のスキルが高くても、業界自体の利益率が低ければ高い収入は見込めません。

同じ職種でも、より利益率の高い業界(IT、金融、総合商社、コンサルティングなど)へ移るだけで、仕事内容を大きく変えずに年収を上げることができます。

成果主義の企業を選ぶ

年功序列ではなく、実力や業績で評価される環境であれば、仮に転職直後の年収が変わらなくても、成果次第で早期に大幅な年収アップを狙えます。

ただし、成果が出なければ給与が下がるリスクもありますので、ご自身との相性を見定める必要があります。

将来的な昇給情報を見る

入社時の提示額だけで判断せず、「3年後、5年後のモデル年収」や「昇格の条件(給与テーブル)」を確認することもポイントです。

目先の額面だけでなく、中長期的な回収プランを描ける企業を選ぶことで実質的な年収ダウンを防げるでしょう。

社会的需要の高いスキルを磨く

労働市場における希少性が年収を高めます。どの企業でも通用するポータブルスキルを持っていれば、企業側は高い報酬を払ってでも採用したいと考えるでしょう。

たとえばIT・デジタル領域の知見、プロジェクトマネジメント、語学力などが挙げられます。

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退職してからの転職活動は、ただただ貯金が減っていく環境の中で「早く転職先を決めたい」という焦りが生まれ、妥協しやすくなります。企業側からも「強気な交渉はしてこないだろう」と足元を見られやすいです。

焦らず納得のいく転職先を見つけるためには、現職に留まりながら余裕を持って転職活動を進めることが非常に大切です。

仕事が忙しすぎて転職活動に時間を割く余裕がないという場合も、先ほどお伝えした転職エージェントが求人の絞り込みや面倒な手続きを代行してくれるためとても便利です。

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複数企業から内定を獲得し、競合させる

第一志望の企業と年収交渉をする際に「他社からは年収〇〇万円で内定をもらっており迷っている」という事実があると、非常に強力な交渉カードになります。

本命以外の企業も並行して受け、天秤にかけられる状態を作ると良いでしょう。

現職の年収を漏れなく正確に伝える

企業側に伝える現職の年収は、手取りではなく必ず「総支給額(額面)」にしましょう。

ここを低く見積もって伝えると転職先でのスタートラインが下がってしまうため、基本給に加えて各種手当(住宅、家族、役職など)、賞与、残業代(実績)など、源泉徴収票に含まれるものを漏れなく全て合算して伝えてください。

「現職への残留」を交渉のベースにする

面接や面談で希望年収を聞かれた際には、「希望に満たない場合は現職に留まることも考えている」という毅然とした姿勢を保つことが大切です。

「入社したい」という熱意は伝えつつも、条件面ではへりくだりすぎないバランス感覚が適正な評価に繋がります。

年収を下げないために。求人票のチェックポイント

求人票からは、実際の年収や入社後の給与の伸びしろを読み解けます。表面的な「想定年収」に惑わされず、年収ダウンを防ぐためにぜひ下記の項目をチェックしましょう。

「年収幅の下限」が現在の年収を大幅に下回っていないか

たとえば求人票に「年収400万円〜700万円」と書かれている場合、上限額の700万円という数字に注目しすぎないようにしましょう。

下限の数値(この例でいうところの400万円)が、その企業における未経験・最安値のスタート金額です。

今の経験・スキルがその求人の要件に対して「即戦力」なのか「ポテンシャル採用」なのかによって、提示額が下限寄りになる可能性がありますので、下限の数値が今の年収を大幅に下回っている場合は注意が必要です。

月給に「固定残業代」が含まれているか

たとえ「月給37万円」とあっても、そこに固定残業代が含まれているかどうかで実質的な基本給が大きく異なります。

【例】
A社:月給37万円(基本給37万円+残業代は全額別途支給)
B社:月給37万円(基本給29万円+固定残業代45時間分8万円を含む)


同じ月給37万円でも、B社は基本給が低いため、残業を全くしなかった場合や賞与の計算時にA社より年収が低くなる可能性があります(賞与は基本給の◯ヵ月分で計算されるケースが多い)。

必ず「基本給のみの金額」を確認するようにしましょう。

賞与(ボーナス)について「前年度実績:年◯ヵ月分」という記載があるか

求人票に「業績連動賞与」「決算賞与」としか書かれていない場合は、業績が悪化すると賞与が0円になり、予定していた年収を大幅に下回る可能性があるため注意が必要です。

また、賞与の掛け率が「基本給」にかかるのか、「基本給+手当」にかかるのかによっても賞与額が変わるため、こちらもチェックしておきましょう。

前職にはあった各種手当があるか

前職で受け取っていた手当が転職先には存在しないことも多いため、住宅手当や家族手当、資格手当、役職手当などの支給条件は事前に確認しておきましょう。

手当が充実している企業は、基本給が少し低く見えても総支給額(年収)が高くなるケースがあります。一方、手当が一切ない場合は、提示される基本給自体が十分に高くない限り年収低下に繋がりますので注意しましょう。

入社後に年収が上がる仕組みがあるか

入社時に年収が上がっても、その後の昇給幅がほとんどなければ長期的には収入が下がってしまいます。

「昇給あり(年1回/前年実績◯円〜◯円)」や、「インセンティブ制度の有無」の記載があるかを確認しておきましょう。

「平均昇給率」「モデル年収(例:30歳・入社3年目/年収〇〇万円)」の記載があれば、その数値が具体的であればあるほど、入社後の昇給イメージに再現性があるといえるでしょう。

試用期間中の給与や雇用形態に変更はあるか

意外と見落としがちなのが、試用期間(通常3〜6ヵ月)の待遇についてです。

「試用期間中はインセンティブ対象外」「試用期間中は基本給マイナス◯万円」「試用期間中は契約社員扱い」といった条件が記載されている場合があります。

入社直後の数ヵ月間、手取りが一時的に大幅に下がる可能性があるため注意しましょう。

まとめ

本記事では転職時に年収が下がるケースについて、知っておくべき情報をまとめてお伝えしましたがいかがでしたか。少しでも参考にしていただけましたら幸いです。

この記事を書いた人

就・転職専門ライター
さりぃ

大学時代は法学を専攻、卒業後は人材紹介企業にて約5年間就・転職専門ライターとして累計1,000本以上の記事を執筆。並行して、第二新卒層をターゲットとした就・転職支援事業のサービスサイトの管理責任者としてWebマーケティングも担当しておりました。
いわゆる「フリーター」というポジションから正社員としての働き方に切り替え、サービスサイトの責任者を任せていただけるまでになった経験を活かし、 就・転職のノウハウだけでなく、「人生の選択肢の多様性」「自身の選択への向き合い方」について発信することで少しでもお役に立てれば幸いです。

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