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保育士208名に聞いた保育現場の実態調査 約9割が普段の業務で「園児の事故やケガなどのリスク」に直面した経験あり

NEO CAREERニュース
プレスリリース
ヘルスケア
2023.03.09

 保育士の転職活動支援サービス「ヒトシア保育」を提供する株式会社ネオキャリア(本社:東京都新宿区 代表取締役:西澤亮一)は、ヒトシア保育に登録している保育士208名を対象に、「保育現場実態調査」を実施しました。

■ 実施背景
 昨年は、通園バス園児置き去り事件や園児虐待事件など保育園に関わる悲報が相次ぎましたが、保育士は常に園児の事故やケガのリスクに注意を払いながら日々職務にあたっています。

 これまでネオキャリアは、保育士の転職活動支援サービス「ヒトシア保育」の提供を通じて、保育士が自身に合った最適な保育現場で働くことができるよう支援してきました。保育士が日々直面する保育現場で起きている課題や保育士自身の考えが、保育現場での事件・事故の再発防止策を講じる上で役立つ情報になるのではないかとの想いから、ネオキャリアはヒトシア保育に登録する保育士208名に保育現場実態調査を実施し、この度の発表に至りました。

■ 調査サマリー
・約4割が保育士の仕事に満足していないと回答し、保育士の仕事に満足している保育士の割合は2割未満にとどまった。
・約9割が、普段の業務の中で事故やケガなどのリスクに直面しそうになったと回答。
・園児の事故やケガに遭遇したことがある場面は、園児の物や人との物理的な衝突(82.7%)、園児の転倒・転落(80.8%)、園外遊び(28.4%)の順に多かった。
・園児の事故やケガなどのリスクを防ぐためにすべきことは、人手不足解消(34.0%)、保育環境の改善(16.5%)、子どもへの教育(16.0%)の順に多かった(※その他を除く)。
・手が回らない業務は、事務作業(33.2%)、イベントの企画・準備(18.3%)、保育環境の清掃・整備(14.4%)の順となった。
・保育士になろうと思ったきっかけとして最も多かった回答は、「子どもが好きだから」(49.5%)。
・保育士としてのやりがいランキングでは、1位:子どもの成長を感じられたとき(80.8%)、2位:保護者から感謝されたとき(4.3%)、3位:イベントが成功したとき(3.8%)と「子どもの成長を感じられたとき」が目立った。

 

■ 調査詳細
1【保育士業務への満足度】
「保育士のお仕事に満足しているか」について聞いたところ、「満足していない」と回答した割合は約4割(38.9%)に上る一方で、「満足している」と回答した割合は約2割(18.3%)に留まりました。なお、最も割合が多かったのは、「やや満足している」(42.8%)でした。
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2【保育現場での園児の事故やケガなどのリスク】
➀約9割(89.9%)が「普段の業務の中で事故やケガなどのリスクに直面しそうになったことがある」と回答しました。

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②業務中、園児の事故やケガに遭遇した場面は、1位:「園児の物や人との物理的な衝突」(82.7%)、2位:「園児の転落・転倒」(80.8%)、3位:「園児の園外での遊び中の事故」(28.4%)、4位:「園児の誤飲」(16.3%)、5位:「園児の食物アレルギーによる発作」(9.6%)と続きました。

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具体的には、以下のような回答を得ました。
・未満児クラスのすぐ隣に階段があるため、好奇心旺盛な未満児はちょっと目を離した隙に階段を登っていってしまう。勝手にハイハイで登ってしまい転げ落ちた子もいる。
・保育室から1歳児が階段を下りて、2階から1階の事務室前で発見された。担任は子どもが居ないことに気付いていなかった。
・排泄の失敗でかえに行っていたり、戸外遊びと室内で遊ぶ子にわかれて見るときには保育士の目が行き届かず、転倒や人やものにぶつかっての怪我や噛みつきに繋がる。
・公園の遊具に頭をぶつけたり、遊具から落ちたりなど遊具を使用することで大きい怪我をするリスクが高くなる。・アレルギーのある子が別の子が落とした食べ物を拾って食べた可能性があった。

③園児の事故やケガなどのリスク対策として、「人手不足解消」(34%)、「保育環境の改善」(16.5%)、「子どもへの教育」(16.0%)、「ヒヤリハットマップの作成」(15.4%)、「1人で見れる子どもの定員数の見直し」(8.5%)の順に多くなりました。※「その他」(18.6%)を除く
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具体的には、以下のような意見を得ました。
・保育士の人数に余裕を持つ。保育士自身が追い詰められず、心がゆったりといられるようにする。
・保育者の目が多ければ、事故は防ぎやすくなるので保育者一人につき3人に制度を変えてもらいたい。
・事故や怪我を視野に入れて環境を整える。
・配置人数の見直しおよび、一人ひとりのスキルアップが必要。
・しっかり危険なこと、ルールを教えていく。危険な時はきちんと叱る事が大切。今は子どもを叱らなくなってきている。
・ヒヤリハットマップを活用し、どのようなリスクがあるか園全体で話し合い、意識統一する。
・もう1人保育士がいれば防げたのではないかと思う。
・日本の『保育所保育指針』を一度完全に撤廃し、海外諸国の取り組みを学習し、経験主義の外国人に定めて貰うことが最も望ましい。

調査結果からは、「人手不足の解消」や「保育士一人あたりに見られる子どもの数の見直し」など人員体制について対策を求める声が目立ちました。その他、保育環境の整備やヒヤリハットマップの作成など”環境”の改善を求める声も多く見られました。それでも防ぎ切れないときにための予防線として、園児自身への教育をしている様子が伺えました。

 

3【保育士が手が回らない業務】
①保育士業務の中で手が回らない業務は、1位:事務作業(33.2%)、2位:イベントの企画・準備(18.3%)、3位:保育環境の清掃・整備(14.4%)の順となりました。

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具体的には、以下のような回答を得ました。

・主任でクラスの主担任なのだが、クラスの書類に追われながら園の書類の管理などサービス残業と持ち帰りしないと終わらない。
・毎日のクラスの日誌以外の園日誌、月案以外の毎月の細かい成長記録、園児1人1人に渡す書類など。 特に園日誌は2種類あり、同じ内容を書いており、無駄を感じている。
・行事の企画、準備、手紙作成、当日の運営、片付け。そして行事の数がとにかく多い。
・コロナ禍に入ってから始まったおもちゃ消毒を始め、お部屋やトイレなどのお掃除や環境整備が大変。
・職員間の問題が常にあり、関係性があまり良くなかったり、若い先生の育成などにも力が入っていないので若い保育士が育たない。

調査結果から手書きの事務作業が多く、中には重複した内容を別々の資料にまとめなければならないなど無駄な事務作業があることも分かりました。コロナ禍の影響で掃除や消毒作業が上乗せされている実態があることが分かりました。他にも、マネジメントを割く時間がなく若手の教育に手が回っていない様子も伺えました。

4【保育士になろうと思ったきっかけ・保育士としてのやりがい】
①保育士になろうと思ったきっかけとして最も多かった回答は、「子どもが好きだから」が全体の約5割(49.5%)を占め、目立ちました。

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②保育士としてのやりがいは、「子どもの成長を感じられたとき」(80.8%)がひときわ目立ち、次いで「保護者から感謝されたとき」(4.3%)、「イベントが成功したとき」(3.8%)という結果となりました。

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調査結果からは、子どもが好きだから保育士になろうと思ったという回答と、子どもの成長を感じることがやりがいという回答がそれぞれ多い結果となりました。保育士に就く前も就いた後も、保育士は子どもとの関わり合いが持てることに仕事のやりがいを感じていることが分かります。

■考察
 共働き世帯が増えた2000年代、待機児童の増加が社会問題になりました。それを受け政府は、「定員以上の園児受け入れをする規制緩和」や「保育園の大幅な増設」により、待機児童問題の解消を図りました。しかし、同時に各園では保育士不足と保育士一人あたりの業務量過多に頭を悩まされました。

 本調査では、特に、保育現場で業務量が増え続けている現状が明らかとなる具体的な回答が寄せられました。コロナ禍で清掃や消毒が業務に上乗せされ負担になっていることや、「無駄な事務作業」「手書き・手作りの事務作業や制作物」など非効率な事務作業の多く手が回らないことなど、慢性的な人手不足に加え、多くの事務作業が保育士の負担となり、子どもと向き合う時間が低減している可能性が出てきました。

 「子どもが好きだから」「保育士という仕事に憧れたから」といった、保育士を目指すきっかけとなった想いを胸に、保育士が日々園児の成長を感じながら保育業務に取り組める労働・職場環境を整える必要があると考えます。そのため、保育士の採用支援サービス「ヒトシア保育」を通じてより良い環境づくりができるよう、まずは保育士の人員確保のご支援に引き続き尽力してまいります。

■ 調査概要
保育士業務に関する実態調査
・調査対象:ヒトシア保育に登録している保育士(208名)
・調査項目:保育士業務について
・実施期間:2022年12月15日~2023年1月13日
・調査方法:インターネット調査

■ヒトシア保育とは
 2013年から保育士の採用支援を提供開始し、保育の求人広告・人材紹介・就職・転職フェア・保育士派遣の各サービスを展開してきましたが、2021年10月に、これら全てのサービスを同一ブランド「ヒトシア保育」として統合しました。なお、「ヒトシア保育」は、現在全国の登録者数約20万人、月間約4,500人(内、90%以上が有資格者)を誇っています。

※調査について:内容を転用・引用する場合には下記連絡先にご一報ください。

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